12月25日(火)=第147日目 南緯47度28分 西経55度26分
午後より風は右に振り、夕方北西になる。しめしめである。(中略)ウーン。急におすしが食べたくなってきた。信子の「お料理メモ」をのぞく。「(つくり方)ご飯は熱いうちに粉末の酢をまぜておきます。カニまたはエビ缶の水を切り、レモンと塩をふりかけます。海苔にご飯とカニ(またはエビ)、ワサビを包み、しょうゆをつけて食べます」。ハイ、おいしくいただきました。
堀江謙一『世界一周ひとりぼっち』
これは1973~74年にかけて、ヨットで単独無寄港世界一周を果たしたヨットマン・堀江謙一氏の冒険記である。文中の「信子」というのは、堀江氏の奥様らしい。
注目すべきは“エビ缶”という記述。
現在、エビ缶はほとんど見かけることがなくなった。
TBSテレビの『はなまるマーケット』でも昨年9月、「カニ缶はあるのにどうしてエビ缶はないのか」という視聴者の質問に答えるコーナーがあったほどだ。
(番組の該当ブログはこちら、筆者も一寸だけ出演したのだ)
堀江氏の文面からは、70年代当時はエビ缶がポピュラーな存在だったことがわかる。
しかしその後。冷凍技術の急速な発達によって、エビは冷凍物が普及するようになった。そうなると加熱加工済みのエビ缶は需要が減り、各企業も生産から手を引いていったのである。
その、今では珍しいともいえるエビ缶2種類を、本日はご紹介しちゃうのだ。
1つは三越の製品、もう1つはチェコのお土産
どちらも古式ゆかしくプルタブはついてない
パカッと開缶。
双方、ずいぶんと違いがあるではないか。
まず固体の大きさが違う。さすが三越製、小エビながら身が大きく、色も鮮やか。一方チェコのお土産缶はご覧の通りの大きさ。汁も多い。
まずは味見を、一口...。
やっ、味もまったく違う。三越製は非常に薄味で、わずかに塩分が感じられる程度。一方チェコ土産は塩分が強め。
もとい、三越製が塩分少なめなのだ。チェコ土産は味付けとして充分な塩分濃度である。
ここですだちをひとつ切る。
読者諸賢はご存知の通り、このシリーズは作品の光景を再現するのがウリなのだ。
文中ではレモンとなっているが、我が家に柑橘類がこれしかないので代用する。
エビに果汁を絞っておき...
海苔の上に酢飯・エビ・ワサビを載せて
さっ、かくのごとし。
撮影しているあいだに海苔がしけってしまい、ふにゃふにゃ手巻き寿司となった。
では堀江氏とその奥様に敬意を表して、いただきます。
ふむ、ふむ...。エビにすだちが利いている。そのままでも生臭さはないのだが、柑橘の爽やかさが加わるとまた格別なこと、いうを待たないだろう。
しかし茹でエビ特有の“ぷりっ”とした食感はあまり感じられない。製造時の加圧加熱によるものであろう。
ともあれ、缶を開ければすぐに食べられるのが缶詰製品の良いところなのだ。これ、サラダなんかに使うのもいいかもしれない。
三越の小えび
固形量:125g
原材料名:小えび、食塩、調味料(アミノ酸)、pH調整剤
原産国:日本(北海道紋別郡、オホーツクニチロ)
チェコのお土産エビ缶
固形量:120g(総内容量:200g)
原材料名:チェコ語のため不明
原産国:何とタイであった!