缶詰や瓶詰を使って料理をする場合、その独特の風味がどうしても鼻につく場合がある。
それゆえ、どんな高級缶・瓶詰を使っても
「んー、所詮は缶詰料理だなァ」
というB級の評価をいただいてしまうのである。
例えば、サバの水煮缶。
サバは本来、血合と脂の混じった香ばしい匂いがするものだが、水煮缶になると、どことな~くネコ飯的な匂いがする。
サバに限らず、魚関係の缶・瓶詰はどうしてもネコ飯的匂いが強い。また、濃い味付けもやはり独特のものだ。
そういう風味は最後まで残る。これを業界では『缶・瓶詰料理の壁』とよび、業界人ならびに一部の缶・瓶詰マニアから恐れられているのである(ウソですけど)。
私は、この問題の解決に取り組みたい。
正面からのぶちかましで壁を突破したい。
そこで今回実験するのは、瓶詰の鮭ほぐし身なのである。
まず酒を煮切る
それをオリーブオイルと混ぜる
こうして酒・オリーブオイルのミックス液を作り、瓶詰の鮭ほぐし身にかけてみたのである。
その目的は、
1、瓶詰の鮭特有のネコ飯的匂いを緩和したい
2、旨味調味料的な味を打ち消したい
3、オイルを加えて身のパサパサ感を改善したい
の3点であった。
では、検証のため一口...。
ふーむ。む、むむ。煮切った酒のおかげで、かなりの甘さが加わってしまった。これは予想以上であった。
それから当然ではあるが、オリーブオイルのかほりが強く出ている。これはオリーブオイル好きの人なら構わないが、より普遍的な味を求める上では不利であろう。
ただの思いつきでやってみた結果、目的の1と3は改善されたものの、2の旨味調味料的な味は最後まで残っている。そこで...。
こっそりと大葉を刻み...
こっそりと混ぜ込んでしまった。大葉の香りは絶大なものだから、これは一種のズルなのである。しかし今回は、どうか許してやってください。
酢飯をよそって...
かくのごとし。
海鮮丼を食べたかったのだけど、材料がまぐろとイカしかなかったのである。
そこで瓶詰鮭ほぐし身のご登場を願ったわけであった。
今回の主役は、あくまでも鮭ほぐし身である。
この写真からも、そのことは充分みなさんに伝わっていると思う(伝わらないかナ)。
さて、さっきズルをしてから3時間ほど経過したこともあって、鮭ほぐし身は酒・オリーブオイルタレに馴染んでいる。大葉のかほりも身に移り、実験第一回目としてはまあまあの結果となった。
しかしズルをしたのが最後まで気に掛かった。
缶・瓶詰特有の風味を消す万能タレの開発は、まだまだ続きそうである。