日々の恐怖 5月5日 ワイの話(11)
学校に入ると妹は火を付けたように泣き出し、ワイにはもう手が付けられなくなった。
「 大丈夫、兄ちゃんがいるから怖くない!
○○(妹)は、何が怖いのか兄ちゃんに言え!
そいつを直ぐに、兄ちゃんがやっつけてやるから!」
何度妹に言い聞かせても、妹は怖いと繰り返し怯えるばかり。
狼狽しながらワイは助けを求めて職員室へ行こうとしたのだが、妹は、
「 怖い!怖い!」
と抱きついて離れないので、妹を引きずるようにワイも半泣きで担任を頼るために職員室へと続く廊下を歩いた。
途中で妹がゲロを吐いて気を失った。
ワイは妹が死んでしまったと思い、一人で半狂乱になりながらダッシュで職員室へと駆け込んだ。
最強に面倒な兄妹だったが、ワイの担任は非常に優しかったので嫌な顔を見せずに、ゲロまみれで倒れる妹を保健室まで運び、マッマが迎えに来るまでワイと妹に付き添ってくれた。
当然、ワイは家に帰ってからマッマにこっぴどく怒られた。
流石に傍若無人のガッキワイも妹に悪い事をしたなと思い、ワイは妹に無理矢理学校に行かせた事を謝った。
「 兄ちゃんが妹をいじめるてる奴をやっつけてやるから!名前を教えて!」
妹は、
「 ありがとう。」
と言うばかりで、ワイにそれ以上を話す事は無かった。
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