大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 6月17日 嫉妬(2)

2019-06-17 09:38:15 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 6月17日 嫉妬(2)




 その年の片付けの際、彼女はこっそりお雛様と三人官女の一人の首を取り替えた。
人形の頭は胴体と細く短い棒で繋がっており、少し引っ張るとすっぽりと抜けたため、犯行は簡単だった。
 頭と胴体がややちぐはぐになってしまった人形を、素早くそれぞれの箱にしまう。
いつもそうしているように、人形の頭は傷が入らないよう薄い紙で覆って、箱を閉めた。

「 今年はよく手伝ってくれるねぇ。」

祖母のそんな褒め言葉に少々後ろめたさを感じながらも、彼女は自らの手で箱を納戸にしまった。
 さて次の年。内心ワクワクしながら平静を装い、彼女は例年のように雛人形の飾りつけに参加した。
あえて人形の箱は触らず、祖母と母親の反応をこっそり観察していたのだが。

“ あれ・・・?”

祖母が丁寧に箱から取り出したのは、いつも通りのお雛様だった。
美しい衣装にふさわしく、大きくふくらました髪型に金色の飾り、なにより高貴な顔立ち。
 彼女はこの日に備え雛人形の顔立ちを予習していたので、それが三人官女のものではないことはすぐにわかった。  

“ いたずら、バレてたのかな・・・・?”

もしかしたら、祖母は彼女の思惑などとうにお見通しで、人形を元どおりに戻していたのかもしれない。








童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------