このあいだ、おやつ代わりに煮干しを囓っていて、ふと思った。
煮干しの元は、カタクチイワシという種類の魚だ。
この魚は目がとても大きく、一寸びっくりしたような顔つきをしていて、なかなか愛らしい。
その大きな目をまじまじと瞠った(みはった)まま、釜で茹でられ、乾燥させられ、煮干しになられている。
折り重なるようにして何匹も亡くなられている。
(気の毒な...)との念が沸き上がった。
(すまぬ、許せ)との反省も起こった。
しかし反省しながらも、筆者はがじがじと煮干しを囓ることをやめなかった。『瀬戸内ひうちなだ産・防腐剤無添加』という実に美味い煮干しだった。
カタクチイワシは稀にみる優秀な人材で、どの業態からも引く手あまただ。
ある時はシラスとしてその透き通った眼差しで漁港のおばさま方を賑わせ、ある時は目刺しとなって居酒屋のおじさん方を癒している。今はあまり見なくなったが、畳鰯もカタクチイワシを採用していた。
そして、イタリア料理には欠かせないアンチョビーでも大量採用されているのだ。
今回は久々の瓶詰さん。その内容量、堂々320g!
これは神戸の会社が輸入しているアンチョビーの瓶詰で、フタには『アリチョッテ』と書いてある。実は去年の4月に購入したもので、これまで1年間、大変にお世話になってきたんであります。
1尾の大きさがとても大きく、味も濃厚。ソースを作ったり、茹でたブロッコリーと和えてパスタで食べたりと、まさに面目躍如の大活躍。我が家でも「やはり採用して良かった」との声が高かった。
かくのごとし。
温野菜にアンチョビーソースをかけたものであります。
このソースの製作はとても簡単。フライパンにバターとオリーブオイル(1対3)、ニンニク、アンチョビー2尾を投入し、弱火でじっくりと加熱する。
熱で次第にアンチョビーの身が崩れ、ニンニクがほどよく焦げたら胡椒を振ってできあがり。すべての材料をフライパンに入れてから加熱するのがコツといえばコツで、オイルが熱くなったところにアンチョビーを投入すると、かなり激しくはぜて周囲に飛び散りますです。
こいつを、茹でたブロッコリーやじゃがいも、人参やインゲンにと手当たり次第にかけていくと、いくらでも野菜が食べられるんであります。
こうして、食べも食べたり320g。現在はこの瓶詰、残りわずか3尾となった。
(どんだけカタクチイワシを食べてんだ、オレ)という反省と、さらには人間の業というものを深く知るために、本日も煮干しを噛みしめながら考えようと思う。合掌。
内容量:320g
原材料名:いわしフィレ、オリーブ油、塩
原産国:イタリア