この皿一枚に米、豆、シチュー、魚の煮たの、何でもかんでもいっしょくたに入れ、そのなかで切ったりきざんだり、まぜこぜの猫飯にして食べるのだと教えられる。(中略)~猫飯はこの国全土の習慣なんだという。(中略)
「この船の料理は例外じゃないんです。類型にして典型です。これからさきずっとこんなもんですよ。覚悟して下さいな」
開高健『オーパ!』 集英社文庫
これは開高健がブラジルに行ったときの様子だ。広大なアマゾン河を遡る船、「無敵艦隊のオオカミ号」に乗船して、食事の作法を教わっているところなのである。
一枚の皿だけで食べるという風習は、東南アジアやインドのほうでもやっていたように思う。しかし取り分けた料理をみんな混ぜてしまうのはあまりないのではないか知らん。私には韓国しか思い浮かばない。
このお食事の再現にもっともふさわしい缶詰さんとして、ブログ仲間のdii-chaiさんがお土産で買ってきてくれた『沙仁魚』が堂々のエントリーを果たしたのである。パチパチパチ(拍手音)。
かくのごとし。現地アマゾンの雰囲気を強調するため、皿はへなへなアルミ製とした。アマゾンには行ったことないけど。
予想よりはずっと美味そうである。しかし、これを食べる前に、スプーンでごちゃごちゃと混ぜ込まなければならないのである。そういう企画にしてしまったのである。若干、勇気の要る作業だ。
かくのごとし。あまりにも凄絶な光景なので、モザイク処理を施さざるを得なくなった。失せがちな食欲を奮い立たせ(そんな言い方はないでしょうに)、えいやあっと一口。
おっ、意外といけるではないか。あらためて缶詰表記を見ると、
『Sardines In Tomato Sauce』と書いてある。そのトマトスープには、魚の旨味がたっぷりと含まれていて、それが白飯に染みこんでいる状態なのだ。これが不味いはずはない。魚部分はまさにオイルサーディン。
ああしかし、見た目の何とネコ飯なことか。残りは慌てるようにかっこんでしまった。
読者諸賢よ。料理の見た目というのは、本当に大事なものなのでござるなあ。
内容総量:155g
固形量:93g
原材料名:タイ語のため不明