温かい知 思考に気持ちをこめる
********ポイント
1)うまくいっているときこそ慎重に
2)失敗したときこそ深く考えるチャンス
3)考えるときは自分の感情状態にも思いを はせる
*******************************
●「温かい知」と「熱い知」と「冷たい知」
心を知情意の3つに分けたのは、アリストテレスであるが、今でもそれなりにわかりやすい分類なので、心理学でも使われている。
しかしながら、現実の心の働きは、知情意渾然一体である。たとえば、
(1)おもしろそうだから解いてみた
(2)わかってうれしい
(3)あわてたので間違えてしまった
(4)熱愛しているのであらが見えない 」
(1)と(2)のように、知の働きに穏やかな感情が混在しているとき、それを温かい知と呼び、
(3)と(4)のように、激しい感情が混在しているとき、それを熱い認知と呼ぶ。
温かい認知と熱い認知を一緒にして感情知と呼んでおく。
これらに対して、コンピュータ上での知のように、感情の混じらない知を冷たい知と呼ぶ。
●うれしいときは難しく考えない
温かい知の現象でおもしろいことはいろいろあるが、その一つ。
うれしい、楽しいなどポジティブな感情状態では、あまり細かいことまで考えずに、大雑把に考え、反対に、悲しい、不安などネガティブな感情状態では、かなり深く細部まで思いをめぐらすらしい。 「成功体験に溺れているとだめ」「勝って兜の緒を締めよ」も、この知見からすると、納得のいく戒めである。
また、慰め言葉の常套句に、「深刻に考えないほうがよい」とか「気晴らしでもしたら」があるが、これも、ありもしないことにまで思いをめぐらしてしまってますます落ち込んでしまうのを防ぐためには有効である。
●感情は注意の調節弁
知的活動は、適度の注意が配分されているときに、最も最適な状態になる。感情は、この注意資源の量をコントロールする役割を果たしていると考えられる。
となると、知の働きを最適なものにするからめ手からの方策として、感情をコントロールすればよさそうに見えるが、事はそれほど簡単ではない。
というのは、感情は、今目の前にある状況に即応する機構なため、自己コントロールが非常に難しいのである。へたにコントロールすると、自分の生存が危なくなる。
うれしい気持ちになるのは、状況の中に生き残りのための材料が豊富にあることを意味している。逆に、悲しい気持ちになるのは、状況の中に生き残ることを危うくする危険な材料があることを意味しているのである。だからこそ、深く細かく分析するのである。
したがって、その時その場での生き残り戦略としては、感情に従った温かい認知活動をするのが最適ということになるが、より長期的な戦略にかかわる重要な決定や判断は、一時の感情に影響を受けないように、感情の波が治まってからにするのが賢明というものである。
********ポイント
1)うまくいっているときこそ慎重に
2)失敗したときこそ深く考えるチャンス
3)考えるときは自分の感情状態にも思いを はせる
*******************************
●「温かい知」と「熱い知」と「冷たい知」
心を知情意の3つに分けたのは、アリストテレスであるが、今でもそれなりにわかりやすい分類なので、心理学でも使われている。
しかしながら、現実の心の働きは、知情意渾然一体である。たとえば、
(1)おもしろそうだから解いてみた
(2)わかってうれしい
(3)あわてたので間違えてしまった
(4)熱愛しているのであらが見えない 」
(1)と(2)のように、知の働きに穏やかな感情が混在しているとき、それを温かい知と呼び、
(3)と(4)のように、激しい感情が混在しているとき、それを熱い認知と呼ぶ。
温かい認知と熱い認知を一緒にして感情知と呼んでおく。
これらに対して、コンピュータ上での知のように、感情の混じらない知を冷たい知と呼ぶ。
●うれしいときは難しく考えない
温かい知の現象でおもしろいことはいろいろあるが、その一つ。
うれしい、楽しいなどポジティブな感情状態では、あまり細かいことまで考えずに、大雑把に考え、反対に、悲しい、不安などネガティブな感情状態では、かなり深く細部まで思いをめぐらすらしい。 「成功体験に溺れているとだめ」「勝って兜の緒を締めよ」も、この知見からすると、納得のいく戒めである。
また、慰め言葉の常套句に、「深刻に考えないほうがよい」とか「気晴らしでもしたら」があるが、これも、ありもしないことにまで思いをめぐらしてしまってますます落ち込んでしまうのを防ぐためには有効である。
●感情は注意の調節弁
知的活動は、適度の注意が配分されているときに、最も最適な状態になる。感情は、この注意資源の量をコントロールする役割を果たしていると考えられる。
となると、知の働きを最適なものにするからめ手からの方策として、感情をコントロールすればよさそうに見えるが、事はそれほど簡単ではない。
というのは、感情は、今目の前にある状況に即応する機構なため、自己コントロールが非常に難しいのである。へたにコントロールすると、自分の生存が危なくなる。
うれしい気持ちになるのは、状況の中に生き残りのための材料が豊富にあることを意味している。逆に、悲しい気持ちになるのは、状況の中に生き残ることを危うくする危険な材料があることを意味しているのである。だからこそ、深く細かく分析するのである。
したがって、その時その場での生き残り戦略としては、感情に従った温かい認知活動をするのが最適ということになるが、より長期的な戦略にかかわる重要な決定や判断は、一時の感情に影響を受けないように、感情の波が治まってからにするのが賢明というものである。