4 やる内容を分割する
時間を分割して、間に休懇を入れながら仕事や勉強をするのを分散法という。それに対して、やるべき内容を分割して、それの区切りごとに休憩を入れるのを分習法という。
似ているようで、少し違う。
内容を分割すれば、それぞれをやり終える時間も結果としては分割されるという点では似ている。しかし、分散法が時間の区切りを第一義に考えるのに対して、分習法は、あくまで内容の区切りである点に違いがある。
流れ作業のようにいつも同じことを繰り返す単純作業では、仕事の内容から区切りを入れることはできない。六〇分続けたら五分、2時間たったら15分というような休憩をはさむことになる。つまり、分散法がとられることになる。 そうしないと、飽きががきて能率があがらないだけでなく、エラーも起こる。
これが勉強なら分習法のほうがやりやすい。問題ごと、節ごと、科目ごと、という具合に意味的なまとまりがあるからである。
分習法で問題になるのは、まず、どのくらいの大きさのまとまりを設定するのがいいのかである。
これには決め手はなく、やさしいものであれば、必然的にそのまとまりは大きいものになるし、むずかしければ小さくなる。
ところで、時間にしても内容にしても、分割すれば中断が発生する。中断すると能率が落ちるのであろうか。それともあがるのであろうか。
これに一つの解答をあたえることになった中断効果についての心理実験を紹介しておく。
色々の種類の作業をさせて、いずれの作業もあえて途中で強制的に打ち切ってしまう。時間分割である。そしてしばらくしてから、作業者にどんな種類の作業があったかを思い出させる。
この結果、すべての作業を終わりまで通してやった群とくらべると、作業の途中で強制的に中断した群のほうが、よりたくさんの作業内容を思い出すことができたという。作業途中の中断が作業者に緊張をもたらし、記憶に効果的に作用したのである。
この中断効果が示すことは、休懇を入れたい時とか、用事でやむをえず中断しなければならない時などには、あえて、内容のまとまりの途中でやめておくのがよいということを示唆している。そうすれば、前のことが記憶に残っているので、すぐに再開することができる。