事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

光る君へ 第35回「中宮の涙」

2024-09-16 | 大河ドラマ

第34回「目覚め」はこちら

この三連休も、寺や畑の草刈り。朦朧となる。少しずつ、涼しくはなっているのだけれど、よくぞこんなに汗がかけるものだと我ながらあきれる。

そして部屋にもどってエアコンをガンガンに効かせ、それでも足りずに扇風機も「強」にして身体に当てる。ほんとに不健康で不経済な生活。

さて大河。今回はついに一条天皇(塩野瑛久)と彰子(見上愛)が結ばれる展開。

まさにこの回に向けたように、脚本の大石静さんが文春オンラインにおける有働由美子アナとの対談でかましまくっている。

「欲しい男は必ず押し倒していました。好きな人には『好きです』と打って出る。男の人って気が弱いから、必ず『そんなに僕を好きなら付き合って見ましょうか』ってなりました、昔は」

おおおすごいな。亡くなった旦那さんとはお互いに嫉妬しない関係で、どちらもよろしくやっていたとか。平安時代の男女関係もびっくり。まるで宍戸錠が奥さんと「嫉妬するのも嫌だろうし、お前も他の男とやっていいから」と協定を結んだのに似ているかも。違うかも。

だから彰子が涙ながらに「お上、お慕いしております」というどストレートな告白をし、一条天皇がついに陥落するあたりの展開に似ているかも。やっぱり違うかも。

そして大石脚本のおみごとなところは、紫式部(吉高由里子)が道長(柄本佑)に向かって源氏物語について

「わが身に起きたことにございます。わが身に起きたことは全て物語の種にございますれば」

「物語になってしまえば、わが身に起きたことなど霧のかなた」

は紫式部に仮託した脚本家としての強烈なマニフェストかな。名セリフですよね。

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光る君へ 第34回「目覚め」

2024-09-09 | 大河ドラマ

第33回「式部誕生」はこちら

先週に引き続き、週末は畑の草刈り。暑いなか、刈り払い機をぶん回していると、次第に意識がもうろうとしてくる。いかんいかんこまめな水分補給だ。と軽トラで近くの自動販売機に走り、コーラを一気飲み。不健康な生活。

きのうも朝6時から草刈り。そして長寿祝いのお赤飯を近所の餅屋に受け取りに行く。そして配って歩く。自治会長はつらいよ。

あ、ちょっと宣伝していいですか。このお赤飯は酒田女鶴(めづる)という品種のもち米でできているんだけど、すんごくうまいです。敬老会で自分の分のお赤飯をいただき、お昼にぱくつく。ああおいしい。舞妓さんの踊りも見れたし、自治会長は楽しいよ。

そんなことだから18時のBSのオンエアを見ている最中に撃沈。20時からのでようやくフルに見ることができました。

興福寺の僧らが都に押し寄せて道長に要求を突きつける。しかし道長は政治家としての意地(のために現首相は辞めると言い放ちましたが)もあってはねつける。しかしそれ以降、都では不幸がつづく。そして道長は……な展開。来週はテロの予感。

源氏物語は次第に人気を集めていく。天皇すら、次はどうなると紫式部に直接に問うぐらいだ。しかし、その面白さをまったく理解できないのが中宮の彰子(見上愛)だ。中宮とはいえ、一条天皇との接触もなく、男女間の機微など想像すらできない彼女に、あの物語は確かにしんどいだろう。

しかし紫式部のアドバイスもあり(作者本人からだから説得力がある)、彰子は次第に“目覚め”ていく。被害者ルックスの彰子の覚醒は、喜ばしいような残念なような。

曲水の儀、というイベントにはわらった。どう見てもお風呂のアヒル人形を水に浮かべて……TOKIOが出てくるのかと思ってしまいました。

第35回「中宮の涙」につづく

 

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光る君へ 第33回「式部誕生」

2024-09-02 | 大河ドラマ

第32回「誰がために書く」はこちら

昨日は朝から刈り払い機で耕作放棄地の草刈り。ゼーゼー言ってました。午後はキュウリが終わったので後始末。うわ、ネットがからまってめんどくさ。一日中、汗がボタボタ。OS-1でなんとかしのいだ感じ。

あまりにへたったので、6時からのBSはパス。で、8時からのオンエアをやはりゼーゼー言いながら見る。

そうか今日は年に一度の黄色いTシャツの日なのか。でもさっきチェックしたら大河の視聴率はさほど下がっていない。視聴者があまりかぶっていないということなんでしょう。

その例証がわたしだ。この24時間、日テレを見ていませんもの。いや、わたしはあの番組を嫌いではないんです。偉大なる井原高忠プロデューサーがぶちあげたあの企画こそ、地方局との連携に絶大な効果があったわけだし。まさか義援金に手をつけるバカが出るとは思わなかったでしょうが。

さて、今回からヒロインを式部と呼べることになるのかな。中宮である彰子(見上愛)のもとで働くことになる彼女は、しかしプライバシーもへったくれもない状況で源氏物語の執筆を中断し、実家に帰ると道長に伝える……

女房たちの部屋を上からなめるカットが笑える。なるほどもの書きにとってこの状況はつらいだろう。

でもわたしは不思議に思っていた。近ごろの(少なくとも売れている)作家たちは、仕事場と自宅を分けている人が多い。事務所へ出勤するとくればまるでサラリーマンじゃないですか。

昔の文豪たちの、例えば司馬遼太郎の書斎はそのまま記念館に再現されているらしいし、われらが藤沢周平にしても、鶴岡のど真ん中にある記念館に執筆状況が保存されている。わたしの妻と娘はいたく感動したそうだ。藤沢周平ファンとして、わたしも行かなきゃ。

原稿があがるのを各社の編集者が自宅で待ち続け、奥さんが彼ら彼女らに饗応する、なんて時代じゃないのはわかります。それに、井上雄彦のように、ネームをファミレスやカフェをハシゴして描く人もいる。“仕事場”というのは、やはり日常と切り離すべきなのかなあ。お前が死んだとき、そのままパソコンまわりを公開できるか?無理無理無理無理。

あれとあれとあれとあれは捨てて。

第34回「目覚め」につづく

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光る君へ 第32回「誰がために書く」

2024-08-26 | 大河ドラマ

第31回「月の下で」はこちら

今回のタイトルを「たがために」とみんなが読めるのは、あのヘミングウェイの「誰がために鐘は鳴る」のおかげだと思う。で、あの名作をみんなが知っているのは、映画のおかげもあるはず。イングリット・バーグマンとゲイリー・クーパーのやりとりが今でも鮮烈だ。

Where do the noses go? I always wondered where the noses would go

「キスをするときに、鼻は邪魔にならないの?」

スペイン市民戦争の最中におけるやりとり。泣ける。んで、ご存じのように鼻は邪魔にならないです。あなた、なりました?ついでに言えば、あの和田誠さんは英語教師が原題の

For Whom the Bell Tolls

For Whom the Bell Rings

と語ったことでその教師への尊敬を一切失ったらしい。怖い怖い。

さて「光る君へ」だけど、読者として帝を想定して書き始めた「源氏物語」なのに、もう紫式部にとってそんなことはどうでもよくなっている。作家の業とはそんなものだという大石静さんの宣言だろうか。誰のためにでもない。自分のために書く

陰陽師である安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)が逝く。藤原道長に、これからの圧倒的な隆盛を予言して。

確かに、これから道長にはいいことばかりが起こる。欠けることもない月に自分をなぞらえるくらいに。

教室の後ろのほうに年表が貼ってあって、平安時代はやけに長い。400年ぐらい続いたのだから。ああ平安な時代だったんだろうなあと子どもたちは思う。わたしもそう思いました。しかしその内実はこのように政争の連続だったわけで……怖い怖い。

第33回「式部誕生」につづく

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光る君へ 第31回「月の下で」

2024-08-19 | 大河ドラマ

第30回「つながる言の葉」はこちら

万城目学の新刊「六月のぶりぶりぎっちょう」は楽しい本だった。直木賞をとった「九月の御所グラウンド」につづく、歴史上の有名人登場シリーズ(勝手に名付けました)なのだが、1作目よりも万城目らしいユーモアがぎょうさん仕込まれております。直木賞万年候補のころのような、息苦しい感じが消えている。だからもっとはやく直木賞をやればよかったのに(森見登美彦にもはやくあげてください)。

さて、そのぶりぶりぎっちょうには中篇が二作。表題作と、「三月の局騒ぎ」で、この三月が実にいい。女子寮に入寮した主人公は、偶然手にした夏目漱石の「坊っちゃん」に夢中になる。特に坊っちゃんと女中の清(きよ)の交流がすばらしいと。わかりますね。坊っちゃんのあのラスト、

「だから清の墓は小日向の養源寺にある。」

は日本文学史において燦然と輝いている。

で、その女子寮には「キヨ」と呼ばれる伝説の十二回生がいて、主人公と同室になる。そして、主人公がかつてネットにアップしたエッセイを評価し、もっと書けとはっぱをかける。主人公はキヨのブログを読み、その面白さに驚嘆する。

ある日、主人公はキヨが橋の上で

「春はあけぼの!」

と絶叫するのを見る。そして彼女は消えていく。

おわかりですね、キヨが誰をモデルにしているか。うまく夏目漱石とつなげたなあ。

清少納言が藤原定子を慰めるために枕草子をしたためたのと似た経緯で、まひろは物語を書けと藤原道長に迫られる。彼のリクエストは多分に政治的なものだが、帝という読者を提示されてまひろは書き始める。

「いづれの御時にか」

まさかあれほど長大なお話になるとは本人も思っていなかったでしょうが。

第32回「誰がために書く」につづく

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光る君へ 第30回「つながる言の葉」

2024-08-05 | 大河ドラマ

 

第29回「母として」はこちら

ひどい週末だった。土曜は柿の消毒、日曜はお寺さんの庭木の剪定。どちらも熱中症近く消耗。しかも、終わってシャワーを浴び、エアコンのきいた部屋で休んでいたら、両足が攣る。いわゆる、こむらがえり。痛かったー。

大雨の影響はまだまだ大きく、ポンプ場やカントリーエレベーターが浸水してしまったので、庄内の農産物はいったいどうなることか。

そしてこの時点では知らなかったのだが、元同僚が現役で亡くなってしまった。わたしといっしょに、一日に3回保健室に体重を測りに行ってたバディだったのに。

思えばそのころは、身長180センチの事務職員と170センチの教務主任、そして亡くなった160センチの技能士がガチンコで体重勝負をやっていたのである。体重を意識したおかげで、1年半で15キロも減量できたのだった。

特別支援学級の節分イベントで、彼が赤鬼、わたしが青鬼で教室に突撃したこともあった。上半身裸のわたしたちに、子どもらはマジで豆を投げつけてくるので痛かったなあ。明日は通夜。

気持ちは落ちこみながらも「光る君へ」。

和泉式部登場。演じているのは泉里香。「正直不動産」の銀行員だった人ね。正直言って彼女の高名な日記も源氏物語も枕草子もまともに読んだことのないわたし。だから彼女たちの作品が、政治的暗闘の道具としても機能するあたり、ダークで暴力的な物語にすると宣言した大石静さんの面目躍如だと納得できる。

三人の女性の性格は大きく違っている。

漢文の素養があり、娘の学習でいらつき(わからない、ということがわからない人だったのだと思う)、しかし物語を紡ぐことに熱中する紫式部。

計算などせず、思うがままに歌を詠む和泉式部。

藤原定子(高畑充希)への思慕だけで枕草子をつづり、だから政治的に危険な存在と“なってしまう”清少納言。

いやはや、よくできた物語だ。

第31回「月の下で」につづく

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線状降水帯Ⅱ

2024-07-29 | 大河ドラマ

〈速報|山形大雨〉孤立は解消も被害甚大 酒田市大沢地区

PART1はこちら

まだ、あの大雨の影響が。

特に旧八幡町(映像の大沢地区はその一部です)や遊佐町の被害が甚大だ。近所の人たちや同僚から聞かされ、そして見せられる(スマホの写真)状況のひどさと来たら……

でも、いちおう市街地であるうちの学区でも、通り1本違うだけで状況は全然違う。土地の高低や川との距離などが影響しているんだろうけど、ここまで露骨に顕在化したのは初めてだ。

 

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光る君へ 第29回「母として」

2024-07-28 | 大河ドラマ

第28回「一帝二后」はこちら

先週のオンエアから1週間経ったのか。長かったなあ。それはもちろん酒田や遊佐に降った大雨のせい。えらいことだったんですよ。

まず、市街地に通うわたしは油断してます。職場に着いてクルマのドアを開け

「え」

すでに靴がズブズブに濡れています。そっから先は大騒ぎ。学校が避難所になる、三者面談は中止になる、翌日は休業日になる……冠水、ということをみんななめています。あ、俺だけかな。道路が水で光っていたら、とりあえずそこを通るな、ってこと。アンダーパスは絶対に警戒しないと。

あれから3日経っても、山間地はまだ復旧していません。自衛隊の車両は往来し、ヘリや飛行機が飛びまくり。名物の刈屋の梨はだいじょうぶなんだろうか。

そんな時にわたしは草刈りを終えたあと、映画「ビブリア古書堂の事件手帖」を見ていました。ネタバレになるんですけど、このお話は「違う男の子を妻がはらみながら、そのことを受け入れる」話になっています。

ちなみに、この原作はベストセラーになっているけれども、テレビドラマも映画も残念ながら成功しているとは言い難い。ドラマでは明らかに主役の選択を間違えているし、映画では栞子さんを演じた黒木華が“無垢なのにセクシー”という設定に合っていない(オタクの意見です)。

アバンタイトルで佐々木蔵之介が、実は藤原道長の娘である賢子に、変顔をする(父親らしい行動)ことで退場するあたりの展開はすばらしい。父として、彼はやるべきことはやったということだろう。 

第30回「つながる言の葉」につづく

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光る君へ 第28回「一帝二后」

2024-07-21 | 大河ドラマ

第27回「宿縁の命」はこちら

ひとりの天皇に二人の皇后(中宮)がいることはこの時代までなかったのか。いや歴史知らずのわたしだから、天皇にはありとあらゆる手段を使って後継を用意してもらうのが最大の責務なのかと思っていたので(そう思っている人は今もたくさんいる。週刊新潮とかの読者やら)、ちょっと驚いた。

しかしこれは現在に続く本妻とお妾さんの相克なんでしょ?こうなると大石静さんの筆は絶好調だ。

たくさんの子どもが登場する。その最初はもちろん紫式部(吉高由里子)が抱く女の子だ。藤原道長(柄本佑)の子であることを承知しながら、藤原宣孝(佐々木蔵之介)は溺愛し、賢子(かたこ)という名を与える。

考え方として、左大臣の子を産んだのだから、自分の栄達につながるに違いないと喜んだという発想もあるだろう。でもわたしは違うと思う。そのことをすべて飲み込みながら、まひろはわたしの妻であるということに、充足はしないけれども男としての意趣返しができたと考えたのではないか。

そのことで思い出すエピソードがあります。かつてあの大物作曲家のバート・バカラックは「女刑事ペパー」などでセクシー演技が人気だったアンジー・ディキンソンと結婚していたのですが、マスコミから

「奥さんがその肢体を見せていることをどう考えていますか」

という意地悪な質問に

「全世界の人が妻の身体を見るだろう。でもさわれるのはわたしだけだ」

かっけー。

道長の二番目の妻(瀧内公美)の教育ママっぷりが露骨でいい。そして天皇が溺愛する定子(高畑充希)がこの時点で退場する。

第29回「母として」につづく

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「神の呪われた子 池袋ウエストゲートパーク19」石田衣良著 文藝春秋

2024-07-18 | 大河ドラマ

「ペットショップ無惨」はこちら

このシリーズも長くなった。

フルーツショップの店番をしながら池袋のトラブル解決していくマコトと、池袋に君臨する帝王タカシの物語。

基本的にマコトが頭を使い、タカシが動員力と格闘担当。すべてのエピソードがこのパターン。仁侠ものにイメージは近い。

しかし思い浮かぶのは高倉健と池部良のコンビではなく、長瀬智也と窪塚洋介なのだ。宮藤官九郎脚本のあのドラマが、いかに強烈だったか。

同い年の石田衣良が、どんなことに義憤を感じているのかもうかがえるシリーズでもある。

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