缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

マーライオンからの贈り物

2005-03-25 12:47:20 | 日記

 この記事は『チャイディーな世界』“シンガポール”にトラックバック。

cans.fromdii-chai1,400

 日差しが強くなってきた。
 春雷が轟いた。
 友が、花見をしようと言ってきた。
 あらためて暦を見れば三月も末である。寒さに身を縮める日も、あとわずかのことだろう。
 焼きパンにバターをなすって朝飯を食っていると、宅急便がやってきた。ブログ人粋人であり、タイ王国をこよなく愛するココログ人でもあるdii-chaiさんからである。
 同封された一葉の手紙には、
「出張の際にバリ島にて珍奇な缶詰さんを見かけたので送る、自分は食していないが是非とも試してみてはどうだろう」
といった内容が、彼の人格そのままの、暖かで優しい文体で書かれていた。そうして空気マットに丁寧にくるまれた中には、確かに珍奇で魅惑的な食材が入っていた。

cans.fromdii-chai2,400
西洋風のパッケージだが、生産はインドネシアとある

cans.fromdii-chai3,250
あな恐ろし“茹でた猪の香り脚腿”とあるこちらは中国産

 他にはカレーのペイスト、ナシゴレンのフリーズドライのパッケージもある。これからここ缶詰ブログにてご紹介していく所存であります。
 実は親愛なるdii-chaiさんからの贈り物は、これで二回目なのである(一回目はこちら、関連記事はこちら)。持つべき者は良きブログ仲間なのだなあ。 
 dii-chaiさんありがとう。マーライオンありがとう。


ライトツナ オイル無添加

2005-03-24 15:01:03 | 魚介

 高校生の頃の話しである。
 友人のススム君と、こぞお寿司で半年間ほどアルバイトをやったことがあった。
 思えば、長期で働いたのはそれが初めてのことだった。一般の大人たちの中に放り込まれたのも、初めてのことだった。職場というところは、高校生からすれば実に生々しい会話が繰り広げられているのですね。
「ああ、オトナってのはこんな連中だったのか...」
 私たちは頬を赤らめたり驚いたりしながら、せっせとテイクアウト用の寿司を握っていたのである。 
 さて、その店舗の裏には小さな庭があり、幅一軒のプレハブ物置が建っていた。食品の倉庫になっていて、中にはいつも食材缶詰がぎっしりと詰まっていた。

cans.tuna400
油漬けでないシーチキン 油恐怖症の方には強い味方

 毎日毎時間腹ぺこの高校生のことだ。どうかそこを察していただきたい。ここまで書けば親愛なる読者諸賢には分かってきたことと思うのであるが、ある日のアルバイトの帰り際、私たち二人はささやかながらドロボーを働いたのであります。
 今でも何となく憶えている感触。業務用のシーチキン大缶詰で、500gほどの重さがあった。そいつを一個失敬してジャンパーの懐に入れ、必要以上に青ざめながら必要以上に急いで我が家に向かったのであります。
 台所にて鹵獲品を開封。フライパンに油ごと全量投入。ついでにその辺に転がっていたシイタケを適当に切って投入。ショーユで味付け。
「美味そうだなあ、おい」
「俺シイタケ嫌いなんだけどね。しかしこれは美味そう」
 出来上がった料理は何とも凄まじい、見るからに油ギトギトの一品であった。しかし私たちは若かったのだ。部屋に入って缶ビールとともにどんどん摂取したのである。
「美味い美味い」
「おい、こいつもやるか」
ダルマか。よしきた」
 ススム君と私は、サントリーのダルマをコークハイで大量にやっつけて、500gもの油まみれシーチキンを平らげて、「また明日も学校及びバイト頑張ろうね」と言って別れたのである。
 そうして翌日。今にして思えば、こぞお寿司の従業員一同はいつになくフラフラと出勤してきたアルバイト二人組を不思議に思ったことでありましょう。
「どうしたの、二人とも。具合悪いの?」といつも優しいパートの坂本さん。
「大丈夫です大丈夫ですおえっ」
「一寸手巻きシーチキンの匂いがおえっ」
「あんたたち今日は洗い物に回ってよお客さんに失礼よ」とキビシイ店長佐藤さん(当たり前だ)。
 油分の過剰摂取及びコークハイによって、その日はもうひどい一日だったのだ。二人とも学校で何度か戻していたのだ。そう、バチが当たったのである。あれから暫くのあいだはシーチキンを見ただけで胸焼けしてたなあ。
 ずいぶん昔、高校生の頃の話しである。

原材料名:きはだまぐろ、海洋深層水
内容量:80g
原産国:日本


フロリダオレンジ蜂蜜(巣入り)

2005-03-16 00:12:16 | 汁物
cans.honey200

 小学生の頃に愛読していた児童書に、様々な国の民族とその風俗を紹介していたものがあった。アザラシの毛皮をまとったエスキモーや、鮮やかな織物のチョッキを着た南米インディオなどが写真入りで載っていたのだ。それらの中で今でもはっきりと憶えているのは、アフリカの子供の写真である。『おやつのじかん』というタイトルで、『はちのすはいちばんのぜいたく』と説明が添えてあったと思う。そうして輝かんばかりの黒い肌の子供が、蜂蜜にまみれた蜂の巣を頬張っていたのだ。
 私は妹とつばきを飲みながら、その写真を眺めたものだった。“はちのす”はハニカム構造(六角形の集合体)の白い板状のもので、我らがアフリカの子供は、真っ白い歯で実に嬉しそうに齧りついていた。

cans.honey2-400

「お兄ちやん、“はちのす”てどんな味だらうね」
「さくさくするのか知らん」
「ああお兄ちやん、一度でいいから、かのやうな甘味を食してみたい」
「そのやうな贅沢を父母に言つてはならぬぞ。言へば父母は悲しむであらう」
「だうして悲しむのか知らん?」
「お家はビンボーだから、かのやうなハイカラは買えぬ」
 ああ、あれから早幾年月か。本日ふらりと成城石井さんに立ち寄ったところ、瓶詰めさん特売品としてあの『はちのすはいちばんのぜいたく』があったのである。
 この日をどんなに夢見たことだらう。
 一日千秋の思い、であった。
 艱難辛苦を乗り越えて、でもあった。
 

cans.honey3-400

 かくのごとし。オレンジの蜂蜜自体も美味い。それを手元にあった塩気の強いチーズにとろりとかけると、こいつは実に美味であった。そうしていよいよ満を持して、蜂の巣を取り出して口中へ。
“さくさく”でもあり、“ねちねち”でもある。味は無論蜂蜜なのだが、噛み噛みしていると最後には味のないカスが舌のうえに残ってしまった。「これがプロポリスかなあ」と思いガマンして、奥歯で噛み続ける。
 くきゅくきゅコシコシ くきゅくきゅコシコシ
 あああダメだ、不味い。いつまでも溶けなくて、まるで石油加工物みたいな食感。あえて例えればワックスである。勿論そんなもの食ったことはないが。
 妹よ、ともかく俺はあの頃の雪辱を果たしたぞう。人間万事塞翁が馬だぞう。

 この記事は幼い頃の想い出を書いていらっしゃる『*BoardwalK*』の“雪の思い出”にトラックバックするのである。作者のだいなごんさんも蜂蜜好き好き仲間なのである。
『今日は何日?』“ミツバチは泣いてるぜ”にもトラックバックするのである。
 
内容量:227g
原材料名:ハチミツ
原産国:米国

後日談:トーストに巣ごと垂らして焼いたら、きれいに溶けました。美味の極み。


ニチロ いわししょうゆ味

2005-03-09 18:50:03 | 魚介

 窓辺で暖かい日差しにうっとりとしていると、十年来の付き合いがある佐藤先輩がいらした。
「や、ここが君の住まひか」
「あひにく散らかしてます失敬」
「おやこれはマツクだらふ」
「ええ」
「マイコンもすつかり道具みたようになつたね」
「だうです先輩、飯でも呼ばれませんか」
「そりやいいね、丁度腹が空ひてゐたところだ。どこに上がるんだひ」
「はばかりさま。僕の手作りでやりませう」
「ははは、それじやあ遠慮無く呼ばれてやらう」

cans.iwasi400


cans.iwasi2.200 これは『ニチロいわしみそ味』のお仲間さんである。前々回のオイルサーディン丼はあまりにも美味であったが、それをこの缶詰さんでやってみたくなったのだ。
「やあやあ御馳走ではなひか」
「ありがたう。しかしどうもうまくゆかないやうです」
 加熱中の匂いがまるで“いわし缶詰”である。途中でエキストラバージンのオリーブ油を追加。酒もやや多めに使う。いくらか改善されたかに思えたが...。

cans.iwasi3.400

 かくのごとし。食してみるとはらわたの苦みが強い。
「にんにくが美味じやなひか」
「しかし肝心のいわしが生臭ひやうです」
「これはこれで美味だらう。僕はお代わりをしたひ」
 
 持つべきものは心優しい先輩である。あ~久しぶりに失敗料理だったなあ!

原材料名:いわし、しょうゆ、砂糖、増粘剤(グァー)、(原材料の一部に小麦を含む)
固形量:70g
内容総量:100g
原産国:日本(ニチロ

追:グァーというのはマメ科の植物で、その胚乳を粉状にするらしいです


缶詰のある風景『哀愁の町に霧が降るのだ』 

2005-03-03 22:35:20 | 連載もの 缶詰のある風景
cans.uni200

 そこでゆうべの残りのめしに沢野がパチンコで取ってきたビン詰めの海苔とウニをペタペタとつけてともかく空腹感をのがれた。~中略~夕方六時ごろ戻ると椎名と沢野が本を読んでいたので
「てめえら本など読んでいないでめしでも作れ」と言うと
「とうちゃん、めしならもう炊いてあるよ」と言った。
 しかしおかずがないのでまた海苔とウニでめしを食った。
 椎名誠『哀愁の町に霧が降るのだ』 新潮文庫

 我が缶詰ブログに、とうとう高貴なお生まれの瓶詰めさんがいらした。ウニの本場、長崎は壱岐からおいでいただいた『粒うに瓶詰め』である。こんな高級品を食するのは一体何年ぶりか知らん(実はいつものスーパーの特価品である)。
 昔からウニは高級食材のはずなのだが、何故かこのウニの瓶詰めは子供の頃のほうが身近だったように思う。ひょっとして昔は、非常に安価なエセ商品があったのかもしれない。「生ウニ不使用」などといった、常軌を逸した商品があったのかも知れない(そんな馬鹿な)。
 さて、この作品はエッセイストの椎名誠氏が書いた傑作お笑い青春自伝である。ビンボー学生が六畳一間に何人も集まり共同生活をしていくのだが、おかずは何を作ったとか、金のないときにいかにして酒を飲んだとか、そんな飲み食いの様子がとても面白いのだ。

cans.uni2.400

 かくのごとし。独特のアルコール臭が実に良ひ良ひ。これは生のウニとは全く違った食べ物ではあるのだが、しかし“我が輩は瓶詰めウニであるなーにか?”とでも問いかけてくるような、確固たるアイデンティティを持っていらっしゃるのだ。
 最近巷で流行の「熱々の白飯に最も合う食材は何か?」に対する回答として、この瓶詰めウニさんも堂々のエントリーをさせていただきたいと思う。

内容量:60g
原材料名:塩うに、エチルアルコール、調味料(アミノ酸等)、安定剤(グァー)、甘味料(ステビア、甘草)、カゼインNa(原材料の一部に乳、大豆を含む)
原産国:日本