
坤六峠から水上側に下ったところに今夜の野営地はある。

標高1400メートルにある奥利根水源の森である。ツーリング・マップルには県自然の森と記されているキャンプ場だ。

トイレしかない広場のような場所が野営場なので、キャンプをしている人はいるのかなと思っていたのだが、たくさんのキャンパーがいた。

トイレはあるが水場はない。近くに水汲み場があるようだが、飲料水は持参した。

駐車場のようなところから森に入ってゆくと、こちらにもサイトがある。

林間サイト。バイクはZ1である。ハンモックの上にタープをはっている。

森の中は雰囲気はよいがトイレは遠い。

駐車場のような広場のトイレの近くに設営場所をさだめた。

床は水平ではなく石が多い。奥は沢で、利根川の水源だ。テントの横でメモをつけていると冷えてきた。メガネが息で曇るほどだ。時刻は17時だった。

冷え込むことが予想されたのでセーターとダウンジャケットを持参した。タイツにオーバーパンツもである。さっそくそれらを着込んだ。

最近はほとんど見ない家型テント。ドーム・テントがなかったころの最高級品だ。

キャンプ場には長期滞在者とこの日だけ泊まるキャンパーがいる。長期滞在者は独特の濃い雰囲気をまとっていた。道具派はいない。焚き火をしているナチュラル派が多い。

ジムニーに乗る登山者風の中年男性や、大型パラソルをかついで寒さを避けながら焚き火をする80くらいの老人がいる。このパラソルじいさんはワイルドだった。

今宵のラインナップ。ビールに地酒、それに飲料水。セブンイレブンのミートボールとポトフ。食料はこれしか手に入らなかった。

テントの奥にある沢にゆく。

沢の水をくんできて地酒の燗をつけた。

空は暮れてきた。

隣りにVストームのライダーがやってきた。若い人なので会釈だけをしておいた。

ミートボールをあたためる。

なかなかいける。

つづいてポトフもボイルした。

日が落ちると急激に冷え込んでくるので暖かいものが美味しかった。ダウンやオーバー・パンツがなかったら厳しい状況だ。

むかいの長期滞在者のテントでは年配の男ふたりと若い女性が飲んでいた。それぞれひとりで来ていた人たちで面白い組み合わせだ。それをつまみにして酒を飲んだが、朝方はもっと冷えるだろうから、酔わないうちにシュラフに入った。横になると沢のながれるザーザーという音とポコポコという湧水の音が聞こえた。