食物アレルギーを持つ人口は、およそ1~2%(乳児は10%)と言われる。その割合は、鶏卵(35%)・牛乳(22.3%)・小麦(12.5%)以上の3つで、7割を占める。
国立成育医療研究センターは、妊婦に特定のぜんそく治療薬を投与すると、生まれた子の乳児期のアレルギー発症を予防できる可能性があることを、マウスの実験で明らかにした(11月26日発表)。
アレルギー体質になるかどうかは、生後3ヵ月までに免疫グロブリンE(IgE)と呼ばれる物質をたくさんつくる体質になるかどうかである。”IgE”が花粉・食物・ダニなどと反応し、花粉症や食物アレルギー、ぜんそくを発症する。
研究チームは、胎児や乳児期にのみ現れる「mIgE陽性B細胞」に注目。
この細胞の表面にある”IgE”に、花粉や食べ物などの原因物質(アレルゲン)が結びつくと、”IgE”を大量に作り始める。この”IgE”に特殊な薬を結合させると、細胞を自殺させるスイッチが入り、生涯にわたって”IgE”が作られなくなる。妊娠中の母親マウスに薬を注射すると、胎児マウスの体内では、ほとんど”IgE”が増えないことを実験で確かめた。母体からへその緒を通じて赤ちゃんに送られ、mIgE陽性B細胞が死滅した可能性が高いとみている。効果はマウスが生まれた後大人になっても続き、アレルギー体質にはならなかった。悪影響がないことも確認した。
”IgE”は今年7月に亡くなった石坂公成博士らが1966年に発見し、アレルギー検査などに広く使われている。今回の研究は石坂博士が着想し、国立成育医療研究センターを中心に進めてきた。今後、アレルギー体質の妊婦らに協力してもらい効果を検証する。同センターの森田英明・アレルギー研究室長は「人での安全性を確認し、数年以内に臨床での実用化につなげたい」と話す。
◆乳幼児の抗菌薬の使用は慎重に
(国立成育医療研究センターなどの研究チームによる、2018年6月)
調査は2004年~2006年に生まれた赤ちゃんを対象に実施。2歳までに抗菌薬を服用したことがある436人と、そうでない466人について、5歳になった時点で、アレルギー疾患にかかっているかどうかを比較した。
抗菌薬を服用した子どもは、使わなかった子どもより、気管支ぜんそくにかかった割合が1・7倍高かった。アレルギー性鼻炎は1・7倍、アトピー性皮膚炎は1・4倍高かった。
アレルギー科の山本貴和子さんは「アレルギー発症の原因として、抗菌薬の影響で腸内の細菌の構成が変化したことが考えられる」と言う。
抗菌薬は、使いすぎなど不適正な使用法により、薬が効かない耐性菌を出現させる原因になっていることが問題視されている。
国立成育医療研究センターは、妊婦に特定のぜんそく治療薬を投与すると、生まれた子の乳児期のアレルギー発症を予防できる可能性があることを、マウスの実験で明らかにした(11月26日発表)。
アレルギー体質になるかどうかは、生後3ヵ月までに免疫グロブリンE(IgE)と呼ばれる物質をたくさんつくる体質になるかどうかである。”IgE”が花粉・食物・ダニなどと反応し、花粉症や食物アレルギー、ぜんそくを発症する。
研究チームは、胎児や乳児期にのみ現れる「mIgE陽性B細胞」に注目。
この細胞の表面にある”IgE”に、花粉や食べ物などの原因物質(アレルゲン)が結びつくと、”IgE”を大量に作り始める。この”IgE”に特殊な薬を結合させると、細胞を自殺させるスイッチが入り、生涯にわたって”IgE”が作られなくなる。妊娠中の母親マウスに薬を注射すると、胎児マウスの体内では、ほとんど”IgE”が増えないことを実験で確かめた。母体からへその緒を通じて赤ちゃんに送られ、mIgE陽性B細胞が死滅した可能性が高いとみている。効果はマウスが生まれた後大人になっても続き、アレルギー体質にはならなかった。悪影響がないことも確認した。
”IgE”は今年7月に亡くなった石坂公成博士らが1966年に発見し、アレルギー検査などに広く使われている。今回の研究は石坂博士が着想し、国立成育医療研究センターを中心に進めてきた。今後、アレルギー体質の妊婦らに協力してもらい効果を検証する。同センターの森田英明・アレルギー研究室長は「人での安全性を確認し、数年以内に臨床での実用化につなげたい」と話す。
◆乳幼児の抗菌薬の使用は慎重に
(国立成育医療研究センターなどの研究チームによる、2018年6月)
調査は2004年~2006年に生まれた赤ちゃんを対象に実施。2歳までに抗菌薬を服用したことがある436人と、そうでない466人について、5歳になった時点で、アレルギー疾患にかかっているかどうかを比較した。
抗菌薬を服用した子どもは、使わなかった子どもより、気管支ぜんそくにかかった割合が1・7倍高かった。アレルギー性鼻炎は1・7倍、アトピー性皮膚炎は1・4倍高かった。
アレルギー科の山本貴和子さんは「アレルギー発症の原因として、抗菌薬の影響で腸内の細菌の構成が変化したことが考えられる」と言う。
抗菌薬は、使いすぎなど不適正な使用法により、薬が効かない耐性菌を出現させる原因になっていることが問題視されている。