一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『iPodをつくった男』

2008-03-24 | 乱読日記
本書はタイトルのような「iPod開発物語」でもなく、また副題の「スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」のようなアップル社の経営をモデル化した本ではなく、アップル社とスティーブン・ジョブズのこれまでの仕事を概観する内容になっています。

その意味では、私のようなWeb0.2の人間にも非常にとっつきやすい本です。

消費者が欲しいものでなく自分たちが欲しいもの(消費者を先導するもの)を作る、「世界で最初のもの」でなく「世界で最も優れたもの」を作る、そのための機能やデザインへのディテールに至るまでの徹底した作りこみと、その企業文化を作ったスティーブン・ジョブズの姿を新書と言う少ない紙数で浮き彫りにしています。

ジョブズ自身、そのエキセントリックさから一度は自ら創業したアップル社を更迭されます。
その後ジョブズはネクスト社での挫折、ピクサー社での成功を経て「ある程度大人になって」アップル社のCEOとして復帰し、業績不振だったアップル社を復活させます。

このあたりは企業風土とリーダーシップの相乗効果の見事な見本です。
ただ、創業者以外はなかなか真似できない所であるのも事実です。
(現場に介入してディテールに口を出す社長や役員が(リップサービスでなく)有効に機能している例はほとんど聞きませんよね)

しかし「全く他人事」としてしまうにはあまりにもったいないほどユニークなエピソードが豊富なので、何かひとつでもヒントを得られれば十分元が取れる本だと思います。


おまけとして、スティーブン・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行った有名なスピーチを日本語訳つきでYoutubeでupしてくれた人がいたのでリンクしておきます(下のが(1)で、(2)が後半です)。

ジョブズは新製品発表などのプレゼンテーションの名人なだけでなく、事前に完璧なまでの準備を(それも自ら)することでも有名だそうです。
このスピーチも、背後にそういう努力があると考えると感動もひとしおだと思います。







コメント
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