ゴールドパッケージでゴージャス
日本で一番売れているのは、ツナ缶であります。
そして、ツナ缶といえばシーチキンであります。
シーチキンははごろもフーズの商品名で、商標登録されているもの。
でも、日本ではみんな、ツナ缶のことを「シーチキン」と呼んでいる。
ソニーのウォークマンのようなものであります。
今回登場するのは、紛う方なきシーチキン。それも“とろ”と名の付いた高級品であります。
美が宿る内観
開缶!
いかがでありましょう。ため息が出るほど美しい内観ではないか。
あたかも、打ち寄せる波のごとし。
あたかも、有名設計士の手による建築のごとし。
あたかも、京都・竜安寺の石庭のごとし。
だんだん例えがおかしくなってきたが、とにかく美しいことに異論はないと思う。
はごろもフーズによると
「夏にとれた旬のびんながまぐろのとろ肉だけを使用しています」
という。
びんなが! そしてとろ肉!
とろ肉とは恐らく、かまの付近から腹にかけての部分だろうと推測する。
つまり、脂の乗った美味しいとこだけを使っているのだ。
見た目が美しいだけでなく、美味しいとこを使っていたのだ。
これは加熱などせず、そのまま味わってみたくなる。
かくのごとし。
身肉を手で千切り、冷たいご飯と野菜と一緒にして、ライスサラダにしてみた。
味付けはEVオリーブ油とレモン汁、黒コショウのみ。
さてこそは、シーチキンとろをひと口...。
むっ。
歯応えがあり、かつ、しっとりと柔らかい。
そしてうま味がある。ビンナガのうま味が、咀嚼するたび、じわっと湧き上がってくる。
さすが“とろ”と銘打っただけある。
がつがつと食べるのはためらわれた。ちびちびと、惜しむように食べていく。
ついでに、缶に残しておいた身肉も食べていく。
これは、あれだなァ。
秋の夜更け、ひとりウヰスキーを呑みながら、その相手をさせたいツナ缶だなァ。
しんとしずもった秋の夜。片手にはミステリーの文庫本。
箸で身肉を一枚ずつ剥がしとり、口中へ投入。しっくりと慈しみながら味わう。
すかさず、ウヰスキーをごくり。
ふと気付くと、ベランダで秋の虫が鳴いてゐる。
りりり、りりりと鳴いてゐる。
いいものですなァ、秋といふのは...。
やっ。春本番なのに、秋の妄想に入ってしまった。
しかもその妄想に20分も浸ってしまった。
それもこれも、このツナ缶のせいなのであります。
内容総量:75g
固形量:55g
原材料名:びんながまぐろ、綿実サラダ油、食塩、野菜エキス、調味料(アミノ酸等)
原産国:日本(静岡県清水・はごろもフーズ)
参考価格:450円