第6回 頑張り過ぎミスを防ぐーーー持続・能動
●がんばって集中力を持続する
集中力をエネルギーにたとえました。エネルギーなら使えば減ります。補給が必要です。
どれくらいすれば枯渇するのか、これに対する答えは、
集中度x時間=一定
となります。なお、「一定」は人によって異なります。これが集中力の個人差になります。 この式の意味するところは、非常に高いレベルで集中すれば、短時間で枯渇しますし、レベルが低ければ、長時間の集中ができることを示しています。
仕事内容によって、経験的にこのあたりは決まっているようで、たとえば、義務教育レベルの授業は50分、大学では90分、軽い事務作業ですと2時間くらいではないかと思います。これを越える集中を要求すると集中力の質が落ちて、仕事の質も劣化し、さらにはミスの発生をもたらします。
能動的な集中力の持続対策のポイントは、減ったことを認識し、それを補給することになります。
●頑張りすぎミスを防ぐための集中対策
①ヒヤリハットや「ちょこミス」を活かす
集中力はある程度、自分でコントロールできる実感を誰しもが持っています。だからこその「がんばれ」です。人から言われることもありますし、自分で自分に言うこともあります。そして、かんばります。
しかし、がんばりにも限界があります。その限界を見極めるのが一つのポイントになります。
仕事の能率が低下してくるのはかなりはっきりと自覚できます。ときには、ヒヤリハットや「ちょこミス」がそれを教えてくれることもあります。
自分一人の仕事なら、では、一休みですが、仲間と一緒のときは、そうもいきませんが、日ごろから、そうした状態での一休みを皆で了解しあう作業環境であってほしいところです。
②時間を区切る
がんばりだけでもかなりに長時間、見かけ上、集中力を持続することはできます。しかし、がんばっていればいるほど、集中力の枯渇に気づけません。
そこで、あえて、仕事前に、小休止の時間を強制的に決めておいて、その時間がきたらわかるようにしておくのです。時には、絶好調のときの中断となることもありますが、それくらいでいいのです。
わずか5分の小休止でも、集中力の補給ができます。ですから、休憩以前よりも高いレベルでの集中力を発揮できることになります。
これは中断効果と呼ばれています。
ちなみに、強制的な時間の区切りのコツを3つほど挙げておきます。
「飽きっぽい人(集中力のない人)」
小刻みに分割します。そして、小休懇のとり方を工夫をします。たとえば、机を離れて一分間体操をする、お茶を入れて飲む、鉛筆を削るなどなど。短時間でできて、しかも決まった時間内でできるものを用意しておくのです。
「日常生活の自然の区切りの活用」
普段の生活のなかで、集中力を持続させるコツは、生活時間にさからわずに、それに合せて時間設計をすることです。自然の区切りは仕事の区切るとなっていますので、そのたびごとに集中力がリセットされます。
「つらいことは短時間で、楽なことは長時間で」
むずかしいこと・めんどうなこと・やりたくないことは小刻みに、やさしいこと・簡単なこと・好きなことは長い時間単位を設定します。
「目標を決める」
どこまでやったら一休みもあります。目標があれば頑張れるからです。これが適切に機能するためには、普段から仕事をするための目標管理が必要です。PDCAサイクルを意識した仕事の仕方です。
これがきっちりしていないと、頑張りすぎミスが起きてしまいます。
③頑張らせ過ぎない
頑張るのは自分、したがって、ミスをすれば、自己責任。それで済ませてしまうことはできます・
それでも、ダメージを受けるのは、本人よりも周りや会社です。
ですから、過剰集中状態でないかの監視は周りがお互いのこととして注意しあう環境であってほしいと思います。
なんとかく過剰に頑張らせてしまうような職場環境にも要注意です。定時退社さえも勇気がいるような雰囲気はまずいと思います。
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