日々の恐怖 8月12日 全寮制(2)
噂っていうより学校設立から15年ほど経って、目撃したという先輩や宿直講師があとを絶たないって事実が存在してた。
その女の幽霊は小さな赤ん坊を抱いていて、悲しそうな顔をしてこちらを見つめてくる。
子供の首が360度回ってこちらを見て笑うとかだった。
俺は、その話を聞いてぞっとした。
子供の頃、窓から子供をおんぶした女の人が俺らを見てた場所が、まさにその渡り廊下だったからだ。
そしてその話を更に決定付けたのが、うちのばあちゃんの話だった。
寮に幽霊が出るって話を帰ったときにしたら、ばあちゃんマジメな顔して、
「 場所はどのへん?」
って聞いてきた。
俺は紙に学校の見取り図を書き、1年の寮棟と洗濯室を結ぶ渡り廊下の場所を指さした。
そしたらばあちゃん、真顔でこう言うんだ。
「 あの学校が建つ前のあの場所は小高い丘になっててな、心中する人があとを絶たなかったんだ。
その中に身元のわからない人もいて、その場所だよ、母親が小さい子の首を締めて道連れに心中したのは。
無縁仏として、たしか近所の寺で葬ったことがあったんだよ、昔。
亡骸は、子供の首が反対側向いてたっていうよ。
絞めたというより回して殺したんだろうな。
自害までして、あの女の人は成仏できまいって・・・・。」
俺、その話を聞いてホントのことかって凍りついたよ。
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