サバ缶を使ったばら寿司なのだゾ
全国には缶詰を使った郷土料理が存在する。
それを少しずつ、紹介申し上げていこうと思う。
記念すべき第1回目は、丹後地方のサバ缶を使った「ばら寿司」であります。
使用するのはサバ缶の水煮タイプもしくは味付タイプ。
水煮は塩味、味付は砂糖醤油味だが、各家庭によってこのどちらかを選んで使っている。それぞれにこだわりのレシピがあるのだと推測している。
それよりも、注目すべきことはサバ缶のサイズ。
画像左側の、極めて大きいサバ缶を使う。
(缶界でツナ1号缶と呼ぶもの。右側のレギュラーサイズと比較すると大きさがよく分かる)
このサイズのサバ缶は、丹後地方以外ではこれまで、ほとんど見かけなかった。宝幸で出している
「青森の正直・真鯖水煮生原料」など、ごく一部だったのであります。
それが彼の地では、この大きなサバ缶がスーパーなどで普通に売られているそうだ。羨ましいことではないか。
サバ缶を汁ごとフライパンに開け、弱~中火でのんびりと炒める。
ここでは味付タイプを使っている。あの砂糖醤油がぐっと煮詰まっていき、やがてそぼろ状になるサバの身に凝縮されていく。
その甘辛い味こそが、丹後ばら寿司のメインキャストなのであります。
水煮タイプを使う場合は、この作業中に砂糖と醤油を適量、加えることになる。
ただ、水煮タイプの汁には塩気が含まれるので、汁は加えずに炒めたほうが味を決めやすくていい。
(とっておいた汁は熱湯で倍に薄め、刻んだネギを散らせばかなり美味しいスープが出来るゾ)
このほか酢飯、錦糸卵、大葉を刻んだものなど、ちらし寿司の材料を用意しておくこと。
かくのごとし。
春慶塗りの弁当箱に入れて、ちょいと行楽に出掛けるときの様子を再現してみた。
サバのそぼろは、各家庭によって炒め具合が違うらしい。僕はしっとりしたくらいで使っているが、もっと炒めて水分を飛ばしたそぼろにすることも多いそうだ。
画像では分からぬが、酢飯の中間層にもサバのそぼろが入っている。すなわち飯の上にサバ、その上に飯、そのまた上にサバと4階建て構造になっているのだ。
さあさあ、何はさておき、ひと口…。
やっ。サバのそぼろが想像以上に美味。
甘辛いのだが、佃煮ほどは味が濃くない。そこにサバの出汁が濃縮されており、噛みしめるたびにウマい汁がにじみ出てくる。
酢飯との相性は抜群であります。
昨年はサバ缶に豊富に存在するDHAが
「やせる効果のあるGLP-1ホルモンの分泌を促す」
と話題になった。
時期を同じくして、
マルハニチロ食品でも月花シリーズのツナ1号缶サイズを出したり、またつい先日は某メーカー(まだ内緒)からも
「ツナ1号のサバ缶を出しますよ」
と連絡があったりして、これから大型サバ缶がぞくぞく店頭に並んでくる可能性があるのだ。
サバ缶好きにはたまらない時代が到来したのであります。