天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】君の名は。/グランド・イリュージョン 見破られたトリック【24~25作】

2016年09月01日 | 映画感想
「君の名は。」

ジブリ亡き後(無くなってねーってw)のジャパニメーションを牽引してくれる人はこの監督さんしかいない!とアニヲタからの絶大なる支持を
得ていると評判の新海誠氏が原案・脚本・監督を務めた3年振りの新作。
新海氏は過去に「秒速5センチメートル」「事の葉の庭」等の作品で非常に高い評価を受けている監督さんですが、自分は実は彼の過去作品を
1つも観ていないんですよね…「事の葉の庭」は観に行きたいな~と思ってたんだけど、なんとなーくスルーしてしまった(滝汗)
では何故本作を観に行く気になったのか、それは……本作の主人公「瀧」の声を神木隆之介君が担当したから!うん神木君が好きなの!それだけなの!(ヲイ

あらすじ…1000年に一度の巨大彗星が地球に最接近するまであと1ヶ月。岐阜県飛騨地方の田舎町で暮らす「三葉(ミツハ)」は地元に代々続く神社の娘。
古い神事の風習を踏襲させられる事、神社を継がずに町長になって政治に傾倒している父の存在等、鬱屈した日々を過ごしていた。
都会への憧れが強かった三葉は、ある日自分が東京に住む男子高校生となって生活している夢を見る。目覚めた後も不思議な感覚を覚える三葉。そしてその頃
東京に住む男子高校生「瀧(タキ)」もまた夢の中で自分が田舎の女子高生として生活している夢を見ていた。何度か同じ人物になる夢を見ている内に
お互いが実在する人物であるという事、そして眠る度にアトランダムにお互いの心と体が入れ替わっているという事に気付く。

神木君が声を担当している、という事のみ。この一点だけで観に行ったので予告編等の予備知識一切なしの全く情報カラッポ状態での鑑賞でしたが…
まあとにかく映像が恐ろしくキレイ。映画冒頭からとにかく魅せます!絵の視点の取り方も凄く凝っていて大きく俯瞰したかと思えば一気にマクロまで寄って
またそれをぐるりと展開させて大きく引いて行く、等の非常に手の込んだアングル回しを何度も駆使しています。
背景も細部に渡って非常に丁寧に描かれていて、ジャパニメーションらしいセルアニメ風質感とCGアニメの融合が違和感なく非常に美しい。
キャラクターデザインがちょっと萌え系寄りで頭でっかちな「いかにも」なキャラなんだけど、個人的にはコレでいいと思いました。

で、最初は何が起こってるのか観ているコチラにもサッパリ分からなくて頭の中が「???」なんだけど、話が進むと「東京の男子高校生と岐阜の田舎の女子高生の
心が入れ替わっている」という事が分かって来ます。主人公達の理解度と観客の理解度の速度が同じなので違和感なく話に入り込んで行けるようになっている。
で、そこはイマドキと言うか、心が入れ替わってる間に起こった出来事が翌日本来の自分の体に戻った時に齟齬が出ないようにお互いその日に何をしたか、
どんな事が起こったか等をスマホの日記アプリに書き込んでおくというルールを作って、要するにスマホで「申し送り」をして行く訳です。

そんなこんなで映画の前半と言うか半ばまでは高校生のファンタジー生活をまったりとした進行で見せているんですが、ある日を境に心の入れ替わりが無くなった
事で瀧が三葉に直接会いに行こう!と思い立った所から話がどえらい方向に進んで行きます。
ここから先は何書いてもネタバレになりそうで…とにかく全く予想もしていなかった展開にただただ唖然。「えええええ~!?」と心の声が思わず口を付いて出そうな。

ここから超ネタバレなので文字隠します。【 】部分を右クリックで文字反転出来ます。

ただね、本作は東日本大震災を経験して来た日本人だからこそ描ける世界観なんじゃなかろうかと思いましたね。
監督さんも「ポスト3.11作品である」とおっしゃっているそうですが、この地球には余りにも突拍子もない出来事が本当に1000年に1度位の頻度で起こるのだ、
という経験を日本人は実際にして来た。人間の叡智では防ぎようのない自然災害が起こる中で、それでもどれだけの危機管理が出来るのか。
自然災害の中にあって少しでも「人災」を減らす努力を日本人は学習して来たハズだと。あの災害を経て我々日本人は立ち上がる為に様々な気持ちを持って
ここまで来たのだ…からの、「だったら今の私達ならあの災害にあってももっと救える命があるに違いない」という部分にまで昇華していくというかね。


でも本作は↑こんな説教臭い事は全くなく、もっとずっとファンタスティックでこのクソBBAの心すら震わせるような瑞々しい高校生の恋愛を描いています。
そして時間軸をいじくり倒す系ファンタジーのお約束「バタフライ・エフェクト問題」を本作はいともアッサリと乗り越えて行きます。
コレに文句垂れる方もいらっしゃるのかもしれないけど、自分はコレで良かったと思いましたね。むしろこうであって欲しかった、とでも言うべきか。
「心の救済」がなければファンタジーとして成立しないと思うんですよ。…そう思うのも日本人独特のメンタリティなんでしょうか?^^;
という訳で、本作は最初はまったりとユーモラス進行で楽しんで→それがどえらい方向に急展開して行き→最終的にジーンと来る、という
全く持って日本人が大好物な王道ファンタジー展開のお話でした。久し振りに映像も内容も満足出来るアニメーション作品に出会いました。DVD買っちゃおうかな♪



「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」

2013年に日本劇場公開になった「グランド・イリュージョン」の続編。(←クリックでグランド・イリュージョンのレビューに飛びます)
正直、あーんまり前作の事覚えてないんだよね。最初のイリュージョン(と言うかカードマジック)が「おおおおお!」と衝撃的だったのは覚えてる。
後は黒幕、って言うのかな?まあぼんやりとした輪郭と登場人物の立ち位置程度の事しか覚えてなかった。という状態で本作鑑賞。

あらすじ…「アトラス」率いるマジシャン集団「フォー・ホースメン」はイリュージョンショーをしながら世の不正を暴き、悪がせしめた金を奪っている。
新たにハイテク企業の悪事を露呈させようとショーを始めるが、何者かによって邪魔されてイリュージョンは失敗に終わる。
それは「ウォルター」という天才ハイテクエンジニアの手によるものだった。ウォルターからあるチップを奪取して来るように取引を持ち掛けられた彼らは
我が身を守る為に仕方なく応じる…その頃、ディランは素性をバラされて身を隠しつつもホースメンのメンバーを探していた。前作でち復讐し投獄した「サディアス」が
今回の黒幕に通じている事を知ったディランはサディアスの元に向かうが…

まず、いきなり何の説明もなく前作からの続きで始まるので前作を観ていない人にはかなりハードルが高い作品になっているかと思われ。
かく言う自分も前作の事結構忘れちゃってたから話が少し進むまで人物設定思い出せなかったクチだし(苦笑)
基本メンバーは前作からそのまま引き継いでいて、本作は悪役の目玉としてハリポタシリーズのダニエル・ラドクリフ君が天才エンジニア役で登場。
あとホースメンの新メンバーとしてプリプリ女子を迎えてちょっぴり華やぎを持たせているという感じですかね。

んー、やっぱ小粒感は否めない(いきなりw)
一応イリュージョンの種明かしとかしてくれるんだけどさ、でも大事な部分は基本「催眠術」でターゲットを意のままに動かす事になってるから何かズルいんだよねw
それからチップを盗み出すくだりは結構面白いんだけど(トランプのカードにチップを貼る意味をあんまり感じないんだけど、そこは置いといてw)
このチップが実は偽物だった、というのは必要な情報?別に本物だったとしても全然展開として破綻はしてないよね?
わざわざ話をややこしくしてるだけにしか見えない部分が結構目立つような…例えばメリットが双子だったという設定って必要?とかさ。
双子設定にする事で後にとんでもないドンデンオチが!みたいな伏線があるのかも♪と思って気にしてチェックしてたのに特に何もなく終わってて肩透かし食らったし。

クライマックスの飛行機のトリックは「ほうほう、なるほど」と思わなくもないけど、そもそも本作の舞台が「NY→マカオ→ロンドン」と目まぐるしく移動するんですが
マカオは必要なのか!?まーそれ言ったらロンドンが舞台になった理由もイマイチ分からんのだけどさ。
とにかく何もかも強引に話を引っ張って行ってる感満載。イリュージョンシーンが当然本作一番の見せ場なんだけど、あのオネーサンの「鳩芸」は…(苦笑)
基本「面白い絵、ありき」な作りになっちゃってて「すっかり騙された」という爽快感からは程遠いと言うのかしらね。

で、オチのオチであの人もあの人も「アイ」のメンバーだったってさー…なーんか腑に落ちないっつーか。モヤモヤする「イマイチな続編」の決定版って感じですよ^^;
しかも本作、まだ続編作ろうと思えば作れなくもない感じが更に微妙なのよね。うーん。正直もういいかなぁ~
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