一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『鉄子の旅』

2007-02-12 | 乱読日記
私は実は元鉄道少年でした。

小学生の頃は毎月時刻表を買って、週末には東京近郊の路線に乗りに行ったり、夏休みには秋田に行くのに現役のSLを見に羽越本線経由の旅程を組んだりしていました。
しかし中学以降はマニア度は亢進せず、一人前の「鉄ちゃん」に成長するまでにはいたりませんでした。

ただ時折三つ子の魂が顔を出し、自分の苗字のついた駅を訪ねて全線各駅停車で九州まで行ったり(高校の頃の話ですが、当時は東京から大垣行きの夜行に乗って、乗り継いでいくと翌々日の朝に長崎につきました)、高松に行くとなると迷わず「サンライズ瀬戸」を選んだり(このときです。写真も撮ったりしたのですがこの当時は鉄ちゃんネタは避けていたようですねw)しています。

で以前から気になっていたのが『鉄子の旅』というマンガ








鉄道マニアのライターと一緒に旅をするという仕事をもらった漫画家の女性が、ライターのマニア度に驚きながらの道中を描いたものです。

昨日たまたまコンビニで見かけてぱらぱらめくったところ、最初からツボにはまって思わず買ってしまいました。

その第一話の舞台は久留里線。千葉県の木更津から房総半島の奥まで行って行き止まりになってしまうというマニアックな路線です。


前置きが長くなりますが、遡ること数年前、まだ日本の景気回復も定かでなかった頃の話です。この当時は一攫千金風の怪しい話が時折飛び交っておりました。
ちょうど芸能人などを信者に抱えるといわれる新興宗教の真如苑が閉鎖を発表した日産村山工場の跡地を買うという話があったころです(これは実現したようですが)。
私のところにも似たような話が来ました--某大手会社のグラウンドに某有名寺社が別院を建てたいのでつないでくれないか。
不思議とこういう話はけっこうちゃんとした会社の役員などを何人か経て来る(またはそのように称される)もので、たぶんそういう方々は話を断らずに誰かに対応を任せるので「友達の輪」経由で話が伝わり、「怪しい話だけど断りにくい」という状況ができてしまうのではないかと思います。
さて、成り行き上私のところでとどめを刺さなければいけなくなり、調査会社で調べたところ、他所にも話を持ち込んでいるようで直近のレポートがありました。
それによると、総本山は現在千葉県の亀山湖の近くにあると称しているが、現況は看板のついたバラックしかなく、寺社予定地と称する土地のも他人の所有だそうです。
また、別ルートで等の寺社関係者にも「別院」の代表と称する僧侶の事情などを(「大本山」と「総本山」と「本山」の関係というのもそのとき初めて知りました)あたっても、やはりまともな話ではなさそうでした。

これで一件落着にしてしまえばいいのですが、ちょっとひっかかったのが「亀山湖」。最寄り駅は久留里線の終点「上総亀山」ではないですか。
これを逃すと久留里線など一生乗る機会はありません。
折りしも春先。「一応現地を確認しないと」という名目で、天気のいい日を見計らって久留里線ツアーに行ってまいりました。

そんな記憶を掘り起こされたら、買わないわけにはいきますまい。


さて、本書の旅の企画をする鉄道マニア氏はJR全駅乗下車という記録を持つ人で、今回も各駅で下車することにします。しかし久留里線は1時間に1本しかないので、効率よく回るために「2つ先の駅まで行って、上り電車でひとつ手前の駅まで折り返す」という技を駆使します。


これもまたツボ・・・


これはもう20年近く前の話です。
スペインを旅行したとき、バルセロナの郊外にガウディの初期の作品であるコロニア・グエル教会を見に行ったときの話です。

鉄道を利用して行ったのですが、列車はここでも一時間に1本程度しか通っていませんでした。しかも帰りに駅に着くと、前の列車は出てしまった直後です。
仕方がないのでのんびり時間をつぶすか、と思って時刻表を見ると、駅に止まる列車の間に通過する急行が通っているようです。しかも急行停車駅はバルセロナと反対側の次の駅です。
そこでよく調べると、10分後に来る下り列車に乗って次の駅で10分の待ち合わせで折り返しの急行に乗ってバルセロナに帰ることができます。
意気揚々と次の下り列車に乗りました。
切符は列車に乗ってから車掌から買う仕組みだったので、車掌に「バルセロナ」というと、身振り手振り(なにしろこちらはスペイン語はわからず車掌は英語がわからない)で「お前は反対方向に乗っている」と言います(そのとおりなんですがw)。これに対して私はこれも身振り手振りで、「それは承知で、次の駅で折り返してバルセロナに戻るつもりだ」とやるのですが、どうしても通じません。
結局間違った結果か意図してかという違いはあるものの「次の駅で降りてバルセロナに戻る」ということでは共通認識に達したので、車掌は彼の理解なりに「間違ったんだから切符は切らないから上り列車で買え」と身振り手振りで伝えて去っていきました。
このように車掌はなかなかいい人だったのですが「反対方向に乗って折り返す」ということをやるスペイン人はいないんだなぁと自分の中の日本人的発想(今思えば鉄っちゃん的発想)の特殊性を認識したものです。

(ヨーロッパには日本のような鉄道マニアっていないんですかね。友人にも、TGVに乗りたいがためにパリで「リヨンまで日帰りの往復」乗車券を買おうとして、窓口の係員(英語が話せる)に何で当日に行って現地に1時間もいずに戻ってくるのだか理解されずに困ったことがあるそうです。)



まあ、そんなこんなで、昔の知識やら思い出やら発想やら、いろんなことを思い起こさせてくれる、ある意味ちょっと危険な本ではありますw
コメント (2)
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