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ビットコインに分裂の火種、2陣営の論争激化

2017年06月24日 06時23分33秒 | 暗号通貨
 仮想通貨ビットコインの世界に亀裂が走っている。仮想通貨がどうあるべきかについて2つのグループが対立しており、ただでさえ激しい相場の変動が一段と増幅している。
 先週のビットコインの相場は大荒れだった。3018ドルの高値をつけた後、27%下落した。その後やや持ち直し、15日には2650ドルをつけた。
 こうした乱高下を背景に、ビットコインの開発者と企業は処理能力を拡大する方法について激しく対立しており、競争し合う別々のコインに分裂する可能性が出てきた。


 一方のグループは、ビットコインを、供給量が限られ価値を保存する機能を備えた資源、つまり金のデジタル版のようにしたいと考えている。
 もう一方のグループは、取引の決済に使用できる単位、つまり通貨のようにしたいと考えている。ドルと同じように迅速かつ容易に取引できるようにしたい考えだ。
 現在は両陣営が膠着(こうちゃく)状態にあるが、今夏に見込まれる新たな提案が突破口になる可能性がある。ビットコインネットワークの処理能力を変えるかもしれないし、あるいは高速処理のビットコインと低速処理のビットコインに分割することになるかもしれない。
 仮想通貨を研究しているコーネル大学のエミン・グン・シアー教授は「壊れそうな微妙な婚姻関係だ」とし、「結局のところ離婚するのが最善だと思う」と話した。
 こうした論争はビットコインへの関心をそいでおり、一部はイーサリアムと呼ばれる新たな別の仮想通貨に流れている。仮想通貨の時価総額ランキングを発表しているコインマーケットキャップ・ドット・コムによると、イーサリアムの相場は今年40%余り上昇し、時価総額はビットコインを約20%下回る水準に迫っている。
 ニューヨークのブルックリンで男性用身だしなみ製品の会社を経営するザカリー・マラードさんは「多くの友人がビットコインを売り、イーサリアムを購入している」と言う。マラードさんは、ここ数カ月でイーサリアムを少し買い、ビットコインを売却した。ビットコインは分割される可能性があり、上値余地が限られることなどが理由だという。
 両グループ間の論争はここ数週間で激しさを増している。ビットコインの相場は、このところの乱高下にもかかわらず今年160%余り上昇している。結局のところ、トレーディングの構造によって誰がビットコインを支配するのかが決まり、それによって誰が利益を得るのかが決まる。
 ビットコインは2008年に開発された当時、供給量の上限が2100万枚と決められ、マイニング(採掘)という手順を経て、発行スケジュールに従って、取引を承認する企業に与えられる。
 取引を速く低コストでできるようにするため、取引ネットワークが構築された。仲介者はなく、トレーディングを記録する台帳があるだけだ。この台帳はブロックチェーンとして知られ、ユーザーに透明性を確保するとともに、買い手・売り手の身元を保護する役割を果たしている。だが過去にはビットコインがマネーロンダリング(資金洗浄)など違法行為に用いられることもあった。
 ビットコイン取引の仕組みはこうだ。取引ネットワークでの個々の取引が、マイナー(採掘者)と呼ばれるトレーディング取扱会社によってブロックにまとめられる。現在の仕組みではブロックの規模に上限があり、取引できるのは1秒当たり約7件。決済ネットワーク大手の米ビザなどが膨大な件数の取引を処理できるのに比べ、処理能力ははるかに低い。
 ビットコイン誕生から間もないころは、こうした上限は問題ではなかった。だがビットコインの取引件数が急増し、好奇の目にさらされるようになった。このことがボトルネックを生み、取引手数料の上昇につながっている。
 多くの投資家やビットコイン決済サービス会社は、ビットコイン取引を通貨のようにしようと、発行上限の引き上げを求めている。だが一部の開発者は、ビットコインの金銭的利益が損なわれるほか、自由主義・反大企業的な指向に反するとして、上限引き上げに反対している。
 ビットコインの世界における2グループは以前、歩み寄りを目指していたが失敗に終わった。ビットコインの有力開発者の一人であるエリック・ロンブローゾ氏は、両グループはそれぞれ別の道を行くという「可能性があることを受け入れるというところまで来た」としている。
 ビットコインのマイニング大手であるビットメインは先週、ビットコインの基本を成すソフトウエアを変更し、2つのバージョンを同時に走らせる計画を発表した。これと同じ効果をもたらす別の提案もある。いずれかが採用されるとしても、どれになるのかははっきりしない。
 表面上は、誰もが発行上限の引き上げを望んでいるようだ。だが実際にはその方法について2つのグループの間で考えが全く異なる。企業を中心とするグループは、あらゆるビットコインの取引で規模の上限を引き上げることを望んでいる。それに対し、開発者を中心とするグループは、実質的に別の従属的なネットワークを構築し、取引処理を迅速化することを望んでいる。この場合、既存のメインのネットワークはそのまま残す。
 こうした対立に関わる人たちは、ビットコインの行方は向こう2カ月ではっきりしてくるかもしれないとみている。ビットコインの所有者とマイナーがさまざまな提案のどれが望ましいか意思表示して膠着状態を打ち破る可能性がある。
 ただ、結局のところビットコインを管理するのは誰なのかという疑問が覆いかぶさっている。グン・シアー教授は「なぜこれほどまで激しく対立するのか。パラメーター(変数)の問題でもなく、ブロックの規模の問題でもない。声の大きさの問題だ」と述べた。