缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

スルメイカわた入り姿煮

2005-05-31 18:58:22 | 魚介
canssurume1

 最近、何だかご飯が美味い。やたらと美味い。
 一合炊くと、「もう一寸もう一寸...」と言いつつ全部食べてしまう。米とか水を変えたわけじゃないのに、もりもり食べる。
 白飯をたっぷりと食べるのは気持ちがいいものだが、こいつは炭水化物なのですね。だから最近私の腹部は、ずずいっと出っ張ってきているのである。着物を着るにはカッコいいかもしれないけど、裸になったら赤面ものである。

canssurume2

 それなのに、こんな魅惑的な缶詰さんが売っているのだもの。買わずにおれないのだもの。
 ひたひたと醤油のつゆに浸っていらっしゃるのだが、その色は真っ黒だ。これはわたの墨が溶けこんでいるようです。香りのほうも、ただの醤油煮より深みがある。

canssurume3

 箸でさわると、繊維方向にほろほろとちぎれる柔らかさ。ここに生姜とか大葉とか添えて食おうと思っていたのに、一口味わったら、ああ止まらないでがんす。
 イカはやはりわたが美味いのですねえ。その甘み苦み旨みが総攻撃してきて、あっという間に飯を半分食ってしまったです。そのあとは墨の溶け出したつゆを掛けて、もう半分。イカスミ浸しの米が口中に入ってくると、舌も頬の内側も、もう全員が大喜びでがんす。箸ですくうのもモドかしく、すべてかっ込んでしまった。またまた一合完食。

 そして、こうして椅子に座っていると、どうも腹部の出っ張りが気になって仕方がないのであります。自動的に“浅く腰掛けている”自分が恐ろしいのであります。どうしてこんな時期に(秋冬でもないのに)ご飯もりもり状況になっちゃったのかなあ。困ったものだ(反省の色なし)。


内容総量:100g(固形50g)
原材料名:いか、しょうゆ、砂糖、調味料(アミノ酸等)、ph調整材、原材料の一部に小麦を含む
原産国:日本
追:この記事は『J'sてんてんてまり』「鼻、ひろがる」に苦味くんくんトラックバック。

 


メンマやわらぎ(桜町荘セレナーデ)

2005-05-27 03:19:34 | 連載もの 桜町荘セレナーデ

~太字部分をクリックすると画像が表示されますです~

 しゃくしゃくしゃく...。
 犬丸が、瓶詰からメンマを一本ずつ取り出しては、丁寧に咀嚼している。
 きゅるっ。
 一本食べるごとに、キチンとふたを閉めている。最近発売されたばかりの、桃屋の穂先メンマやわらぎであった。
「あーあ、何もなくなっちまったなあ...」
 男4人で生活していたアパートの部屋には、荷物が殆どなくなっていた。居間の隅に、梱包された犬丸の持ち物が積み上げられているだけだ。
 部屋には隼人と優、その先輩である川崎と犬丸がいた。
 犬丸以外の3人は、それぞれ隣町の国分寺に引っ越しを済ませてあった。犬丸だけは東京の生活に見切りをつけ、田舎に帰ることになったのだ。
 しゃくしゃく、きゅるっ。
「しっかし、男だけでよく暮らしたよなあ...」
 川崎がキャビンに火をつけ、しみじみと言った。
「一時期はもっとたくさんいたんですよ、男ばっかり5人も6人も!」優が全員の顔を見回し、畳にひっくり返って屁を放った。
 確かに、
「なんか面白そうだから、オレも一緒に住む!」
 といって共同生活に無理矢理参加してきた男もおり、ある時期は狭いアパート内に男ばかりがうごめいていたこともあったのだ。
「異常な生活でありました」
「まあ、何にしてもや、終わりはあっけねえよなあ...」川崎はまたしみじみといった。
「犬丸、俺らのことは心配すんな。隼人がいいアパート見つけたからな」
「いいアパート? あれが?」優がすわと起き上がった。
「トイレ共同だし、風呂もないんですよ。今時、四畳半の部屋なんですよ!」
「バカ野郎、いいんだよ安ければ...」
「男はな、一度は四畳半に住まねばならないのだ!」隼人が力強く言った。しかし勢いで言ってるだけで何の根拠もない。
 しゃくしゃくしゃく、きゅるっ。
 しゃくしゃくしゃく、きゅるっ。
 しゃくしゃくしゃく...。
「あのさあ!」川崎が突然、口調を変えた。
「おめえ、いちいち食うたびにフタを閉めんなよ。女々しいやつだな」
「しょうがねえべ、食器をしまっちゃったんだから取り皿がないのっ」犬丸が反論する。
「そういうこといってるんじゃねえよ。いちいち箸で一本ずつ食って、いちいちフタ閉めんなっていってんだよ」
「ちゃんとフタ閉めないと乾いちゃうでしょっ」
「あーっ、見ててイライラするっ!」
「ま、まあまあ先輩」
 しゃくしゃくしゃく、きゅるっ。
「それ、美味いんですか」傍観していた隼人が訊いた。
「ああ、これは美味いよねえ。たまんないよ」
 しゃくしゃく、きゅるっ。
「うーっ! おめえのそういうところが、俺を苛立たせるんだ!」
 川崎は激してきた。キャビンを吸うスピードが速まった。
「ま、まあまあ。夫婦でもないんだし。へへへ」優がなだめる。
「バカ野郎っ、夫婦でたまるか!」
「俺に当たらないでくださいよう」
 川崎、隼人、優の3人は、部屋こそ別だが、みな同じアパートに引っ越したのだった。
 共同生活を解散すると決まってから、隼人がたまたま見つけてきた激安物件に(月額1万8000円である)、他の2人も安易に決めてしまったのだ。
「先輩、これからはちゃんと自分の城を持てるんですからね。もうイライラすること、ないですからね」
「おう、お前ら。これからは気安く俺の部屋に来んじゃねえぞいいな」
 川崎はまだ苛立っている。

 しかし、3人が引っ越したばかりのアパートは、これ以上はないというほどの安普請だった。試しに壁にドライバーを突き立てたら、隣の部屋に突き抜けてしまったほどである。
 これでは、自分の城も何もあったものではない。
 結局、桜町荘を出てからも、このメンバーは“へっぽこ三人組”として過ごしていくことに、まだ誰一人として気づいているものはいなかった。

 昭和60年、武蔵小金井にて つづく
 ひとつ前の話へ


今日はシーザーよ~♪

2005-05-18 20:35:49 | 缶詰考察

 あたし、なんだか味の濃い、ジャンクフードみたいのが食べたい気分なのよね。
 夕べ主人は「パソコンのトラブルのおかげでひどい食事だ...」なんて言って、ハッシュドポテトとソーセージを食べてたの。あたしもああいうの、食べたいわけよ。それというのも、結局あたしは気高くも卑しい生まれの犬だからワンよのね。


canscesar1

 ところが今日はこんな食事。何よこのテリア、ずいぶん可愛いじゃないのよワン。ふうん、こんな子は、こんな食べ物で育ってるのかしらねえ。可愛いと言えば、chai-diiちゃんにトラバしとこうかしら。あたしと同じ女の子ちゃんなのよね。

canscesar2

 あら、コンビーフみたいな匂いだワンよ。フンフン♪ フン。フン...?
 よく匂ってみると、やっぱりコンビーフとは違うわ。なんて言うか、
「ほおら、肉だよ!」
って出されたら、確かに肉っぽく感じるけど、
「これ犬缶だろ...」
って言われたら、やっぱり犬缶以外の何物でもないワンよね。そういう匂いなのよ。でもせっかく主人が買ってくれたんだし、一口食べてみるわ...。


(-_-)

 あああ、あたしダメだこれ。おまけにこのジャリッて歯触りはなに? あたしは普段、ちゃんとカルシウム摂ってるワンよの! 妙な骨粉とかいらないワンよ!

 あ~あ、まったくサエない主人だワンねえ。あっ、その食べ残したのどこに持っていくの? えっ? 隣のノラにあげるって? う~ん、ネコが食べるのかしらねえ。あたしが嫌いだといっても、一応は犬用なのよ...。


内容量:100g
原材料名:ビーフ、チキン、ラム、植物性油脂、各種必須ビタミン&ミネラル
原産国:オーストラリア
追:この記事は犬のバウ子が書いたものです。ニンゲンは犬缶なぞ食べないようにしましょう。   


クリスピ~♪ モンプチ

2005-05-16 14:46:53 | 缶詰考察

cansmonpetit1

 小生、常日頃は人間と同じ物を食べているのだ。ネコ缶なんて、喰ったことなかったのだ。
 近所の仲間がプラスティックの皿に盛られたカリカリなんかに夢中になっているのを「ふっ...」とケーベツしながら眺めていたくらいなのニャ。あっ、いかんいかんネコ言葉が出てしまった。
 しかし小生、このモンプチだけは忘れられない。気品のある真っ白いチンチラちゃんが、コマーシャルでこれを実に美味そうに、かつやや上質なケンタイカンを漂わせて食べていたのニャ。あのチンチラちゃんは何を隠そう、ある時期小生と恋仲だったマリリンちゃんなのニャ。ああ、優しかったマリリンちゃん。運河脇の公園で一晩中恋の詩を唱いあったのだニャ~(うっとり...)。あっ、いかんいかん、想い出にマイボツして理性を失った。


cansmonpetit2

 ふ~ん、いい匂いがするぞ。一寸レバーのような匂い。原材料を読むと(小生、読み書きも出来るのだゾ)、
 肉(チキン
 とある。どうも判然としないニャ。肉なら肉、鶏なら鶏とはっきり書けない理由があるのか知らん? しかしふたの裏についたゼラチン状のものをちろりと舐めてみると、やはりレバーっぽい旨みがあった。こいつは期待出来るかもニャ! マリリンちゃん!


cansmonpetit3

 |(-_-)|

 あのう、マズいんですけど...。
 さっきまでうっとりしていたレバー風味は、苦みの混じったざらついたものだった。レバーっぽいと言うだけで、実はどこの内臓か分からない感じだにゃあ。味付けはすごく薄い塩味。それはいいけど、生臭くて食えないニャ! 鷹の爪を漬け込んだやつ(名前は知らん)を混ぜて、ついでに胡椒も醤油も入れたけど、やっぱり匂いは消えない...。
 ああ、今になって想い出すのだにゃあ。マリリンちゃんは澄ました顔をして、実は生臭いものが大好きだったニャ。だから小生とは合わずに別れたのだにゃあ。
 想い出は~♪ 美しすぎてぇ~♪(遠い目で八神純子を口ずさむ小生)


内容量:85g
原材料名:肉類(チキン等)、植物たん白エキス、ビタミン類、ミネラル類等
原産国:米国
追:この記事はネコのニャン太が書いたものです。ニンゲンはネコ缶なぞ食わないようにしましょうね。


Eger オリーブオイル・スプレッド

2005-05-12 15:22:58 | スプレッド

 この記事は『がんばらないで、やせよぉ』“テラス オン・ザ・ベイ”、『熱中生活を、勝手に応援させてもらうよ』にトラックバック。

canseger1250

 その日、私たちは仏料理屋へ上がった。店は東京湾に面したホテルに入っており、居心地の良い、こぢんまりとしたスペースを持っていた。窓外には暮れゆく湾内の風景と、対岸の日本電気や東芝のビルが良く見えた。
 暖めたパンが配膳されたとき、ウエイターが皿に盛った薄緑色のペーストを持ってきた。
「こちらはオリーブオイルです。乳化剤を用いてバタのようにして御座います」
「やあ、珍しいな」
「本当ね、あたしこんなの初めて見てよ」
「美味いな。味はやはりオリーブオイルみたようだ」
「大変ありがとう御座います」
 本格的なフランス料理を食べるのは、初めてのことだった。しかもメニューは男女別に二冊あり、男用のものにだけ値段が書かれているような店だ。私はなるたけ安い料理を選んで注文しておき、あとはテエブルマナーをへましないようにと思っていた。

canseger2400

 しかし店員たちは意外にも人なつこかった。ボルドォの酔いも手伝って、私のこわばった舌もゆるんできた。一番陽気なウエイターと冗談を交わすようにもなった。彼はこれからソムリエの試験を受けるんだと言って張り切っており、最後にチーズを試しているとき、これにはこのワインなぞと言って何種類か試飲させてくれた。どれも美味いワインで、私たちは充分に酔い、かつ交流を楽しんだ。

canseger3400

 さて、会計の際にはホテル用クーポン券を使用した。連れが持っていたもので、そんなものがなければ私はフランス料理なぞ喰いに来なかったであろう。合計金額は目玉の飛び出るようなものであった。
「おや、お客様。このチケットでは少々多すぎます。しかしお釣りは出せませんし、さてどうしたものだらう」
「満腹で、もう何も入らない」
「追加いただくほどの金額では御座いません。あっそうだ、あのスプレッドはお気に召しましたか」
「なかなか美味かったよ」
「ああ良かった。少々のお待ちを」
 暫くして彼が持ってきたものが、この瓶詰めさん『Egerオリーブオイル・スプレッド』だったのだ。
「これは、ささやかながら私からの贈り物です」
 贈り物というのは、つまり余った金額以上のものをくれたわけだ。先ほどのプレーンのオリーブオイル・スプレッドと、それにガーリックを加えた別バージョンのものと、二つ。どうやらここで販売しているらしい
 私たちが店を辞去してからも、彼はずっと見送ってくれた。狭い廊下で、最後には大きく手を振った。私たちは腹も心も満たされて、モノレールに乗って台場をあとにした。

内容量:160g
原材料名:オリーブオイル、乳化剤
原産国:ギリシア
追:乳化剤は脂肪酸などだそうです