日々の恐怖 2月22日 祖母ちゃん
Hさんが祖母ちゃんから聞いた話です。
この前、母方の田舎で呪怨を借りて観たら(怖かったです…)、たまたま部屋に入ってきた祖母ちゃんが、カヤコの白塗り顔を見て、
「 ちょうど、こんなじゃった!」
と言い出して、期せずして祖母ちゃんの怪奇体験談が始まりました。
嫁に来たばかりの頃、苦労しすぎて胃腸炎になってしまい、暫く入院したことがあったんだけど、その時同室だった80過ぎの婆さんに、
「 連れて行かれそうになった!」
って言うんですよ。
その80婆さんは、祖母ちゃん(何かややこしい)が快復してゆくのと対照的にどんどん容態が悪化していって、とうとう特別室(今で言うICU)に移されちゃったんだけど、ある晩病室に現れて、ニタニタ笑いながら戸口で一晩中祖母ちゃんの名前を呼びつづけんだそうです。
その顔と手足が、呪怨のカヤコみたいに真っ白だったって言ってました。
周りが白いから黒目だけがやたら目立って、以前の優しさの面影もなくてもう化け物も同じだったと。
もちろん、祖母ちゃんは一晩中金縛り状態。
それで気が付いたら、いつのまにか朝になってしまった。
案の定、80婆さんその夜に悶き死んでたらしいです。
祖母ちゃんは、
「 あれは絶対、自分を連れに来たに違いない。
もし、あの呼びかけに一言でも答えていたら、きっと魂を抜かれたと思う。
足の先から魂を引っ張ろうとしてるのが分かった。」
って言い切ってました。
怖いと思ったのは、白塗り幽霊は病室の戸口に立ってたってのに、その呼びかけは口元からじゃなくて祖母ちゃんの脇腹辺りから聞こえてきたってことです。
祖母ちゃん曰く、
「 〇〇さ~ん、〇〇さ~ん(祖母ちゃんの名前)って声が、脇腹から心臓に抜けた。
怖くて気を失いそうだったが、そうなったら連れて行かれる。
子供のことを思って、足を踏ん張って必死で堪えぬいた!」
んだそうです。
ちょうど50年前の話。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ