などと昨年来2ちゃんなどでは言われているらしいですが・・・
新司法試験で教授が不正な受験指導、慶大に改善勧告
(2008年3月24日(月)20:40 読売新聞)
法科大学院の評価機関「大学基準協会」は24日、慶応大法科大学院の評価結果を公表し、新司法試験で出題担当だった同大教授(辞職)が不正な受験指導をしたことについて「大学院の授業時間が(新司法試験の出題科目に)過度に偏っており、そうした教育姿勢が司法試験問題漏えい疑惑につながったとの見方を否定できない」として改善を勧告した。その上で、評価基準には適合していると結論づけた。
同協会の評価報告書によると、慶応大は新司法試験に出題される法律基本科目で、授業後に「フォローアップタイム」と呼ばれる補習を実施。また若手弁護士を講師とするゼミを設け、新司法試験対策の指導を行っていたといい、報告書は、こうした大学院全体の教育方法が不正の背景にあった可能性を指摘した。
同協会は、次回の評価を行う5年後までに毎年、不正防止策の実施状況を報告することも要請。慶応大法科大学院は「評価結果を 真摯 ( しんし ) に受け止め、速やかに改善を図っていきたい」としている。
ロースクールを卒業しないと司法試験を受けられない、という制度を作った以上、ロースクールに入学する人のほとんどが(というか例外的に勉強熱心な人を除いてほぼ全員が)司法試験を受験するつもりだと思うのですが、司法試験対策重視の教育方法はよろしくない、というのでしょうか。
であれば、今回「評価基準に適合しない」という評価をすべきだったと思います。
また考査委員である教授が類題を出した行為は「大学院全体の教育方法が不正の背景にあった」というなら不正は組織的なもの、と(昨今の企業不祥事に対するマスコミの論調でいえば)言えるのではないでしょうか。
とても中途半端な対応のように思います。
たとえば今回の事件が合格率の低い弱小私立大学や新設国公立大学のロースクールで起きたななら「評価基準に適合しない」となったのではないでしょうか(そういう大学の教授は司法試験の考査委員にはならないだろう、という問題はさておき)。
そもそも、僕も含め世の中の人の大半はロースクールは司法試験の予備校に近い機能を果たしていると思っているのではないでしょうか。
現に知り合いのロースクール(慶応ではない)の先生が自校の卒業生の司法試験の合格率に一喜一憂してますし、雑誌『ビジネス法務』で「法曹資格を持たないロースクール修了者の企業での採用を考える」という特集が組まれるくらいですから(こちらのエントリなどもご参照)。
慶応大学自体も「教育方針を見直す」というコメントはしていないわけですし、そうだとするとコメントの「速やかに改善を図ってい」くというのが、何の改善を図るのかよくわかりません。
たぶん大学自身も教育方針がまずい、とは思っていないんじゃないでしょうか。
慶応のロースクールは司法試験の合格率は高いのようですし、不正に関係なくその数字が達成されたのであれば、教育方針としては問題はないどころか望ましいじゃないでしょうか。
医師国家試験の合格率の低い医学部はレベルの低さが問題にされるのに、法科大学院は受験に焦点を当ててはいけない、というのもちょいとおかしいです。
もし試験結果と評価機関の考える教育のレベルに正の相関関係がないというのであれば、真っ当な教育を受けた法科大学院生が合格できないような、受験テクニックが必要な司法試験のほうを問題にすべきではないでしょうか。
まあ、将来法律家になるには、この程度の本音と建前の矛盾は当然に飲み込んでロースクールを選択するはずなので、評価機関は理想論を言っておけばいい、ということでしょうかねぇ・・・