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今回、取材をしてきたパッカーさん(缶詰生産業者)は、
岩手缶詰株式会社であります。
この会社を代表する缶詰はいくつもあるが、筆者はやはりこの『いか“すみ”丸ごと』が印象深い。
濃厚なイカ墨も一緒に入っていて、缶汁が真っ黒けである。インパクト力抜群のイカ缶なのである。
これは三陸産のスルメイカを“生”の状態で使用している。すなわち獲れたてだ。
同シリーズのさんま水煮も、生の秋刀魚を使用している。
岩手缶詰さんは素材の鮮度にこだわるパッカーさんなのだ。
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2月某日、新幹線で盛岡へ到着!
今回は盛岡工場の取材と相成った
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いよいよ到着。彼方に名山・岩手山をのぞむ素晴らしいロケーションであります。
岩手缶詰は昭和16年(1941年)に設立。
時代は太平洋戦争の最中。国の指導により岩手県の6社が合同で『岩手県缶詰』を設立し、軍用の缶詰を生産していたそうだ。
今の時代でいえば“ミリメシ”だが、こちらは筋金入りである。
企業に歴史あり、である。
今回筆者の訪れた盛岡工場が新設されたのは、昭和34年(1959年)のこと。
ヤングコーン、エンドウ豆、ホワイトアスパラなど、当初は農産缶詰生産のために建てられた工場だった。
やがて流通の発達により水産缶詰も手掛けるようになる。現在は製造第1部で缶詰を、製造第2部でレトルトパウチを生産している。
その製造割合は約62%対38%。これは岩手缶詰全体の事業内容の割合とほぼ同じ数字になる。
すなわち缶詰が6割強。冷凍食品・レトルトパウチやワイン、ジャムなどが4割弱なのだ。
そのようなお話を、常務取締役・工場長の佐々木幸治氏にお聞きすることができた。
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プライベートブランド(PB)缶詰にはカラフルな企業ロゴ『icc』が冠されている。読者諸賢も一度は眼にしたことがあるかと思う。
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お邪魔したときにはサンマ缶を製造していた。
まずは頭と尾をちょん切るところから始まる。
案内してくださったのは、製造第1部次長・佐々木貞利氏。
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スライサーを通過するとさんまが見事な背開きに
このあとバキュームで内蔵を取り除く
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まずバーナーで表面を香ばしく炙る
そのあと炭火の遠赤外線で火を通していく
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調味液投入の後、巻締機登場であります
中央に見える包みに上蓋が200枚装填されているのだ
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ランダムに缶を抜き取って、巻締めを検査
ノギスのような専用道具を使って計測する
※この缶は見本用です
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珍しい光景に出会えた!
圧力殺菌釜の中から、殺菌を終えた缶詰を取り出すところなのだ。
缶詰たちが高温になっているため、いったん水を注入して冷ましてから取り出すという段取り。
15分ほどかけてゆっくりと水を抜き、扉を開ける。
この流れ出る水、水温は40℃ほどある。
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ここが最終検査所。缶の厚みで真空度を測定する検査、缶印字の検査機、巻締検査機と並んでいる。
不合格のものはエアによってラインからはじき出されてくる。
ここまでの行程でも、X線による異物検査がライン毎に行われているのだ。
岩手缶詰の経営理念の第1章には「品質保証」が謳われていた。
理念に謳い、日々の業務で肌に染み込ませる。これはどの業種・業態でも肝要なのですぞ。
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これはバキュームで缶詰をつかみ、自動で段ボールに装填する機械。
こういった機械はほぼオーダーメイドだそうで、これも工場長と次長がメーカー側と話し合いを重ねて出来上がったそうだ。
「アイデアが必要だね」と、佐々木工場長が一言。
重みのあるお言葉である。
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はやての車窓から さらば盛岡よ
こうして、今回も内容の濃い取材をさせていただいたのであります。
工場見学の様子は4月25日のイベント
『缶詰ナイト2』で、更に詳しくお話する予定。
ところで、缶界での岩手缶詰の愛称は「岩缶(いわかん)」さん。太平洋戦争の軍用缶詰から始まった岩缶さんの、現在の売れ筋缶詰は
『盛岡冷麺缶』という、いわゆるラーメン缶と同種のもの。
秋葉原で人気の沸騰したラーメン缶は、こんにゃくを麺として使用している。これが食感でマイナスにもなると思うのだが、冷麺となるとなぜかプラスに作用する。
もともと冷麺の麺は歯ごたえがあり、こんにゃくの代用でもそれほど違和感を感じないのだ。
歴史と革新の融合したパッカー、それが岩缶さんでありました。