一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

国家として、個人として (日中関係 その5)

2005-04-28 | 日中関係
ここのところの日中関係の記事に関しコメントやTBをいただいて、改めて考えたのが、中国(人)の日本の戦争責任への言及に対して、国家として対応するか、個人として対応するか、ということ。


TBいただいたjack_fujiiさんの記事への僕のコメント(2回分)を僕自身の備忘のため再録したので、文脈がわかりにくいかもしれませんがご容赦ください。


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「戦争中とはいえ中国人を殺したことに対して、(中略)日本人は反省し続けねばならない」というところ、については、やはりちょっと違和感があります。

たとえば個人の日本人犯罪者が中国人を殺したからといって、日本人として(恥ずべきではあれ)謝罪することにはならないと思います。
やはり基本は国家の行為として侵略戦争を仕掛けた、その中で非戦闘員に対する残虐行為を行った、というところを反省すべきなのだと思います。

そして、国家としての行為の反省(または反省が不十分)というのは、(国民の感情は斟酌するにせよ)最終的には国家同士で手打ちをすべき問題だと思います。

その意味で、小泉首相のAA会議での演説は適切だと思います。

逆に、今回に限らず中国政府が「国民の反日感情」を外交カードや国内のガス抜きに使っていると思われる点には、個人的にはいかがなものか、と思います。

中国の人々が個人的な歴史に対する感情まで捨てる必要はないと思いますが、それが「反日デモ」という組織的行動になってしまうところが、(それは当局の誘導なのか、歴史教育の所産なのか、根深い反日感情なのかわかりませんが)残念です。
確かに相手の感情を逆撫でする行為をあえてするのは愚挙(そういう日本人が多いのも確かです)ですが、かといって日本国または日本人として中国人ひとりひとりの納得を得るまで謝罪・補償をしつづけることはできない以上、気に喰わない事があるとすぐに反日デモ、というような対応をされると、日本としてもお付き合いしにくくなってしまいます。

少なくとも民主主義国家においては国民の理性に働きかけ、無意味な軋轢を起こさないようにするのが政府やマスコミの役割だと思うのですが。

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国家としての責任、個人としての責任についてですが、私自身、国家としてけじめをつければ、個人としてはどうでもいい、と思っているわけではありません。
ただ、日本としてどう対応するか、を考えるに、まず国家としてのけじめを考えなければならないのではないかと思います。

TBさせていただいた私の記事とコメントに書いたのですが、まず最初の問題は、日本が自国内で戦争責任についてのけじめをつけていないところにあるのではないか、と今は考えています。

結局ここの部分の基本線の胆が据わっていないので、日本の国としてのスタンスが対外的にも認識されておらず、個人の感情レベルの応酬になってしまいがちなのではないでしょうか。
また、日本人自身「戦争被害者」という意識が残っている
のも(確かに被害者と言う部分もあるのですが)誰と誰の関係において誰が被害者で誰が加害者なのかをはっきりさせていないことが原因なのではないかと思います。


引き合いに出すのは申し訳ないのですが、先日のJRの事故で、遺族に謝罪したJR幹部に対して「子供(妻/夫)を返せ!」と言う遺族の叫びが報道されていました。
その気持ちはわかるのですが、JRとしてできること(すべきこと)は、遺族への補償と安全運行の徹底であって、たとえば遺族の人がJRを利用するたびに駅員が深く頭を下げること(を義務付けること)ではないと思います。
それは、個々の駅員が、そのような事情を知ったときに、改めて哀悼/反省の意を表すべき問題だと思います。

>国家がその責任を負うか、個人が責任を負うか、という問題であり、過去のことを過去のこととしてみるか、自分たちとリンクさせるべきものであるかという違いがあるのだと思います。

というjack_fujiiさんのコメントについては、私はそれらは両立しうるものだと思います。
ただし、国家間の議論においては、まず、国家としてのスタンスをはっきりさせることが問題なのではないかと思います。

個人同士の関係についてはお互いの立場に共感できるかどうかと言う部分もあり、一概にべき論でくくるのは難しいですね。

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PS 改めて読み直すと、コメントの文章とはいえ「・・・と思います。」で終わっている文章ばかりで、リズム感がなく平板ですね。
反省
コメント
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