世は、9月。
ああ、ついに9月になったか。
世間の人はどう感じるか知らないけど、ワタクシは、9月という月に、思い入れのようなものを持っているのであります。
まず、「じきに秋がくるなー」と思う。
「秋がきたら、やっぱり旅だな。紅葉狩りして、温泉に浸かって。深沈たるしじまの中で、思索でもしようかなー」
と、ため息ひとつつきながら、しみじみと思う。
しかし、東京の9月というのは、実はまだまだ、残暑の厳しいときなのですね。
実際には、パンツ一丁の姿で汗を流しつつ過ごすわけであり、
「やっぱ、さっきの“深沈たる”は、時期尚早だったな」
と一人赤面したりするわけであります。
しかし(ドン、と机上を叩く)、それでも“しみじみ感”はやはり、厳然としてある。のです。
そんなセンシーティブな9月にご登場していただく缶詰さんは、これをおいて他にはないというお方。
すなわち、サバの水煮缶なのであります。
ついにサバ缶もプルタブ開缶方式に
これは『月花(つきはな)』と銘打ってある、マルハさんのサバ水煮缶であります。
印刷も多色使いで、どことなく高級感がただよっている。
その高級感というのは、どことなく目黒雅叙園的な高級感にも思える。
ともあれ、スーパーの缶詰売り場でこれを見たときには、隣にあった普通のサバ水煮缶(同社製)との値段の差に驚いた。
この『月花』は、なんと60円近くも高いんですぞ。
安売りのときには、1缶100円程度で売られる缶詰において、60円の差はとても大きい。
「60円分、ちゃんと美味いのかよう」
と、かなり強い疑問がわきあがり、2分間ほど沈思黙考し、結局はその疑問を解決するために、高いほうの『月花』を購入したのであります。
ぎっちりと詰まっているのがサバ缶の魅力
かくのごとし。
脂の乗った白い腹部分が、通常のサバ缶よりも多めに入っているのが分かる。
逆に、背のほうの血合がほとんど見当たらない。ここにも何となく高級感を感じる(血合いは好きなんだけどね)。
缶側面には「国産さば使用、天日塩」とも、書いてある。
実は本日は、このサバ缶を用いて、白い飯をわっしわっしと食べたい気分だったんです。
すなわち、こうなるのであります。
ビンボーな学生時代、こうして飯を1合も2合も、平らげたものでした。
そう思うと、今回のしみじみ企画には、やはりサバ水煮缶はうってつけだったんであります。
ここにショーユをたっぷりと掛け回し、口中へ。
んふむっ。美味いです。厳選したサバというだけあって(マルハの広報に取材したのだ)、味に深みがあり、かほりも素晴らしい。
同社の既存商品のサバ水煮缶は、食べているうちに身のもさもさ感に飽きてくるものだけど、これはそういうこともないです。どこまでもジューシー。
あっという間に飯を1合も平らげてしまい、苦しくなって畳に横になる。
腹がぽってりと膨らんでいるのが分かる。
あっ、そうだ。9月は自分の誕生月だったのだ。またお歳を重ねてしまったのだった。
こんなに喰ってはいけないのだった。
内容量:200g
原材料名:さば、食塩
原産国:日本(マルハ)