ポルトの缶詰メーカー「PINHAIS & CIA」にて。この笑顔を見てほしい!
読者諸賢よ!
筆者はこの夏、ポルトガルへ行ってきた。むろん缶詰の取材であります。
実は、これまで様々な人から言われてきたのだ。
「ポルトガルは世界一の缶詰大国だよ」
「缶詰バーがたくさんあるよ」
「缶詰博士のくせにまだ行ってないの?」
ここまで言われたら是非もない。行かねばならぬ、なりませぬ。
羽田からイギリス・ヒースローを経由し、ポルトガルの首都リスボンへ。乗り継ぎの待合時間を含めると何と19時間という長旅である。
同行したのは2013年のモルディブ行でも一緒だった伊藤氏。
彼はモルディブ行の後で独立し、今は三幸貿易という輸入会社の社長になっている。今回の旅も、ポルトガルの缶詰を扱う彼にコーディネートをお願いしたのだ。
「再びおじさん2人旅ですな」
「モルディブ行から5年も経ちましたね」
「お互いヤレてきましたな」
リスボンへ着いたのは深夜1時のこと。
おじさん2人は疲労困憊だが、頑張ってリベイラ市場近くにある「Sol e Pesca(ソル・エ・ペスカ)」へ向かった。
リスボンの缶詰バーでもっとも有名な店なのだ。
観光客で賑わう一角。これで深夜1時過ぎだ
ソル・エ・ペスカの中は暗かった。壁一面にポルトガル産の缶詰が並んでいる
バカリャウ(干し鱈)のパテ。パセリをのせてくれる
まずは白ワインをオーダーして、メニューを広げてみる。
魚の名前がずらっと並ぶが、基本的にはそれらすべてが缶詰。
今でこそ日本にも缶詰バーがあるが、その発祥はポルトガルかスペインだと思われる。
日本ではキワモノ扱いされる業態だが、こちらでは違う。缶詰が日常食として当たり前の土地だからだ。
バカリャウのオイル漬け。にんにくとパセリとチャイブが散らしてある
ここソル・エ・ペスカは海に近い。店内には釣り竿や浮きなどの釣り具が飾ってあって、ここがかつて漁村として栄えたことを教えてくれる。
さて、ポルトガルといえばバカリャウ。塩蔵した干し鱈を水で戻したもので、干し魚特有のうま味があり、この国ではとてもメジャーな食材だ。
そのバカリャウのパテが名物らしいので、真っ先に頼んでみる。
口に運ぶと、塩気は薄く、繊維質の身を噛んでいるとうまみがにじみ出る。
バカリャウを皮付きでオイル漬けにした缶詰も試したが、これも誠に美味だった。
皮が香ばしく、塩気はやや強い。
だから白ワインがくいくい進むんであります。
続く!