吉田みなみさんは1993年札幌生まれ。
東京造形大で彫刻を学んで2016年に卒業。19年に後志管内蘭越町にアトリエを構え、子どもたちにアートを教えながら制作に取り組む彫刻家です。
リーフレットの「近年の主な活動歴」を見ると、高校生だった2009~10年と、卒業後の16年以降に、個展やグループ展で数多く発表しているのですが、お恥ずかしいことに筆者はあまり印象にありません。これは、彼女の作品に . . . 本文を読む
札幌の鉄の彫刻家、浅井憲一さんの個展の、閉幕ぎりぎりに飛び込みました。
冒頭画像は「春かける 向こう側の風影」。
鉄の棒を溶接して組み上げた実物大の馬です。
向こう側が透けて見えます。
右側に、作者に立ってもらったのは、作品の大きさが一目で分かるようにと考えたため。
よく会場に入ったなあと思わず感心してしまうほどの大きさで、迫力十分です。
「馬って、大きいですよね。以前、実物大の . . . 本文を読む
非常に精力的に制作・発表を続けている石狩市在住の彫刻家川上りえさんと、モエレ沼公園を基本設計した彫刻家イサム・ノグチの「あかり」とのコラボレーション。
「あかり」と道内作家の共演は、2016年冬にも展開されています(下にリンクを貼っておきました)。
あかりはイサム・ノグチが1952~86年に手がけた9点。
いちばん大きいものは1.9メートルもあります。
一方、川上りえさんは、2013 . . . 本文を読む
オーナーの大井恵子さんから
「ギャラリー門馬を建て替える」
という話を聞いたときは、おどろくとともに、ありがたい話だと思いました。
この数年は、それまで一貫して増加基調にあった札幌圏のギャラリーが、「閉まる」という話題ばかりになっています。
1990年代以降、前オーナーで母親の門馬よ宇子さんの時代から、札幌の現代アートなどにとってほんとうに貴重な場所であり続けてきたこのギャラリーが、たとえ二 . . . 本文を読む
でかい。
高さ約4.2メートルとのこと。
この会場で見た全作品で最大だと思います。
かなりの広角レンズがないと、1枚に収まりきれないほどです(なので、2枚に分割しました)。
テンポラリースペースは古民家改造のギャラリーなので、壁・床面積は決して広くありませんが、2階の床の一部を取り払って吹き抜けにしているため、こういう芸当ができるのでしょう。
ちなみに、3枚目の画像は、 . . . 本文を読む
石膏に着彩した人物像という、ユニークな彫刻を作っている札幌の伊藤幸子さんの個展です。
来年閉まる予定のギャラリーミヤシタで開く、おそらく最後の個展になるので、これまでのまとめ的な展示になっていました。
2枚目の画像のレリーフは新作ですが、冒頭画像はいずれも個展やグループ展で発表済みの立体作品です。
奥の少年は、札幌国際芸術祭2014の連携企画として札幌芸術の森などで開かれた「Sprou . . . 本文を読む
熊谷文秀さんは札幌の造形作家。1964年、青森県生まれ。
近年は道展に出しているほか、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)の「つながろう」展でユニークなインタラクティブアートを出品していたのでご記憶の方も多いでしょう。
展覧会の「森の匠」、さらに会場の印象とあいまって、木工クラフト的な作品が並んでいるのは―とつい想像してしまいますが、さびかかった赤茶色の鉄によるがっしりした造形です。
ロ . . . 本文を読む
(承前。全文をアップしました。遅くなってすみません)
お目当ての作品は、釧路工業技術センターの、ガラス張りのロビーに飾ってありました。
釧路市阿寒湖温泉の藤戸康平さんによる≪Singing of the Needle≫。
ことし8月から米国サンタフェのIAIAネイティブアート現代美術館で、米国やオーストラリアなど世界各地の先住民族が参加する展覧会「「風が吹いたら―世界30人のネイティブア . . . 本文を読む
(承前)
ちょっと間があいてしまいましたが、ベニザクラパーク・アートアニュアルの続き。
渡辺行夫さんの作品はド迫力過ぎて、ネタバレしないよう、会期が終わってからアップしたほうがいいかな、と思ったのは確かです。
ガラス窓越しに鑑賞する方式です。
それにしても、でかい。
恐竜がでかいのは当然かもしれないし、じつはイタドリという軽い素材(道内の道ばたあちこちに生えてる巨大な草)を使っている . . . 本文を読む
※画像撮影は作者の許可を得ています。
(承前)
浅井憲一さんは1952年大阪生まれ、9歳のときに札幌に転居し、札幌市南区のアトリエで鉄の彫刻をつくり続けています。
一方、佐藤隆之さんは1971年上川管内音威子府村生まれ。いまは札幌を拠点に創作活動を続けています。
活動するフィールドのあまり重ならなさそうな二人でしたが、鉄と紙という、剛と柔を代表するような素材のちがいがおもしろい組み合わせ . . . 本文を読む
秋山知子さんは、筆者の記憶に誤りがなければ札幌の道展会員で、道展には人物彫刻を出品しています。
正統派の裸婦というよりは、どこか素朴な雰囲気を漂わせる人物像をつくるという印象がありますが、難解な作品ではありません。
ところが個展では、前回(2018年)から、ガラスによる小品を発表し始めました。
道立近代美術館で開かれたガラスの展覧会で、扇田克也さんの作品などを見てあこがれたのがきっかけ . . . 本文を読む
(承前。画像は2階の小展示室)
今回(って、もう1カ月近くたちますが)の札幌行きの大きな目的の一つは、山田大揮さんの個展で行われる、小田原のどかさんとのトークイベント「<制作>行為に潜在する加害姓」に足を運ぶことでした(もう一つは、札幌国際芸術祭2020の記者発表で、このふたつが日程的にそろったことから札幌に帰省することにしたのです。異動後、夏休みと年末年始以外では初めて私用でオホーツク管内を . . . 本文を読む
(承前)
3連休の最終日は、2月12日で終わる「無辜の民」展を、本郷新記念札幌彫刻美術館でもう一度見ることにしました。
いろいろ迷った末の選択でしたが、8日に学芸員によるスライドトークが午前11時からあったためです。
ところが、地下鉄の接続が悪い上、円山公園駅でタクシーをつかまえるのに苦労し、10分以上遅れて美術館に着きました。
ふだんはそもそもタクシーにほとんど乗らないのです。たまに . . . 本文を読む
本郷新の「無辜むこの民」といえば、石狩の海岸にある晩年の大作が知られているが、それより前の1970年、「無辜の民」シリーズとして小品15点が制作され、東京・銀座の画廊で発表された。今回の展覧会は、それをまとめて展示するとともに、石膏せっこう原型や、さらに旭川・常盤公園に設置された「風雪の群像」の模型も展示している。
筆者はこの展覧会を2019年の道内ベストワンに推したが、最大の理由は、196 . . . 本文を読む
札幌近郊の長沼町(空知管内)にアトリエを構えていた彫刻家の野村裕之さんが、今春から、オホーツク海側に紋別市に拠点を移している。
さっそく、紋別の市立博物館が個展を企画した(なぜか、タイトルに野村さんの名がないが)。
紋別地方には立体や彫刻の作家が少ないこともあり、同館としては、今回の展示が、絵画など他ジャンルの作り手にとって刺戟になれば―という思いもあるようだ。
たしかに、 . . . 本文を読む