殆どの缶詰さんがプルタブ方式になってから、缶切りはあまり使われなくなってきている。プルタブ式は手軽だし、ぎざぎざの切り口が出来ないから安全性も高いのである。
しかし私はここに、極めて安全性の低い、ナイフによる缶詰開けテクニックをご紹介したいのである。乗っていた船が転覆して、缶詰さんたちと一緒に無人島に漂着するような事態がいつ起こるか知れない(いつ?)。そんな非常時にはきっと役立つことであろう。
使用するのは丈夫なステンレス鋼などのナイフ。折り畳み式(フォールディング)ではないものがいいが、もしフォールディングタイプであれば、刃にロック機構がついているものを使用すること。
刃の背を手に当てて固定し、刃先を押しつける(各画像クリック拡大可)。くぼみがついたら静かに体重を掛けていく。いったん刃が入ったら、底を突き抜けないように力を加減しよう。
刃を前にして、倒すようにして切り進む。それを繰り返していけば即ち缶切りなのだ。決して刃の進行方向に手を置かないようにするべし。
かくのごとし。サバ缶やイタリアのトマト缶などには、未だにプルタブ方式を用いていないものがある。男子諸賢なら缶切りのついた便利なアーミーナイフ様の道具をお持ちかもしれないが、こうしたテクニックも憶えていて損はない。焚き火に放り込んで爆発させるテクニックよりも、だいぶ穏やかにコトは進むであろう。
追:刃物を安全に扱うには、何よりも経験が必要である。扱い慣れてないお方は、まずは鉛筆でも削ってみようではないかい。