これで“あめくたかお”と読みます。わざと男性とも女性ともとれる名前に設定していますが、この医師にして名探偵は女性です。しかも、かなり問題のある。
病院内で不可解な事件が起こる。はんぱではない奇矯な性格ではあるが、有能な医師である天久が、その医療知識とセンスで一刀両断に謎を解いてみせる。
たとえば、病室にアルコールを持ちこめないはずなのに、なぜか患者が酩酊してしまう。この謎は魅力的だ。患者が人気作家である設定が効いている。
しかし、他の作品では事件が解決してもどうもすっきりしないことも多い。それはおそらく、天久の(というか医師である知念実希人の)医学的知識が後出しじゃんけんのように思えるからだと思う。医療従事者以外には絶対に推理不可能じゃないかと。ということでこのシリーズは、ミステリとしてよりも、医学小説として読んだほうがストレスを感じないかも。
それから、わたしがこのシリーズを読むのは、月に一度の医者通いのとき。やたらに混みあう医者なので、待ち時間が長い長い。だから本を持ちこむのが必須なのに、たまに忘れちゃうのね。
そんなときは司書に頼んでこのシリーズを学校図書館から借りてるの。ところが問題は、このいかにもライトノベルな装丁。いやーいい年をした男が、待合室でこの本をバッグから取り出すのはすごく恥ずかしいのでした。