「人間、その騙されやすきもの」
誰も騙されるのはいや、騙すのもいや。それでも騙しは、人間の生活の中では、あまりにも日常的である。その種類も雑多である。それを整理整頓しながら、それらの特徴を洗い出してみたいというのが、本書の一つのねらいである。
振り込め詐欺で5000千万円の被害との報道も最近見かけた。騙しもここまでくると、ほっておけないのだが、本書は、そうしたこととは、あまり深くはかかわらない。もっと広く、深く、騙しの心理を考えてみるつもりである。いわば、騙しを通して人間って一体何者ということを考えてみるつもりである。
おもしろいことに、そうした観点から人間を眺めてみると、騙しは、人間の本性、しかも、大事な本性の一つのようにさえ見えてくる。人を騙すだけでなく、自分で自分をさえ騙すのだから。
「騙しの人間学」は、どんなことになるのか。本書をじっくりと楽しんでほしい。そして、あなたの人間観を広く、深いものにするきっかけにしてほしい。
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1章 騙しの心理学の現場
「人間その騙されやすきもの」が前提となっている職業
・ スポーツ選手 相手を騙して勝利を得る
・ ある種の広告宣伝
2章 自分をも騙すのが人間
知識に騙されるーー思い込み
3章 他人から騙される
第一印象
説得される
4章 社会に騙される
権威に騙される
科学の権威
科学のお膳立てーー「科学的に実証」という魔力
5章 状況に騙される
錯覚
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