日々の恐怖 11月17日 張り紙(2)
かすかに確認できる子供の髪型が先ほど見かけた子供と同じ坊主頭で、余計に気味が悪く感じてしまいました。
急ぎ足で祖父家まで帰り、祖父に張り紙の事を聞いてみましたが何も知らないとのことでした。
小さな村なので子供がらいなくなったりしたら耳に入るはずなのです。
その張り紙を見た年の翌年、少し遅めの正月の挨拶をしに祖父家を訪れました。
酒を交わしながら祖父と話していると、例の張り紙の話になりました。
「 お前が言うてた張り紙みたいなん見つけたんで、取っておいたで。」
と言われ、一枚の張り紙を差し出してきました。
何で取っておく必要あるのかとは思いましたが、好奇心があったのも事実だったのでまた拝見しようと受け取りました。
ひと目見て前回見た張り紙との変化に気付きました。
” この子達を探しています ”
と書いてあるの文字の上から赤字で、
” 見つかりました ”
と上書きされていました。
あまりの気味の悪さに、張り紙は知り合いの寺の方に無理を言って預けてきました。
これを一人で取ってきた祖父の鋼の精神力にも恐ろしさを感じました。
イタズラにしてはあんな人気の無い場所でする必要はありませんし、かといって本当に人捜しだとしても、山奥の一本の木に張り紙をする必要も無いと思います。
これといって実害などはありませんでしたが、あれは何だったのか今でもたまに思い出しては鳥肌が立ちます。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ