日々の恐怖 5月17日 ワイの話(15)
怖がる妹をワイは後ろから押し、曽祖母のベットに近づけて、二人で一緒に曽祖母の手を握った。
曽祖母の手は細く冷たかったので、ワイは手を摩るように動かす。
妹も真似て、手を摩ると曽祖母は頷くように小さく頭を動かしていた。
あのお見舞いから、日がそれほど経たない内に曽祖母は亡くなった。
マッマは病室で言われた通り、祖父母の家にある、以前曽祖母が使っていた茶箪笥を調べて、また驚いていた。
「 これね、マッマが小さい頃に、おばぁちゃんがお守りだって渡してくれたのよ。」
聞くと、その金の指輪は曽祖母の結婚指輪だったらしい。
マッマも小さい頃は妹と同じように不思議な体験をしていて困っていたが、曽祖母からこの指輪を渡されてから、徐々にその不思議な体験が減っていったとか。
ただ、曽祖母から譲り受けた物で大事にしていたはずなのに、ある日、いつの間にかマッマの手元から指輪は消えてしまった。
マッマもかなり探したようで何故今頃、こんな所から出て来たのかと酷く驚いていた。
そんなこんなで曽祖母の遺言通り、その金の指輪は妹が持つ事になった。
もちろん、サイズが全然合わないので、紐でチョーカーのように妹は身に付けていた。
妹はワイに絶対話さないが、マッマから聞いたら、どうやら曽祖母の金の指輪を持っていると怖いモノが近づかなくなるようで、それから妹はまた学校に通えるようになったようだ。
ワイは、何かあったら、妹から曽祖母の金の指輪を奪って身に付けようと思った。
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