事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「これは経費で落ちません!」(2019 NHK)

2023-11-16 | テレビ番組

このドラマを妻は絶賛していた。

「とにかく面白いの」

経理部のお話。主演の森若さんが大好きな多部未華子だし、そこに伊藤沙莉吹越満角田晃弘、映画ファンにはおなじみの韓英恵が加わる。確かに面白そうだ。でも……

「うちに帰ってからまで経理のお話を見たくないなあ」

「なに言ってるの。見てごらんなさい!」

面白かった。原作のライトノベル(青木祐子)も相当なものであることがうかがえる。民間の経理のやり方(領収書の裏書きとか)は参考になるし、勤務する石けんの会社、天天コーポレーションの改革派と守旧派の争いといった単純なつくりにもなっていない。

江口のりこが(いくら外資からの転職組でも)やたらに英語を使うとか、権力争いにずぶずぶのベッキーが、そのためにヒロインたちに利用されるとか、笑える。

なにしろ阿部真央のエンディングテーマ「どうしますかあなたなら」が「どうしますか森若さん」に替えてあるあるあたり、スタッフも気合いが入っている。でんでんがゲストで出た石けん職人の回など、脚本の周到さもあって泣けてくるぐらいだった。

で、好評だったこともあり、NHKとしてはPART2を制作したいようなのだが、多部未華子が了承していないのだそうだ。

それは、PART1そのままのキャストでなければやりたくないということらしい。伊藤沙莉は朝ドラのヒロインに抜擢されたし、江口のりこは人気がうなぎのぼり。実現は、なかなかむずかしいでしょうねえ。

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「悪魔のようなあいつ」(1975 TBS)

2023-07-18 | テレビ番組

伝説のテレビドラマである。

主演が沢田研二。共演に藤竜也若山富三郎荒木一郎安田道代(大楠道代)篠ヒロコ(篠ひろ子)悠木千帆(樹木希林)細川俊之伊東四朗尾崎紀世彦(この人、うまい)、加藤治子……すごいメンバー。あ、主人公の妹役でわたしの好きだった三木聖子も出ています。

キャストがすごければスタッフはもっとすごい。プロデューサー兼演出が久世光彦、脚本がなんと長谷川和彦である。原作は阿久悠で、上村一夫が劇画化している。いちおう解説しておくと、久世光彦は「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」などの人で、長谷川は「青春の殺人者」「太陽を盗んだ男」で有名。というかゴジ=長谷川和彦はこの2本しか撮っていない。

DVDの最終巻の特典映像に長谷川和彦が登場し、どのような経緯でこのドラマが製作されたかを語っていた。まず久世が、気鋭の脚本家として書きまくっていたゴジに声をかけ、主演がジュリーでネタは三億円事件だともちかける。この魅力的な申し出を断れる人は少ないだろう。はたして、このドラマは沢田*久世*ゴジによって異様なテンションで推移する。

特徴的なのは、当時としてはめずらしく同性愛的なムードを取り入れたことだろうか。元刑事である藤竜也は沢田を溺愛し、元妻である那智わたるからは「インポのお兄さん」と揶揄されている。沢田はミュージシャン(毎回、「時の過ぎゆくままに」→ジュリーの最大のヒット曲を歌う)だが、同時に男娼でもある。女性とのからみも過激で、安田道代がおっぱい丸出しの演技を見せたのには驚いた。

三億円事件がらみでいえば、計画者と実行者が実は違っていたあたりが妙味。面白かったなあ。とにかく、このころの沢田研二の美しさは比類がない。

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「沈黙法廷」(2017 WOWOW)

2023-05-26 | テレビ番組

佐々木譲の原作が面白かったし、WOWOWでドラマ化されたこちらもレンタル。

その主な要因は“沈黙するヒロインを演ずるのが永作博美”であることだ。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」でキネマ旬報ベストテン助演女優賞、「八日目の蝉」で主演女優賞をとった人なのだから、演技力は保証付き。でも彼女の最大の特色は

「年を取らない」

ことだ。チョコラBBのCMに延々と登場しているのは、エーザイがその点に満足しているからだろう。もちろんベビーフェイスであることが有利にはたらいているのだろうけれども、それにしたっていつまでも彼女は若い。

その若さが、このドラマで効いている。彼女のまわりで次々に老人が亡くなっていく。家事代行業で生計を立てている(そのわりに広い部屋に住んでいる)彼女は、まだ枯れていない老人たちをたぶらかし、金をまきあげていたのではないか。そしてある老人の死に直接コミットしていたのではないか……

その一方で、年下の青年(市原隼人)は彼女を熱愛し、殺人などする人ではないと信じつづける。はたして彼女の本質はどこにあるのか。永作博美の年齢不詳さが謎を深めていく。

脚本は「結婚できない男」の尾崎将也。原作を読んだ人でも楽しめるつくりになっています。

弁護士を演じた田中哲司が渋い。いまどきこれだけ盛大にタバコを吸い続ける役もめずらしい。

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「ROOKIES」「ROOKIES -卒業-」

2023-05-23 | テレビ番組

「今さら?」

と思われるよね。あの高視聴率を誇り、劇場版がその年の興行成績のトップをとった、誰もが知る大ヒットドラマを、わたしは初めて観たのである。

どうして観ていなかったかというと、そのヤンキーっぽい雰囲気と、なんか暑苦しそうじゃない

それじゃあなぜ今になって観たかというと、とにかくこのドラマに登場した高校生たちが次々にスターになっていったからだ。

市原隼人、城田優、桐谷健太、そしてなんと佐藤健までいたのである。まあ、高岡蒼佑、小出恵介のようにスキャンダルのためにフェイドアウトした人たちもいるけれども。

さて、暑苦しさは想像以上。夢を語り続ける熱血教師(佐藤隆太)が、野球は素人であることで、さまざまなドラマが生まれる。試合中に大ゲンカしたせいで対外試合停止になっていたどんぞこの野球部(みんな昔の阪神の選手名になっている)が甲子園に出場する奇跡(テーマソングはGReeeeNです)を、絵空事に感じさせないあたりは周到だ。

意外なほど市原隼人のルックスは高貴だったんだと気づき、そして吹石一恵がとんでもなくきれいだったんだなと再確認したドラマでした。いや別に沈黙のパレードの次に特集したから福山雅治にサービスしたわけではありませんよ。

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「奥様は、取り扱い注意」(2017 日本テレビ)

2023-02-04 | テレビ番組

気づいたのは「Jin-仁」を見た時だった。綾瀬はるかの身のこなしがキレッキレなのである。半端な運動神経ではないんだろう。

そんな彼女の特性を活かそうと企画されたかこのドラマ。彼女の身体能力をこれでもかと見せつけられる。脚本は「GO」「SP」などの金城一紀。

綾瀬はるかの役は某国の特殊工作員だったが(ま、CIA であるのはバレバレですが)、過激な生活から離れ、専業主婦として穏やかな日々をすごしている。両隣に住む広末涼子本田翼とカルチャースクールに通うなど、主婦力アップに懸命だ。

それぞれの夫は西島秀俊、石黒賢、中尾明慶。穏やかに見えた彼らの生活に、いつしか不吉な影がさす。

それらのトラブルを

「わたしが何とかしてあげる」 

「みんなには内緒ね」
 
という決まり文句とともに知力体力を駆使して解決に導く……これが基本線。なにしろ元スパイだからその手の仕事はお手のものだし、主婦としての生活に飽き飽きしていたのも確かだったのだ。

かなりダークなお話もあって、いつもすっきりさわやかなエンディング、というわけでもない。でも視聴率は堅調で、映画化もされている。

DVD で初めて見て、タイトルの「奥様」は綾瀬はるかのことだけではなく、奥様という存在の取り扱いには十分に注意しましょうね、という意味であることに、不出来な夫であるわたしは深く納得させられたのでした。気をつけなきゃ<(_ _)>

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「怪盗山猫」(2016 日本テレビ)

2022-11-12 | テレビ番組

おっと、このドラマの原作ってきっと面白いんだろうな、と勝手に想像。神永学の小説を読んだことがないので不確かですけど、セリフにツイストが効いているし、あっと驚く展開も待っている。

泥棒であると同時に探偵でもある山猫(亀梨和也)、その助手の勝田(成宮寛貴……いまどうしているんだろう)、ハッカーの真央(広瀬すず)、ドライバーの里佳子(きゃー、大塚寧々です)がチームを組み、事件を解決に導いていく。しかし事件の背景に常に「結城」なる人物の影が……

警察関係者に佐々木蔵之介菜々緒、池内博之。彼らと山猫チームとの関係も一筋縄ではいかない。佐々木蔵之介と亀梨和也のやり取りは心地いい。

しかしいくらキャラを立てるためとはいえ、山猫を装飾しすぎ。

・カップラーメンが異様に好き

・水虫に悩み

・聞くにたえないほどの音痴

・で、それを指摘されるとぶちきれる(それで火事場の馬鹿力を発揮することもある)

まあ、彼らがいつもウィスキーを飲んでいるのがうらやましくて、ついつい自らに禁じていた(だって好きすぎるから)スコッチを飲み始めてしまったのは失敗。もう止まらない。

にしてもやっぱり亀梨和也はいい。堀北真希を特別出演させて、「野ブタ、をプロデュース」を再現させるなどのお遊びもOK。これからも彼の作品を追い続けていこう。

え、近ごろジャニーズまわりは大騒ぎじゃないかって?おれに訊くなよ。

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「ラジエーションハウス」(フジテレビ)

2022-11-10 | テレビ番組

8月中旬からながーい時間をかけてこのドラマをコンプリート。ジャンプ系に連載中のマンガが原作。放射線技師と医師たちのお話。

医学情報がたっぷりぶちこんであり、見ごたえがあって、同時にお勉強にもなる。どんなことがCTやMRIにはできて、そしてできないかなど、入院したときに(残念ながらわたしは入院の経験がない)うんちくを披露できそうだ。誰に?

ドラマの基本線は、医師と技師との間に歴然としている格差。

「技師ふぜいが余計なことを言うな」

という感じ。しかし主人公の五十嵐唯織(いおり……うちの猫と同じ名です)は医師免許を持ち、渡米して最新の知識を持ちながら、あえて技師として勤務している。それはなぜか……

思いきり無理のあるお話だけど、放射線技師たちのプロとしてのプライドが毎週描かれ、なかなかに面白い。しかも泣かせるストーリーがてんこ盛り。まあ、いつもいつも都合よく技師たちの前で患者が倒れるなあとは思いましたが(笑)。

ひとつ間違えばあざといドラマになるところを救っていたのが窪田正孝。彼以外のどんな役者がやってもきつかったのではないだろうか。

彼の幼なじみの放射線科医の甘春杏(あまかすあん)に本田翼。同僚たちに遠藤憲一浜野謙太、大好きな広瀬アリス、もっと大好きな山口紗弥加、ナレーターも兼ねている八嶋智人など。

いつも「五十嵐さん」と呼んでいた杏が劇場版の最後に彼をどう呼ぶか。やるもんだ。

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「宮本から君へ」(2018 テレビ東京)(2019 スターサンズ=KADOKAWA)

2022-08-25 | テレビ番組

史上最もかっこいいタイトルバック。

主演の池松壮亮が逆立ちをし、そして涙を流すそれだけなのになんとも凄い。演出の真利子哲也(あの「ディストラクション・ベイビーズ」の人だ)のセンスが爆発している。テーマソングがエレファントカシマシなのも気合いが入っている(主人公の名前はエレカシの宮本浩次からとられているそうだ)。

なにごとにも不器用な対応しかできない宮本は、他の俳優が演じたら暑苦しいだけの人間に見えたかもしれない。でも、“異常なほど自然な”演技が本領の、池松壮亮によってこのキャラクターはなんとも魅力的なものになっている。

毎朝、駅で見かける美沙子(演じているのはグラビアアイドルの華村あすか。なんと米沢出身です)に声もかけられない宮本だが、彼女との関係が……てな具合に序盤は恋愛ドラマ的。

うーん、わたし的にはつらいドラマなのかな、と思ったら合コンのメンバーに「ドライブ・マイ・カー」の三浦透子がいて、ちょっといい話になっていく。

そして後半は松山ケンイチや星田英利(ほっしゃん。です)とともに営業の世界に喜びを見出し、同時に翻弄もされる。

劇場版は、普通のサラリーマンのお話なのに、激しく暴力的な映画になっている。くわえて蒼井優とのセックス描写も過激。先週だったかの「スナックラジオ」でBABIが

「日本映画のセックスは“遅い”」

と卓見を吐いていたが、この映画はその反証だ。

ピエール瀧が出演していたことで助成金が打ち切られて騒動になっている。しかしそんなこと以上に、まず池松壮亮を見ろ。このすごい俳優を見ろ。

キネマ旬報ベストテン第3位。池松壮亮は主演男優賞をゲットしている。

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「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」(2021 NHK)

2022-08-15 | テレビ番組

脚本、演出、編集すべてオダギリジョーのワンマン作品。主役の警察犬係は池松壮亮。そして彼(と視聴者)には担当する警察犬オリバーが、犬の着ぐるみを着た中年オヤジに見えるという奇妙な味わいのコメディ。

オリバーを演じるのはもちろんオダギリジョー。撮影現場はえらいことだったろう。本番のリテイクの演出をするのは着ぐるみの犬なのである(笑)。

キャスティングのセンスがいい。いつでも共演している印象がある麻生久美子。だから彼女にだけ厳しい演出が行われたとか。「おかしの家」仲間である嶋田久作、そして仲野太賀、宇野祥平、岡山天音、渋川清彦、染谷将太と渋いところを並べ、かと思えば佐藤浩市、橋本功、國村隼、柄本明と豪華な役者たちも用意されている。

音楽系に強いのもオダギリジョーの特徴でけっこうな役どころで細野晴臣とムーンライダーズの鈴木慶一が出ていたりするのだ。

これらはオダギリジョーの人徳あってのことだろうが、なんともシュールなネタが満載の脚本を、よくぞNHKがOK出したよなあ。人徳。

12年前に行方不明になった少女が、死体となって発見される。どうやら半ぐれチーム(リーダーが永山瑛太で切れまくっている)とやくざ(若頭の松重豊が急に「孤独のグルメ」的になるのがおかしい)の抗争が關係している……ようなのだが、なんとその真相についてはまったく語られないままに終わるのである。これがいちばんびっくり。

どうやら続篇の制作が決定したらしい。そりゃ、そうなるよな。そうしてください(笑)

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「おかしの家」(2015 TBS)

2022-08-06 | テレビ番組

重版出来!」のオダギリジョーが主演で(というかこのドラマの場合は「深夜食堂」の方に近いが)。共演が「火の魚」の尾野真千子と「うちのホンカン」の八千草薫。演出が「夜空はいつでも最高密度の青色だ」「ぼくたちの家族」の石井裕也とくれば、どんなドラマだか想像がつく。そしてその想像以上に“そんな”作品でした。加えてテーマソングがRCサクセションなんだよ(笑)。

昔からある駄菓子屋「さくらや」。売り上げは月に4万円ほど。もちろんそれではやっていけないので経営者の太郎(オダギリジョー)は、工事現場などでバイトをしながらその店をつづけている。父と母を失った太郎にさみしい思いをさせないために、亡くなった祖父が始めた駄菓子屋だからこそ。祖母(八千草薫)もその気持ちは理解しているが……

駄菓子屋の裏庭では、太郎の友人である勝地涼嶋田久作、前野朋哉がうだうだと時間をつぶしている。ある人たちにとっては眉をひそめるような光景かもしれないが、ある人たちにとってはユートピアだろう。

そこへ太郎の同級生だったシングルマザーの礼子(尾野真千子)が登場。太郎のことが好きで好きでたまらないのに、煮え切らない太郎にいらつく。

登場人物みんなが、いつまでもこうやっていたいと思っているし、そんなわけにもいかないのを理解している。そしていつか“ちゃんとする”ことで失うものがあることも重々承知しているのだ。

深夜ドラマなのにゲストも藤原竜也や成海璃子など豪華なことだ。

「今ごろ見てるの?」

すでにDVDで視聴済みの妻にバカにされてしまいました。いいドラマでした。ぜひ。

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