BARと書いて「バー」と発音するのは英語圏。スペインなら「バル」になるし、イタリアなら「バール」になる。
4月28日に開業する「OGA BAR by 小笠原伯爵邸」はスペイン缶詰専門のBAR。だから読み方は「オガ バル by 小笠原伯爵邸」となる。
今や缶詰バーは各地に開業しているが、スペイン産缶詰だけに特化した業態は初めて。というのも、小笠原伯爵邸はスペイン様式の建築で、そのエキゾチックな雰囲気を生かしたスペインレストランとカフェを運営しているのだ。
今回、そのカフェを缶詰バー、じゃなかった缶詰バルとしてリニューアルするというので、発表会にお邪魔してきたのであります。
この扉を抜けると...。
温かみのある心地よい空間が広がる。
白壁と、木をふんだんに使った調度品。適切で控えめな照明。
スペイン的でもあるし、あるいは高原の別荘にでもいるような気分になれる。
この日は立ち飲み風になっていたが、実際の営業では椅子も置くとのこと。
明るい外光もたっぷり入るのがすごく好き。
ガリシア地方の「クカ」に「ポルト・ムイニョス」は、当ブログでも何度か紹介している素晴らしい作り手。
ほかにも「パコ」や、「ラ・ブルフラ」という日本初上陸のブランドもある。
おつまみにはオリーブや干しいちじく、枝付き干しぶどうなどもあり。
オリーブは敷地内に育つ樹齢500年のオリーブの実を、スタッフ自ら漬け込んだそうな。
飲み物は缶詰バル用にセレクトしたシェリー、ワイン、ビールにカクテルなど。
生ハムが原木で置いてあるのも嬉しい。
この日は中庭が試食・試飲スペースになっていたが、通常営業でも中庭を開放するそうだ。
缶詰はひと缶ずつ提供される。希望すれば温めてもらえる。
値段は税抜きで800円から2500円くらいの予定。だから3~4人で出掛けて、シェアしながら愉しむのがいいと思う。
僕がこよなく愛する「エリテ」のアンチョビもあった。塩気がきつくなく、むしろ甘みを伴ったうまみが缶じられるので、ひとりで2~3尾はぺろりといける。
シェフのあいだでは「海の生ハム」と称されているらしい。
アーティチョークや赤ピーマン、青唐辛子の酢漬けなどスペインの瓶詰もある。
同邸レストランのスペイン人シェフ、ゴンサロ・アルバレスさんが、マテ貝とザル貝に特性ソースを掛けてくれた。
缶詰を食べるときに、塩レモンソースやにんにく&パセリソース、ピリ辛鷹の爪オイルなど、ちょい足し調味料が自由に使えるのだ。
スペインには缶詰を出すバルがいくつもあるが、それらは「缶詰バル」とは呼ばない。
なぜと申すに、バルのメニューとして、缶詰がごく当たり前のように提供されているからであります。
バゲットにツナを乗せただけ。アンチョビ&チーズを乗せただけ。あるいはオイルサーディンを乗せただけ。
そこにフレッシュなオリーブオイルをかければ、もうそれだけで美味しいおつまみになる。
スペインの缶詰は素朴なものばかりで、基本的には塩味を利かせたオイル漬けがメイン。あとはパプリカを使ったガリシアソース漬けとか、ワインビネガー漬けとか、せいぜいそんなもの。素材そのものの味を好むのは、実は我々日本人と共通しているのだ。
そんなシンプルな愉しみ方を “ど直球” で提供してくれるのが「オガ バル」。これまでありそうでなかったお店であります。