5時に起床した。天候は晴れ。しかし今夜から天気はくずれると予報は言っている。18時以降の降水確率は50パーセントなので、それまでにツーリングをたのしむことにした。
電話会社でもらったギガどーん兵衛を朝食とした。
6時10分に出発したがこれは勤勉すぎる行動だった。もっとゆったりと過ごしたつもりだったが、サラリーマン根性がしみついていて、朝から前のめりに動いてしまっている。貧乏性のせいでもあるのだが。
昨夜天塩川温泉へと走った国道40号線を北上し、咲来で道道220号線にはいって歌登にむかう。朝の道道は交通量がほとんどない。晴れてはいるが山には霧がかかっていて、咲来峠でそのようすを撮影した。
北海道らしい牧場の中をゆく道となった。ところがこんなところにもトンビがいて、バイクに驚いて前方ににげてゆく。トンビは70キロほどで飛んでいるから追いついてしまう。するとパニックにでもなったのか、真上にいる奴が下降しようとするから、アクセルをあけてシングル・サウンドをひびかせると、方向転換して飛び去っていった。
予想よりも大きな町の歌登から道道12号線にはいって枝幸にむかう。この先にケモマナイ林道の入口が左手にあるので、速度をおとして注意してすすむと、無事にみつけることができた。
林道の入り口の左の草の中には錆びついた林道看板がたっている。写真ではわからないが、肉眼ではケモマナイ林道の文字がよみとれるから、これが目印だ。
ケモマナイ林道は深い森林地帯をはしる22キロのジャリダートだ。路面は昨日の雨で湿っていて、森は暗いがフレンドリーな気配だった。
枝が落ちているが走りやすい砂利ダートをすすむ。
走ってきた方向をふりかえる。
山を登ってゆくと頭上がひらけてきた。
落葉がつもった路面もあるが、ここも走りやすかった。
9キロすすむと枝林道との分岐にでた。左が支線である。
ウェンナイ支線とあるがこれはTMにケモマナイ越林道と表記されている道だろうか。
支線の入口をみる。カーブして山を下ってゆくようだ。
分岐から先の本線の光景。この先は路面が荒れていた。落葉と枝が路面にちらばり、流水でけずられてクレパス状になっているところがある。廃道の雰囲気もただよっていた。交通量もほとんどないようだが、ただ1台バイクの走った跡があった。昨日のものだとおもわれるもので、反対方向から走行している。この間は路面が悪いので写真はとっていない。たくさん落ちている枝を踏むとパンクするかもしれないから、用心して避けて行った。
13キロすすむと唐突に二股にでた。前にはなかった道がつくられている。右が本線。左が新道である。
問牧山林線とある。反対方向からきたら、新しいこちらの道を本線とまちがえるかもしれない。
ケモマナイ林道は9キロと13キロの分岐のあいだが荒れていた。利用者があまりいないためだと思われた。
白樺林の林道をゆく。路面は濡れていて暗い林が多かったが、よいところだと思う。そしてあらためて私は深山が好きなのだと思った。それは私のDNAにすりこまれているからなのだろう。
魚つきの森の広場、という看板のたつ場所にでると林道の出口は近い。広場の先に丁字路があり、ここがケモマナイ林道の入口で、やはり錆びついた看板が草のなかにたつ。丁字を右に折れてゆくと国道238号線にでて、バス停がある。
問牧のバス停だ。ここがオホーツク側の林道入口の目印である。
林道走行はたのしい。バイクでアスファルトのコーナーを攻めるのもスリルがあって、躍動感と車体をあやつる面白さがあるが、ダートのそれは少し違う。滑りやすく、デコボコしている路面で、グリップ走行と、ドリフトとまではゆかないが、タイヤをすべらせたり、空転させたりしながらバイクをコントロールするのが心おどるのだ。それも低速でできるから危険はないし、ふだん目にすることのできない風景も見ることができるから、とても魅力的なのである。
国道238号線でオホーツク沿いを北上してゆくと、釣り人がたくさんいた。たぶん鮭釣りだろうと思う。興味があるので見にいってみた。
1本の竿たてに2本のロッドをセットし、ひとりで10本以上の竿をならべて釣りをしている。釣り人にたずねるとやはり鮭釣りだそうだ。今が釣れる時期なのだそうだが、今年は遅れていて、更に今日は台風の影響で海が荒れているから釣れていないそうだ。
エサはイカのソフトルアーに赤く色をつけたイカの切り身、赤タンをつけたもの。ポイントは波打ち際のちょっと先で、こんなにと思うほど岸から近い。これで鮭がつれたらそれは面白かろうとおもう。林道走行とはまた違うダイナミズムで、男心をさそうね。
少し前から寒かったのだが我慢して走っていた。釣りを見物した後でセーターを着込んで走りだした。
エヌサカ線と平行して海岸線をはしる林道を走りにゆく。ここもFukishimanさんのHPで知ったところだ。9,5キロのダートがあるとTMに記されているが、林道の入口がわからなくてエヌサカ線に入ると、何もなく、牧場のなかをゆくようなこの道にとりつかれてしまった。
ここは利尻富士を見ながらはしる太平洋沿いの道道106号線のようなところだ。ガードレールも電線もなにもない。それがたまらなく魅力的だったので、林道にゆくのはやめてしまった。
エヌサカ線をぬけると左手に宗谷丘陵がひろがりだす。原野と牧場があるところだ。ここは好きなところだし、林道もあるので寄ってゆきたいが、前述の道道106号線もまっているので今回は割愛した。
宗谷岬に到着した。もっと人がいるかと思っていたが、意外にすくなかった。最北端のモニュメントの前に観光客がいなくなるときがあるほどだ。
宗谷の海は遠浅で海草が生茂っている。コンブの匂いがしていた。
珍しいヤマハXT660がいたので写真をとらせてもらった。モタードだがオフロード・タイプなら欲しいなと思わせる1台だ。
稚内駅につくと駅舎がたてかえられていておどろいた。地元の方は新しいほうがよいのだろうが、無責任な旅人は古い建物に愛着があるから寂しくかんじてしまう。隣りには道の駅が併設されていて、ここで車中泊すれば夜は稚内で飲める立地だった。
稚内駅で昼食の店をえらび、北防波堤ドームに立ち寄る。礼文・利尻にむかうフェリーがみえていた。
昼はノシャプ岬の漁師の家と稚内の青い鳥とまよい、塩ラーメンにした。塩ラーメン700円の大盛り100円に野菜トッピング100円で900円。見た目重視の一杯だった。
ノシャップ岬にすすむ。ここでBMW・R100Rの方と話をした。氏の友人がDRビックにのっているそうで、私のDRがめずらしいと話しかけてきたのだ。45くらいのライダーで都内ナンバーの方だった。氏は皮の上下を着ていたが、革ジャンがほしい気温であった。
BM氏とわかれて道道254号線にでると、ここで鹿の親子が草を食んでいた。
車が通っても動じない。これも北海道らしい光景だった。
利尻富士を見ながらはしる待望の道道106号線にはいった。
道道106号線もエヌサカ線のように何もないところだ。
エヌサカ線は牧場のなかをゆく道だったが、こちらは原野である。
オトンルイの風車は見えだしてから15キロはしって到着する。
日差しがでて暑くなり、ここでセーターをぬいだ。
天候が回復したのでまた函岳にゆこうかと考える。今日は展望がきくかもしれないし、2日連続で函岳山頂にたつというのもいいではないか。一方で旭川に移動して一杯やるのも悪くないなとおもう。どちらにするのか考えながら手塩、音威子府とすすんでゆく。決断はつかなかったが、函岳方向の山に雲がかかっているのを見て、旭川にゆくことにした。
キャンプ場にもどると、新しくきたキャンパーが私の車にぴったりよせて椅子やテーブルをセッティングしてしまっていた。これでは私の車がだせない。場所を決めるときにまわりの車が移動できるのか確認するのは最低限のマナーだと思うが、そんなこともわからないのだ。バイクの後ろに写っているハイエースの60くらいの夫婦だったが、私が文句を言うとはじめて気づいていた。
なんとか切り替えして車をだした。男は車の中に引っ込んでしまった。カッコ悪くていたたまれないのだろう。ここはバイクも車も洗車は禁止だ。しかし林道をはしったDRは泥でよごれているから、バケツ一杯の水でながさせてもらった。
閑なキャンパーは私がバイクを車にのせるのを見物していた。また近くでは長期滞在者たちが立ち話をしている。その内容が、台風で苦労している初心者たちの姿を笑っているもので、まことに低俗で意地悪だ。テントのまわりに溝をほっている人間たちだったが、隣りの車が出られないことに気づかない者より、ずっと悪質だった。
16時にチェックアウトする。チェックアウトは15時までだが追加料金はいらないと管理人さんは言う。1時間ばかりすぎたからといってお金はもらえないよ、と。またここに来ようと思った。
旭川にむかう前にびふか温泉にはいってゆくことにする。料金は400円。ここは内風呂とジェット・バス、サウナはあるが露天風呂がない。露天風呂がないのは大きなマイナスで、風呂は天塩川温泉のほうがよかった。ロビーには鹿の剥製があるが、可哀想だからのらないでください、と書いてあった。
17時半に旭川にむけて南下をはじめる。函岳の入口を通過するときに看板の写真をとっておいた。
上下線で表示がちがう。そしてダートだとは書いていないから、行ってみて驚く人もいることだろう。引き返す者も多いとおもう。
函岳方向のながめ。
美深北ICから無料の美深名寄道路にはいり、名寄からは国道40号線を利用した。これはスマホのヤフーナビのおすすめルートだ。士別の町では混雑したが、その後は70キロから80キロの速度で車はながれてゆく。信号もないから自動車道路をはしっているのと同じようだった。
19時40分に目的地の道の駅あさひかわに到着した。ここは旭川駅の南、1キロほどのところに位置している。ここでPキャンをすれば旭川で飲めるなと目をつけておいたのだ。
道の駅に車をとめて、目的の店まで2キロほどあるのでスニーカーにはきかえて歩いていった。
ついたのはジンギスカン大黒屋本店。入店待ちとなっており、10人ほどがならんでいた。以前も利用したのだが、私はここのジンギスカンが日本一だと思っている(この時点で、である。将来にわたってそのままなのかはわからない。こう書いておかないと、10年前のお気に入りのお店のことを言われて困惑したりするので、念のため)。
40分待って席につくことができた。今宵のラインナップ。生ラム700円。ラムのショルダー・ステーキ700円。ラムのスープに生ビールである。呑むとたべない私としては限界をこえる多さで欲張ってしまった。
生ラムがいちばん美味しいとおもう。半生に焼いてタレにつけてたべる。
ラムのショルダー・ステーキ。
分厚いのでハサミでカットして焼いてたべる。これはこれでよいが、生ラムにはかなわない。
ラム入りのスープ。においはまったくなく、あっさりしている。ネギに溶き玉子がアクセント。
隣りに座っていた男性が美味いですね、と話しかけてきた。まったく、と応じると、これが目的で来たんですよ、と言う。私も旭川の目的はほぼこれです、と答えたのだった。男性は、こんなに美味いんだから札幌にも店をだしてもらいたいな、と続けたので、都内にもだしてもらいたいくらいですよ、と答えたのだった。
支払いは2260円。安いと思う。男性に会釈をして大黒屋をでた。
満腹だか飲み足りない。旭川の街をぶらぶらとあるく。以前利用した炉端焼きのユーカラや、入ってみたい独酌三四郎という居酒屋を見にいったりした。
もう食べられないのでバーにゆくことにした。考えていたのは旭川で3本の指にはいるというスプーンというバーだ。
入りづらいドアをおして店内に入ると客はいない。オーナーでマスターの女性とバーテンさんがむかえてくれた。
カクテルはほとんど飲んだことがない。そこでおすすめをたずねると黒板に書いてあるリストをもってきて説明してくれる。そのいちばん上に書かれていた山ワサビのカクテルを注文した。
するとナッツがでてきたのはよいのだが、お通しまでついてきた。バーはたべなくてもよいと思ってきたから、これには困ってしまった。バーでは席料がかかるかお通しがでることが多いようだ。
銅のカップで提供された山ワサビのカクテルはさっぱりしていて、最後にワサビの辛味がぴりりとくる一杯。
居酒屋のカウンターにいるときはひとりで黙って飲んでいればよい。しかしバーのカウンターはバーテンさんやマスターといろいろと会話することになる。私は観光客だがふつうの観光客ではない。目的地は山奥の林道ばかりなのだから。それを話すのだが、バイクを車に積んできて、山の中の林道をはしっている、と言ってもなかなかわかってもらえない。バイク好きのなかでも少数派のオフローダーなのだ。門外漢のおふたりには理解できない世界だろう。おふたりは函岳の存在も知らなかったが、地元の方でも興味がなければそんなものだろう。美深や名寄にも関心はないようだった。都市生活者はそんなものだよね。
2杯目はラムにした。大黒屋でラムをたべてきたからこれにする。それをおふたりに話して大黒屋が日本一美味しいと思うと言うと、同意されない顔だ。話を聞いてみると、大黒屋のジンギスカンは札幌のジンギスカンだという。どういうことなのかというと、焼いてタレにつけてたべるのは札幌スタイル。一方で漬け込んだ肉を焼いてそのまま食すのが旭川流とのこと。そういえば名寄の三星食堂のジンギスカンは漬け込んだものだった。松尾のジンギスカンもそうてある。これがトラディショナルなスタイルだし、子供のころから慣れ親しんだので、漬け込んだものでないと受けつけないそうだ。
ラムはロックでのんだ。香りがたつようにテイスティング用の小さなグラスで供される。大きなグラスはチェイサーだ。
旭川の街が変わったのも話題になった。駅が建て替えられ、駅前にはイオンができている。駅はガラス張りの建物で柱に木材をつかっていた。旭川は木工の街だからだそうだ。無責任な観光客は前の駅舎のほうが味があったと話したが、地元の方はもちろん新しいほうがよいと言っていた。
上の画像は旭川駅だ。
ラムを飲んだところでお会計にした。料金は3600円。マスターがドアをあけて送ってくれた。
旭川駅につづくメインストリートをぶらぶらとあるいてゆく。イオンができたのはよかったが、そのせいで西武が撤退することになってしまったそうだ。道の駅につくとまた飲みなおして1日がおわった。明日は雨。それも激しい降りになるそうだ。
バイクの走行距離340キロ。車の走行距離106キロ。
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