Sotomichiさんにもらったトナカイ缶
別名はカリブー。シカの仲間である
しかし、とにかく一頭仕とめたのだ。カリブーを、射ちとった山腹から橇にのせて乗越しの所まで引きおろす。今日の行動をうちきり、テントを張ってカリブーを解体し、肉を犬に与えた。私も湯気の上がる新鮮な肝臓をナイフで切って食べ、ついで煮て食べた。犬と私が満腹しても、カリブーはまだ半分残っている。食料に不安を感じだしていた矢先だったが、これでもう白熊に襲われるか、海水に落ちこみでもせぬ限り、死ぬことはないだろう。
植村直己『北極圏一万二千キロ』
筆者には時折、
「荒野に行きたい」
という強い衝動が起こる。
誰もいない草原にテントを張り、火を熾し、満天の星の下で眠るのだ。
その思いはあまりにも強い。いつからそんな衝動が起こるようになったのか、我ながら不明である。
実際は、年に一度もキャンプに行けないのが現状で、そのフラストレーションは主に読書で解消しているのであります。
冒険物や探検記で楽しみなのが、食事のシーン。
極寒の雪原や灼熱の砂漠で、果たしてどんな食べ物にありつけるのか。それはどんな味なのか。
ということで、本日の缶詰はトナカイ(カリブー)の缶詰であります。
さあ開缶!
内容量400gという大きな缶に、トナカイの肉がぎっしりと詰まっている。
まずはひと口、頬張ってみると...。
羊肉に似た匂いが鼻を抜けた。羊ほどバター臭くはないのだが、例えば冷凍のラム肉と豚肉を解凍し、一緒に煮込んだような、そういう匂いである。
歯応えは豚バラ肉に近くて、噛み応えのあるところと柔らかいところが混ざっている。
匂いが強いため、このまま食べ進むのはためらわれた。そこで少々、手を加えることにした。
トナカイ肉にホールトマト(缶詰)とパセリ、ニンニクを混ぜ込み、軽く煮込んでみる。
そこから立ち昇る匂いは、ますますラム肉的な匂いとなった。
これは筆者にとってたまらなく郷愁を誘う匂いである。
なぜなら、冬山に出掛けるときによく持参したのが、冷凍のラム肉だった。安くて大量に買えるからだ。
凍りついたスライス肉をアルミのフライパンで焼くと、狭いテント内にはラム肉臭が充満した。
ダイナモライトという手動発電式ライトで、友人と交互に手元を照らしながら、焼きたてのラム肉を頬張ったものだ。
かくのごとし。
トマトもニンニクもパセリも、匂いを消すには素晴らしい効果がある。
さっ、そこでひと口食べてみると、普通に美味しい料理となっていた。
ラム肉をうまいこと煮込んだ、そういう料理である。
美味しいからパクパク食べ進む。しかし、何かが違う気がする。
荒野を求め、植村直己まで引用したのに、これでは完全なるインドア派グルメ野郎ではないか。
しかしウマいものはウマい。納得がいかぬが、どんどん食べ進む。
ああ、読者諸賢よ。荒野は遠いのだなァ。
内容総量:400g
固形量:300g
原材料名:フィンランド産トナカイ(75%)、水、コーンスターチ、植物油、塩(0.6%)、シーズニング
原産国:フィンランド