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17日にギリシャ再選挙、市場関係者が読むシナリオ

2012年06月16日 07時42分49秒 | 経済
 ギリシャでは17日に再選挙を控える。緊縮財政派が政権を握って緊縮策が維持されるのか、それとも反緊縮勢力が中心となり、欧州連合(EU)の支援が凍結されるような事態に発展するのか。スペイン国債の利回りがユーロ導入後で初めて「危険水域」とされる7%台に乗せるなど欧州問題に対する市場の警戒感が根強いなか、週明け以降には20カ国・地域(G20)首脳会議など市場が注目するイベントも相次ぐ。ギリシャ再選挙後の株式相場の展開はどうなりそうか。市場関係者が考えるベストシナリオとワーストシナリオを聞いた。



「緊縮路線維持なら日経平均9000円」

大和住銀投信投資顧問経済調査部長 門司総一郎氏

 ベストシナリオは、緊縮策を進めてきた新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が再び連立与党を結成し、ドイツとの交渉で支援の前提条件の緩和を加えながら、緊縮財政を維持することだ。こうなる可能性は6割程度で一番高いとみている。欧州問題を警戒した投機筋のユーロ売りの持ち高も積み上がっており、過度な不安心理の後退とともに日経平均株価は9000円程度まで値を戻すだろう。

 一方、2割程度の可能性で考えているのが、反緊縮派の急進左派連合(SYRIZA)が第1党となり、PASOKや民主左派と連立与党を結成する場合。選挙中は過激な意見に偏りがちだが、政権政党となれば現実路線を模索するだろう。支援条件を一度棚上げすることはあっても、ドイツとの間で妥協点を探る交渉を続けるだろう。その場合、日経平均の上値は抑えられる可能性がある。

 最悪のシナリオは、急進左派が政権をとり、緊縮財政を放棄することだ。ドイツと決定的に対立し、議論の余地もなく支援が凍結された場合、ギリシャは7月か8月にも債務不履行(デフォルト)に陥る恐れがある。その場合、日経平均も下値模索に向かうだろう。この可能性も2割程度あるのではないかと考えている。

 主要国の中央銀行は、ギリシャ選挙後の混乱に備えて大量の資金供給の用意を進めているとも伝わっている。仮に最悪のシナリオになった場合も短期金融市場の混乱は抑えられ、銀行の資金調達に混乱を来す事態は回避できるだろう。ただしスペインの国債利回りはすでに7%の危険水域を突破している。重債務国の国債がさらに売り込まれる状況になれば欧州中央銀行(ECB)が買い入れるしかないが、ECB内部で意見が割れている事態で、対応策は今のところない。
「欧州銀支援の道筋示せれば日本株にも戻り」

明治安田アセットマネジメント執行役員 福島毅氏

 ギリシャ再選挙を巡る最悪のシナリオは、「再々選挙」に持ち込まれて金融市場に不透明感がくすぶり続ける状況だ。望ましいのは新民主主義党(ND)中心で連立政権が樹立されて、緊縮路線を維持し、ドイツなどが求める金融支援の前提がきちんと守られることだ。条件交渉には時間がかかるだろうが、先行き不透明感の解消につながる。このベストシナリオの実現は、ギリシャの場合、8割ぐらいで可能だと考えている。

 ただし、日本株は、ギリシャ選挙だけを手掛かりに戻りを試すのは難しいだろう。足元ではスペイン情勢が金融市場に緊張感を与えている。今後2週間は、20カ国・地域(G20)首脳会合や欧州連合(EU)首脳会合などの政治日程が目白押しだ。この間に具体策をまとめ上げるのは難しいが、欧州情勢が予断を許さない事態であるとの認識は浸透している。預金保険の確立など、銀行の過小資本の問題にユーロ圏諸国全体で取り組むロードマップ(行程表)が出れば投資家の不安心理は後退する。過度なリスク回避は巻き戻され、金利が上昇し、円相場も下落するだろう。海外投資家の資金が戻ることで、日経平均株価も9000円台を試すような動きが出そうだ。ギリシャと銀行支援の行程表がともにそろう確率としては6~7割程度とみている。
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