その70「レディ・ジョーカー」はこちら。
倉本聰がNHK大河ドラマ「勝海舟」を(いろんな事情があって)降板し、北海道に逃避して書かれた物語。子煩悩で愛妻家でありながら、昔気質であるためにうまくそのことを表現できない警察官。ほのぼのとしたホームドラマを想像させる設定でありながら、背景のせいかとてももの悲しい印象が強い。
警電の対応、道路封鎖など、地方の警官の地道な日常がていねいに描かれていてすばらしい。タクシーの運転手との会話で、当時(70年代後期)の警察官の定年が57才だと知ってしみじみ。昇進試験に何度チャレンジしても落ちてしまう経緯など、なるほど警察。
主役は大滝秀治と八千草薫。大滝の演技はもちろんすばらしいが、内弁慶な彼を叱咤する奥さん役の八千草薫がとにかくかわいい!
「あたしね、思うのね、そういうのよくないと思うんだ?」
倉本口調は桃井かおりよりも先に八千草さんが完成させていたんだなあ。脇役に蟹江敬三、中条静夫、室田日出男などが出ていてなおしみじみ。それを含めて、八千草薫さんって、いつから年を取ることをやめたんだろう。驚異。
その72「ストロベリーナイト」につづく。