日々の恐怖 6月4日 お迎え(1)
彼女は家の玄関に、以前電池式の人感センサーライトを置いていたそうだ。
帰宅が大抵暗くなってからなので、いつも重宝していたという。
しかし一年程前、電池切れなのか調子が悪かったことがあった。
点いて欲しい時には点かず、ありがちな話だが、何に反応したのか誰も通っていないのに点くこともあったという。
ちょうどその頃から、彼女は不眠気味だった。
眠れないというわけではないのだが、眠りが浅くすぐ起きる。
夜半に起きずとも、寝た気がしない朝を迎えることが多かったという。
その傾向は段々悪化していき、夢遊病のような症状も出始めた。
ふと目が覚めると、寝ていたベッドから移動しているのだ。
はじめはベッドの隣に立っていた、それが寝室のドアの外、廊下の中ほどと、少しずつ玄関に向かっているようだった。
そしてそんな時はいつも、誰もいない玄関のセンサーライトが煌々と光っていたという。
病院に行って薬も処方してもらったが、改善は見られなかった。
そしてある夜とうとう、目が覚めた場所は玄関で、しかも土下座のような形でうずくまっていた。
しかしそれは謝罪しているというよりは、まるで三つ指をついて客人を出迎えているようだったという。
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