今回は大変にメジャーな缶詰さんにご登場いただいた。コンビーフーcorned beefである。cornedとは塩漬けという意味。片岡義男に影響を受けた世代のお方はキチンとコーンド・ビーフと発音するのも宜しいと思うが、英語でも単にcorn beefという言い方が存在する。
今回はブラジル産、Libby社のものであった。毎度お馴染み近所の大丸ピーコックで340g缶が何と今月のお買い得価格で315円。そこを更に10%offで283円。国産のK&Kニューコンビーフも真っ青の安値で購入したものだ。ちなみに『ニューコンビーフ』は牛肉と馬肉をミックスした独特の風味で、この製法のものはニューコンビーフと明記することが義務づけられているらしい。
とにかく安くあげようと画策している私にとって、国産超高級品のノザキのコンビーフなんか一生買うことはないのかもしれない。一抹の寂しさを憶えるが、ごく平凡に生きてきたことがあるいは幸せと言えるのかも知れない。思えば実にいい人生であった。合掌。
デジカメさんがまだお戻りにならないので、携帯電話のカメラを使用した。それにしても、コンビーフに付属する愛すべきくるくる切りの道具、巻取鍵はいつ使っても楽しいものだ。子供の頃は使用した後にもらい受け、大事に宝箱に仕舞っておいたものである。デザイン上も鍵の形を意識して作られたに違いないこの巻取鍵を使った開け心地は、全缶詰さんの中でもトップに君臨するほどの悦楽を伴うものであろう。そしてなぜか“豊かな国、米国”、“いつでも肉が食べられる国、米国”というトンチンカンな発想まで甦ってくる。コンビーフは元々米国のご出身である。
この料理方法は、知人に教わったペンネ料理をアレンジしたものだ。コンビーフを炒めたのちにリコッタチーズ(Ricotta)を加えてさらに加熱し、最後にイタリアンパセリを散らしたところにアルデンテさんのペンネを絡ませている。胡椒、オレガノ、バジルも始めに加えてある。コンビーフの塩気があるのでハーブとスパイスだけで充分であった。またリコッタチーズは個人的に好きなので、最後に上にも盛りつけてみた。
しかし一口頬張ってみると、やや調理を失敗したのが分かった。コンビーフをもっと炒めるべきであったのだ。一寸カリカリになりそうだぞ、というところまで炒めると、脂っこい匂いがとれてうっとりと香ばしいものになるのである。また今回は手元になかったのだが、ペパーミントを少々加えたほうが良かったと思う。リコッタに合うはずだ。
コンビーフは肉をボイルしたのちに細かくほぐして、そこに少々のブロックも加えて缶に詰められる。加熱しても赤色を保てるように、発色剤として亜硝酸Naが添加されているのだが、この残存量は食品衛生法で定められた70ppm以下という数値のさらに1/14から1/5という量であるらしい。これが胃の中でアミン類と反応してニトロソアミンを生成し、これが発ガン性があるという説もあるのだが、実際の残存量から勘案すると今のところ大丈夫らしい(参考資料(社)日本缶詰協会)。
そしてまたまた大量に作ってしまったが、今回からは悩むことなどない。昨日我が家には冷蔵庫さんがやってきたのである。これで臆することなくどんどん缶詰さんを開けていけるのである。現在冷蔵庫さんの中はスッカラカンだが、近い将来は食べ残した缶詰の中身で満たされることだろう。
思えば実にいい人生を歩んでいるようである。ブログ仲間のみなさんに多謝多謝なのである。合掌。