一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

サッポロホールディングス(その2)

2007-02-23 | M&A
ニュースの流れに遅れている上に、あまり整理がされてないのですが、
サッポロHD、新買収防衛策導入へ・株主総会で承認諮る
(2007年2月16日 日本経済新聞)
に関しての雑感です(サッポロのリリースはこちら参照)。

もともとサッポロは昨年取締役会決議により買収防衛策導入をしたのですが、今回スティール・パートナーズ側から買受意向表明とともに株主総会決議による当該買収防衛策の廃止の提案をうけ(参照)、自らも定時株主総会において新たな買収防衛策を株主総会決議により導入することにしたものです(スティール社の買付けに関しては従来の防衛策が適用されます)。

もともと買収防衛策の導入に株主総会決議が必要か、という議論がありました。
会社法では「取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。」(295条2項)とあり、(ざくっと言えば)定款変更により買収防衛策を定める以外の買収防衛策導入についての株主総会決議は法律的には意味がないのではないか、というものです。

一方で、上の日経記事にもあるように「防衛策については株主総会に諮るべきとの最近の社会的潮流」もあり、総会決議をする企業も増えています。

サッポロもその流れに配慮したのでしょうが、その行為自体が現在の買収防衛策の正当性を減じることにならないのでしょうか。

また、買収防衛策を総会決議で導入する会社に機共通する話でもありますが、スティール側が買収防衛策の廃止について株主提案権を行使した場合、サッポロは自ら総会の決議事項にした以上はスティール社の提案を不適法な議案とすることはできないように思います。

そうすると他に法律・定款で定める株主総会決議事項でない株主提案(たとえば「アサヒビールと企業提携交渉をすべし」とか)がなされたときに、その提案を不適法な提案として総会議案に取り上げないことができるのか(=どこで線引きをするのか)という問題に突き当たるのではないのでしょうか。


何でも念のため株主総会決議をしておく、というのは両刃の剣になってしまうような感じもします。

コメント
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