日々の恐怖 11月14日 張り紙(1)
夏休みなどを使って毎年遊びに訪れていた祖父家は、M県の山中にありました。
主に目的は川遊びで、モリ突きや釣りなどをして楽しんでいました。
夏といえど1時間程川に入っていると体が冷えてくるので、川べりの岩の上で小休憩を挟みつつ、モリ突きで遊んでいた時のことです。
あまり人も来ないような場所だったのですが、気付けば200m程上流に、二人の子供(遠目でしたが多分小学生くらい)がいました。
村の小学校は廃校になっているような所だったので、この村にもあんな小さい子がいるんだなぁ、と思いつつ眺めていました。
程なくして彼らは川を上って行きましたが、私がモリ突きをしていた場所は、その川でもかなり上流の方で、来る時も車で山を登ってきたほどでした。
親御さんとかが上に居るのかな、と考えながら私も帰り支度を始めました。
荷物を置いてある木陰で着替え等していると、一本の木に少し古ぼけた張り紙がありました。
張り紙には写真がプリントされておりラミネートしてありました。
写真は、母と思われる女性と子供が二人並んでいる写真でした。
その下には、
” この子達を探しています ”
と1行あるのみでした。
その張り紙を見て気味が悪いと思ったのは写真のせいでした。
写真の女性の顔の部分はマジックか何かで黒く塗りつぶされており、子供二人の顔はヤスリをかけたように薄くぼけていました。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ