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「心理学ってどんなもの」岩波ジュニア新書より」10年前の今日の記事

2019-08-25 | 心理学辞典

「心理学ってどんなもの」岩波ジュニア新書より

はじめに  

筆者が心理学の研究者の仲間入りをしたのは、1965年、大学院1年生のときです。この年は、国際電電の会議室で行なわれたAVIRGという研究会で、卒業論文「メッシュ化したカタカナ文字の認識過程」を発表させていただき、そして、その内容を小さな冊子として刊行してもらった年です。

この初期体験は、今でも鮮明に思い出せます。それから34年がたちました。自分も変わりましたが心理学も変わりました。  

57歳の今、自分のほうはさておき、心理学がどう変わり、今どうなっているのか、そして、これからどうなるべきなのかが、しきりに気なりだしました。これが、本書を書いてみたきっかけです。  「心理学」ブーム---実は、「心」ブールに便乗しているようなところがあるのですが---の昨今、こうした1冊は、心理学、あるいは、心に興味を持つ人々だけでなく、心理学の研究者の方々にも、21世紀に向けて新たな心理学、あるいは、心の科学を構築していく上で有益ではないかと確信しています。  

心理学の教科書を書いたつもりはありません。心、あるいは心理学への素朴な期待や疑問に答えるという形を取りながら、心理学はどのような考えに基づいて心を「科学している」のかを中心に書き込んでみました。  

心理学は、絶えず、方法論クライシスとでも呼ぶべきものに直面してきましたし、今でも直面しています。心理学とは何か、何をどのように研究すべきかが、折に触れ論じられてきました。これが心理学を科学として鍛えあげるのに貢献しています。心理学の方法論がわかれば、文系も理系も含めておよそ学問と名前のつく営みの本質がわかってくるようなところがあります。  

話しが抽象的になったり、ひとりよがりになったりするのを避けるため、想定読者として、心理学をこれから大学で専攻してみようかと考えている高校生を設定してみました。

しかし、内容は「高校生」を越えています。ときには、「自分」をも越えています。これまで気にはなっていながら、深く考えることのないまま、なんとなく避けてきたことを取り上げているからです。

  機械的記憶(rote memorization>学生が解説すると

2019-08-25 | 心理学辞典
 
機械的記憶(rote memorization>

 意味を考えることなく、繰り返しと再生によって記憶することを機械的学習といいます。心理学では、無意味つづりという実験が行われています。ドイツの心理学者・エビングハウスが行ったこの実験は、意味のない単語、例えば「あた」、「めお」などを繰り返すことで記憶していくものです。この機械的学習による記憶を機械的記憶といいます。私たちは何かを記憶する際、意味付けをします。birdという英単語を覚える時、「鳥」という文字や鳥の姿を、b・i・r・dというつづりの並びと結び付けます。しかし、機械的学習ではこうした結びつきは生じません。例えば、毎日通る通学路があるとします。友達と話をしていたり、急いで走っていたりと、周囲の風景に気を留めることはあまりありません。しかし、何週間、何ヶ月と通り続けていると、意識しなくてもどこにビルがあり、どの辺りに交差点があるのか覚えています。これが機械的記憶です。(HU)

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記憶には、丸暗記といわれる機械的記憶と意味や内容を理解して覚える論理的記憶の二つがあります。機械的記憶の例をあげるなら「かけ算九九」を覚えたときの記憶方法がそれにあたります。
皆さんは「九九」を覚えた際に声に出したり、書いたりしてまるで機械のように「くり返す」ことで記憶したと思います。また一気に大量に記憶できないので、「小さく区切る」(二の段、三の段と分ける)ことや「リズムにのせて」(ニニンガシ、ニサンガロクなど)覚えたと思います。ただこの「ニニンガシ」という言葉には、何の意味もなくそのまま丸暗記しています。だから「無意味記憶」と言われることもあります。
人の脳は学習する内容が難しくなればなるほど、機械的記憶だけでは記憶できなくなります。そのため小学校低学年から中学1年の時期には、機械的記憶を最も得意としていますが大きくなるにつれて1つ1つの意味や内容を考えてから覚えようとする、意味的記憶へと移り変わっていくのです。(YM)