北欧の、とひとくくりにするのは実は失礼な態度なのかもしれないけれど、この、初めて読むデンマークのミステリから連想されるのは、「ミレニアム」や刑事マルティン・ベックシリーズなどのスウェーデンもの。本場とされる英米のミステリとは、やはりどこか肌合いが違う。
映画に例えると、ハリウッドのコード(規範)に慣れた身には、その『動機』は底知れぬほど不道徳で性的であり、『殺害方法』があきれるほど残虐なのに登場人物がさほど頓着していないのにびっくりさせられるのだ。
第一作の「檻の中の女」は、まさしくタイトルどおりの展開で、気鋭の女性政治家が何者かに拉致され、謎の施設に幽閉される。ちょっとネタバレになるけれど、この施設で行われる一種の拷問がすごい。
『一年間に一気圧上昇させる』
というもの。なんでこんなこと思いつくかなあ。
第二作「キジ殺し」は一種の復讐譚で、「ミレニアム」のリスベットのような女性が同級生を殺しまくる。その同級生たちはハンティングを楽しんでいるんだけれど、その獲物とは……んもう絶対に映画化できません(T_T)
ある事件に関係したので現場をはずされ、未解決事件を担当することになったカール・マーク警部補と、捜査員でもないのにやたらにでしゃばる(そして意外に名探偵でもある)シリア人アサドのコンビが笑わせる。
にしてもねえ、登場人物たちは始終セックスのことを考えているし、同性愛、近親相姦は日常茶飯事って展開に慣れるにはまだ時間がかかりそう。ということなので第三作を早く出してね早川書房。
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特捜部Q ―檻の中の女― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1848) 価格:¥ 1,995(税込) 発売日:2011-06-10 |
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特捜部Q ―キジ殺し―― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1853) 価格:¥ 1,995(税込) 発売日:2011-11-10 |