日々の恐怖 6月13日 妹の話(1)
兄が中学生になるとのことで、家族で近くに家に引っ越しをしたときの話です。
築40年以上の家で古臭い一軒家なのですが、その家に変なものが大量にありました。
カラフルに色付くミラーボールや甲冑、大量の漢字が書かれた札。
そして、大量の剥製でした。
大きいものは虎から小さいものはネズミまであり、私は親から穢れるから触るなと言われました。
お祓いをし、何度も清めました。
もうないはずとのことで家に入れてもらえることとなり、落ち着いたときに私が兄と家でかくれんぼをしました。
私が隠れたのは畳の間で押し入れみたいなところの上の部分です。
おとなしくしていると、横に何かがあるのに気が付きました。
這って近寄ると黒いさらさらしたものに触れました。
「 〇〇みーっけ!」
兄に見つかり、襖を開けられ光が入ってくると、全体が見えてきました。
カラスの剥製でした。
「 にいちゃん、カラスいたぁ。」
「 きたねえから触んじゃねぇ。
ババァ剥製まだあんぞ!!」
婆ちゃんが驚いて台所から出て来ました。
「 はぁ?
そこはもう確認したのに、なんでまだでてくんのけ!?」
中に入ってる私にはまだ大量の剥製が見えました。
「 にいちゃん、奥にまだあるよ。」
再度、剥製引き取りの方に来てもらい、業者のお経が唱えられました。
私は汚いから触るなと言われたカラスの剥製を兄に引き離されるまで撫でていたと聞きました。
「 触るなつっとろんが。
カラスに魅入られたのか?」
「 でもさにいちゃん触り心地いいよ。
可愛いし。」
そして、その日の夜に変なことがおこりました。
ドンドン・パシパシ・ギシギシと家鳴りなのか音が聞こえてくるのです。
庭の砂利を踏む音も聞こえ、話声も聞こえてくるのです。
兄も不思議がり廊下に出て確認してくれました。
小さく悲鳴を兄が上げた後、急いで子供部屋に戻ってきました。
「 にいちゃんどしたの。
なにぃみえたの。」
「 なにも、なにも見えんかった。
ただ砂利が動いて、こっちに向かって音が聞こえてくるん。」
怖かったので兄と一緒の布団にはいり、朝を迎え両親に伝えました。
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