大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 4月2日 ダウンタウン(4)

2019-04-02 09:13:01 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 4月2日 ダウンタウン(4)






 僕はショックを受けてしばらく突っ立ったまま、しばらく男を見つめていた。
 すると、彼は再び、僕に向かって動き始めた。
今度は踊り歩きではなく爪先立ちでやけにおおげさに動く。
まるでマンガのキャラクターが抜き足差し足で忍び寄ってくる。
 ただひとつだけマンガと違ったのは、男の異常な速さだった。
その場から逃げるなり、ポケットの防犯スプレーを構えるなり、携帯電話をかけるなりすればよかったのだが、笑顔の男が忍び寄ってくる間、僕は凍り付いて何もできなかった。
 男は僕から一台の車分くらいの距離の位置で立ち止まった。
彼はまだ笑っていた。
目は相変わらず虚空を見つめていた。
 僕はなんとか声の出し方を思い出し、最初に心に思ったことをそのまま口に出そうとした。

「 何の用だよ!」

と怒った調子で言おうとしたのだが、結局口から出たのは、

「 なんの・・・・・・。」

という、泣き声のようなものだけだった。。
 恐怖の匂いを嗅ぐことはできるか。
それは分からないが、少なくとも恐怖は聞くことできるということをそのとき学んだ。
 僕の出した声は、恐怖という感情そのものだった。
そして、それを自分で聞いて、僕はより怯えてしまったのだった。















童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月1日(月)のつぶやき

2019-04-02 07:00:57 | _HOMEページ_
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------