缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

トルコのいわし缶(嗚呼カン違い)

2014-05-18 13:06:36 | 魚介

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左:イスタンブールで買ったいわし缶(直径15cm)
右のオイルサーディンと比較すると大きさがわかる

 日本語は奥深い。
 トルコのイスタンブールは、“イスタンブール”と表記することで、異国情緒がずんずん掻きたてられる。
「アジアとヨーロッパの接する地」という点がそもそも魅力的だし、日本では何といっても、庄野真代の
[飛んでイスタンブール]
 この歌謡曲の大ヒットが、いまだに忘れられないのであります。
 しかし、実際にトルコに行ってみると、発音は“イスタンブル”だった。“ブール”というように母音を伸ばさないのだ。
 気になって広辞苑を引いてみると(広辞苑には国名も載っている)、“イスタンブール”と伸ばし表記だった。
 現地の発音に合わせるか。
 あるいは、大衆に馴染みのある言葉で通すか。
 常に悩むところであります。

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新市街のガラタ塔より旧市街を望む
この景観はやはり“イスタンブール”といいたい

 その、イスタンブールで買ってきた缶詰の話しだ。
 スパイスから絨毯、宝石まで売っているエジプシャンバザールをひやかしていたら、どういうわけか肉屋の一角で缶詰が売られていた。
 肉類の缶詰もあるが、魚介の缶詰も充実している。同地を取材した中で、もっとも品揃えが豊かだったほどだ。
 そこで見つけたのが、最初の画像の黄色いいわし缶。
 表記はすべてトルコ語で不明。しかしこの大きさといい、表面のいわしのイラストもあって、僕はオイルサーディンだと思った。
 その前夜に食べたいわしのフリットが記憶に残っていたせいもある。




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現地の大衆料理ハムシィ・タワ(片口イワシのフリット)
郊外で食べればサラダ・パン付きで300円代と安価

 この愛らしい盛りつけが印象に残っていたものだから、前述のいわし缶を見たときも
(これはオイルサーディンだ。そしてハムシィ・タワのようにひまわり状に詰まっているに違いない…)
 こう缶違いしたのであります。
 一応、店員に尋ねてみた。Img_5306_2
「これはオイルサーディンか?」
「うんうん、そうそう」
「ホントか?」
「うんうん、そうそう」
 こちらは英語、むこうはトルコ語である。
 まったく会話は通じていない。
 だから上記の内容は、店員の表情から察して判断したのだ。
 ここでもまた、缶違いをしてしまった。
 店員の笑顔があまりに素晴らしかったので、こちらの意思が通じていると思ってしまった。
 ところが、帰国して開缶してみると…。




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何と、アンチョビ缶だった




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それも上下2段詰めで40尾も入ってる




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 一尾を取り出してみると、個体自体が大きい。全長10cmほどもある。
 おまけに背骨と尾がついたまま。うろこもチラチラと混じっている。
 実に野趣溢れるアンチョビであります。
 アンチョビ缶(瓶)は、一度開けてしまうと、毎日劣化していく。油が酸化し、身が黒ずんで、フレッシュな風味がなくなってしまうのだ。
 劣化を少しでも遅らせるには、オリーブオイルなどに詰め、冷蔵保存するしかない。




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 かくのごとし。
 清潔な瓶詰にして、取りあえず冷蔵庫に入れることにした。
 これが昨年の12月のことである。
 あれ以来、サラダにアンチョビ、ピザトーストにアンチョビ、温野菜にはアンチョビソースと、とにかくアンチョビを使っている。
 まさに精励恪勤であります。
 それでもいっこうに減らぬ。いや、それどころか事態はもっと深刻だ。
 実はこのアンチョビ缶、デザインが可愛いからと、2缶買ってきてしまったのだ。
 おかげで塩辛い生活が、当分は続きそうである。







愛媛のご当地缶「江戸ッ子煮」

2014-05-17 12:07:32 | 蔬菜
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素朴で愛らしい外観


 ご当地缶詰が、いよいよ熱くなってきた。
 テレビでも雑誌でも「ご当地缶詰」というキーワードがたびたび出てくるようになった。
 こうなれば、
「しめたもの…」
 であります。
 地元では愛されているが、けっして全国区ではない。そんなローカルな缶詰たちが、ついにスポットライトを浴びる時代になったのだ。
 と、いうことで本日は愛媛のご当地缶詰。
 その名も江戸ッ子煮であります。




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中身は牛肉入りの野菜うま煮だ




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 かくのごとし。
 天盛りにした木の芽以外はすべて缶詰。具が多彩で嬉しい。
 何が入っているか見てみると、牛肉、大豆、昆布巻き、たけのこ、しらたきの5種。しかも昆布巻きはちゃんとかんぴょうで巻いてある。
 あらかじめ湯煎で熱々にしておいたので、レンズ越しにいかにもウマそうな匂いが立ち昇ってくる。
 では、失敬してひと口…。
 むっ。少し甘めで、味が濃くない。それでいて、何だか独特の後を引くコクがある。
 このコクの秘密は、カレー粉のような香辛料が加えられているからだ。
 これこそが江戸ッ子煮の特徴なのであります。
 大豆は表面がぱりっとし、中はふっくら。たけのこはしゃきしゃき。しらたきはしっかり味が染み、牛肉は煮詰まった感じだが味が抜けていない。
 昆布巻きも、ウマいおつゆをたっぷり含んでいる。

 ところで、江戸ッ子煮という名の由来だが…。
 同社の方にお聞きしたところ
「恐らく、の話しですが」
 と前置きしてから、こうおっしゃった。
「少なくとも戦前からあった商品らしく、当時は輸出も見込んでいたようです。そこで、日本のものと分かりやすいように名づけたという話しです」
 なるほど。それで、愛媛産だけど江戸ッ子なのだ。




 固形量:110g
 内容総量:160g
 原材料名:白滝、大豆、筍、砂糖、醤油、牛肉、昆布(干瓢巻き)、食塩、香辛料
 原産国:日本(愛媛県 アール・シー・フードパック社)
 参考価格:380円程度(税込)



シトロン味のツナ缶

2014-05-08 12:29:56 | 魚介

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缶詰史上もっとも美しいデザイン

 日本で一番売れているのは、ツナ缶であります。
 普段から
「缶詰なんか食べたことない」
 という人でも、ツナ缶はまず、間違いなく食べているはず。
 家ではサラダ、和え物、炒め物に。
 コンビニに行けばサンドイッチに使われているし、手巻き寿司の具でもツナマヨは人気メニューだ。

 マグロやカツオをいったん蒸煮し、その皮と骨、血管などを取り除き(手作業)、油漬けや塩水漬けにして缶に詰めてから、最後に高温高圧で缶ごと加熱してようやく缶成するという、安価な割りにはとても手間の掛かる缶詰なのだ。

 そんなツナ缶は、日本以外でも広く愛されている。今回ご紹介するのは、2010年にフランス・パリで購入したツナ缶。したがって賞味期限が切れているのだが、それは些末なこと。
 それより「シトロン味」という、この独自の味付けに着目したい。




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オイルは美しいレモン色
ちなみにシトロンはみかんの一種




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 かくのごとし。
 フランスのツナ缶であるから、アンチョビやゆで卵に野菜を合わせてニース風サラダとした。
 さて、肝心のお味はどうか…。
 まず香りは、ライムの青っぽさと、レモンの清涼な甘さの中間ぐらい。むろん、素晴らしい香りだ。
 ひと口頬張ると、予想以上に酸味があって驚く。前述の通り、缶詰というのは最後に加熱するわけで、その加熱で酸味というのは失われがちなのであります。
 シトロン味という表記に、まさに
「偽りなし」
 と言わねばならない。
 ツナはおそらくビンナガマグロで、それがブロック状(日本ではファンシータイプと呼び)で贅沢に使われている。
 缶の大きさは直径約6.5cm。小さいが個性が光る、小洒落たツナ缶でありました。