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日々の恐怖 6月2日 不思議な話(2)

2019-06-02 18:44:21 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 6月2日 不思議な話(2)




「 しかし、なんでそんな携帯まだ持ってるんだ。
新しいのあるんだから、さっさと解約して処分すればいいじゃないか。」

私は当然のようにそう指摘した。

「 そうなんだけどさ。」

と言いながら、友人はリビングの写真の前に携帯電話を置く。
そこが定位置のようだ。

「 時々、電話が掛かって来るからなぁ・・・。」
「 スマホの番号を教えれば済む話じゃない。」
「 それがさ、向こうからは掛かってくるばかりで、話をする前にいつも切られるんだ。
俺からは掛けられないし・・・。」
「 はぁ・・?」

何を言っているんだと首を傾げた私に、友人はいたずらっぽく笑って言った。

「 あのガラケーに掛けてくるのは、嫁なんだ。
ついでに、もう解約はしてる。
さすがに、もったいないからな。」

私は二の句が継げず、黙り込んだ。
三年前に亡くなった奥方がフレームの中で微笑む隣で、携帯電話は静かに鎮座していた。









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