時津風親方解雇へ、相撲協会が力士急死で厳罰
(2007年10月2日(火)03:03 読売新聞)
5日に招集される理事会で正式決定される。解雇は相撲協会の賞罰規定で、最も重い処分。協会員の解雇は初めてで、二度と大相撲には戻れない。協会の理事10人全員にも何らかの処分を下す方針だ。
この問題では先月28日、文部科学省が真相究明や関係者の処分を求める異例の指導をしていた。
相撲協会の北の湖理事長は1日午後、弁護士同席の上で約1時間半、時津風親方から事情を聞いた。同親方は、斉藤さんが亡くなる前夜、ビール瓶で額とひざをたたいたことや、他の弟子が金属バットや棒で、斉藤さんに暴行を加えたことを認めた。これを受け、協会執行部は、「結果として若い弟子が亡くなった。警察の捜査は別にしても、人道的に許されない事態。師匠の管理・監督責任は厳しく問われなければならない」として解雇処分に踏み切ることにした。
相撲協会は悪い見本の企業不祥事同様後手に回っているような印象を受けます。
朝青龍のときはマスコミのバッシングにあおられて右往左往し、今回は初動の遅れです。
どうもやはり相撲の世界は一般常識からは隔絶したところにいるようです。
そもそも国技の危機…新弟子検査の受検者ゼロというご時勢ですから、昔のように弟子にとっては「関取になって一旗上げる」というのがインセンティブにならなくなり、不必要につらい稽古に耐えようという人が減ってきたのだと思います。
一方現状の「親方」「部屋」制度のなかでは、力士の部屋間の移籍はできない(多分)ので、親方としては自分で採用した新弟子を育てるしかありません。
そうだとすれば、新弟子をいかに育てるかが部屋にとっても急務のはずです。
百万歩譲って厳しい稽古が「かわいがり」で、辞めようとする弟子を思いとどまらせようとする行為が「愛のムチ」だとしても、それが手段として有効かどうかという冷静な判断は持っているべきで、少なくとも日ごろ鍛えている若者を死に至らしめるほどの暴行が正当化できるとは思いません。
私は知識がないのですが、各相撲部屋には所属力士の数に応じて補助金が出たり、親方のタニマチからの収入で部屋としては十分に潤っているなど、親方にとっては親方株を持っていさえすれば生活は安泰で、弟子を出世させるインセンティブがないような構造になっているのでしょうか。
この問題は相撲部屋システムの構造的問題を象徴しているように思えるので、朝青龍のズル休みと比較にならない重みがあると思います。
ただ、仲間内の親方についてはギリギリまでかばおうとしてうまくいかなかったという今までの展開を見ると、反動でアウトサイダーの朝青龍にも厳罰を、という影響が出そうな感じもします。